momoparco
  いつかまた南の島へ
2007年08月18日(土)  

 12日の日曜日、長いネットのお友達で、南の島をはじめ素敵な写真を沢山アッブされていたSHIGEOさんのいる埼玉県へ。

 SHIGEOさんは今、国立のリハビリセンターに入所され社会復帰を目指して様々な勉強や訓練をされている。


 3年前のあるとき、それまでコンスタントに更新されていたSHIGEOさんのページの動きがピタリと止まり、またどこか海外へお出かけなのだろうと初めのうちは思っていた。

 ひと月経ちふた月経ち、当時ガイアックスの仲間と掲示板でSHIGEOさんはどうしているのかと話題になり、皆も同じように心配していた。突然前触れもなくページを放置されるとは誰も考え難かった。

 大阪のMITURUさんがメールを送るがページに載せられていたアドレスは既になくメールが戻って来てしまったと書き込みをいただく。

 私は以前、画像をいただいた時のメールアドレスがまだ繋がるとは思えなかったが、ダメで元々の思いでどうしていらっしゃるかと短いメールを送った。

 2〜3日して、いつものようにメーラーを開くと、そこには「SHIGEOです」という件名が他のメールの件名よりも一段と太く濃い色をして飛び込んできた。繋がったと喜んだのもつかの間、「○月○日事故により重傷を負い入院しています」。私からのメールは携帯に転送された様子でまた連絡をしますとの短い文面だった。

 それから数日して今度は少し長いメールが届く。事件の被害者となり大量の出血により四肢が麻痺をするという後遺症により、まだしばらくは入院されるとの事。○月○日からは3ヶ月近く経っていた。

 その時私は何も知らず些細な事で泣いたり笑ったりしていたそれまでの日々を恥じた。一体どれほどの想いをされていたのか、また出来事のあまりの理不尽さに怒り憤り悔しくて悲しくて、忘れもしないSHIGEOさんの「今は命があって本当によかったと思っています」との言葉には、文字に表す事の出来ない思いが溢れて涙が止まらなくなった。

 食事は左手でスプーン、何とか携帯は打てるものの歩行はまだ…。そんなメールにただただ衝撃を覚えてあらゆる感情に震えるしかないのだった。

 心配する仲間に消息がわかった事を知らせたいが、事柄をセンセーショナルな響きで伝えたくはなかった。丸二日間考えSHIGEOさんの許可を得て、大阪のMITURUさんと東京のHIGHWAYSTAR+さん(現まさやん)にメールを書いた。

 それからSHIGEOさんは別な病院に二度転院され、トータル一年の入院生活を経て退院されご実家に帰られた。在宅でリハビリに通われ、blogを始められた。初めは短い文章だったが、次第に以前のSHIGEOさんそのままのダイアリーが更新されるようになると、そうと言われなければ誰もリハビリ中の方とは思えないほどになった。

 私は初めのうちこそ、おこがましくも励まし応援したいなどと思っていたが、どんな時にも決して愚痴も弱音も吐かず常に前向きで不屈のファイト精神で挑戦するSHIGEOさんの姿を見るにつけ、元気をいただいているのはむしろ私の方だと気付くようになった。

 立ち上がり歩き座る、という事が、読み、書くという事が、どれほどの事か。

 最初に救急車で運ばれ入院していた病院の医師は、一年以上経ってSHIGEOさんがそれまでに回復されるとは想像していなかったらしいが、昨年の夏にはお世話になったもう一つの病院へご家族と共に再開ツアーを果たされた。

 その時に作られた今までの写真集をお土産に。画像はその時の写真集と、後から作られた今年のカレンダー。(カレンダーは紅一点の特権で、私めがいただきました)送っていただいた写真の一つ一つを眺めると、初めてお邪魔したページの、美しい写真を目にした時の感動と、その時に流れていた曲が蘇ってくる。写真集のタイトルは「いつか また 南の島へ」。

 いつか面会へ、そんな話しは随分前からあったがなかなか叶わなかった。いずれ社会復帰をされればますますチャンスは遠のくような気がして、この夏センターにいらっしゃるうちに、との思いで計画を立てた。
その名も「乾杯ツアー」。リハビリセンターにいらっしゃるSHIGEOさんを居酒屋に連れ出すというのは考えてみれば?なようでもあったが、センター内禁酒の生活をされるSHIGEOさんに美味しいビールを!との思いで入念に計画を立て、まさやんと二人出かけた。MITURUさんからは、声のメッセージと二回分のMITURUラジオの録音されたCDを言づかり。(このCDには笑いの落ちがつくのだけど)。

 当日、センターの前にタクシーで乗りつけた私たちをSHIGEOさんは笑顔で迎えてくださり、そのまま居酒屋へ。

 初めて会うようには思えないほどの気心知れた仲間との時間は楽しくてお話はつきず、あっという間に過ぎて行く。要所要所でおそらく車椅子を押すのは初めてのまさやんと安心して任せるSHIGEOさんの姿を見て「人」という文字を思った。

 SHIGEOさんはさる試験に合格していよいよ来週は職業リハに入所される。車椅子用の自動車免許も取られ、一段一段しっかりとした足どりで階段を上っている。

 勇気とか元気とかガッツとか、SHIGEOさんからは無言でそんな言葉ばかりを戴いている。

 大好きな永ちゃんのライヴも、そして南の島への夢も、きっといつか叶えてしまうのだろう。私は人が存在する事の意味や自分が今生かされている事の意味を思い、「前向きに」の言葉を体の中にしっかりと吸収させていただいて感謝感謝なのである。


 今日の日記を最後まで読んでくださったとしたら、あなたも私も、きっと同じ思いなのだと思います。





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