2005年10月01日(土)  ラングとムルナウ(終)


さて、いよいよ大詰めです。
ラングとムルナウに燃えた日々も、この感想を最後にしてやっと締めることができるのでしょうか。

今日はカラッとした秋晴れ。気持ちいいです。でも少しだけ、名残惜しいかな、夏の暑さを感じます。でもこれでこの暑さともおさらばするのかとおもうとちょっと淋しいぞぅ。恋しいぞぅ。

うちのライオン丸も朝出て行ったっきり戻ってきません。
最近は、気候がいいせいか、ごはんの時か夜寝るときにしか家に戻ってこないので、飼い猫というより通い猫かって感じです。かろうじて首輪をしてるので飼い猫らしいですが、でも2日前、首輪を取って戻ってきました。たぶん、ノラと喧嘩したときに取れたんだとおもうけど(前取れたときもそうでした)、巷の猫たちの目には、ライオン丸の存在はどういう風に写っているのでしょうか。一度でいいから猫の目になって見てみたいです。

ノラ「おめえ、夕べは何くったんだよ」
○ 「レバーと砂肝と野菜が混ざったネコ缶」
ノラ「ちっ、いつも香水みたいな臭いのウンチしやがって・・・」



F.W.ムルナウと、いつも省略されて呼ばれているムルナウさんは、本名はフリードリヒ=ヴィルヘルム・ムルナウといいます。

ムルナウの作品は、ひとくちに言って、優等生的というか、全体的に穏やかで無駄がない。ラングがガキ大将ならば、ムルナウはさしずめ生徒会長といった感じでしょうか。ラングのようにキレのある強烈な個性はないものの、それでいて観る者皆を納得させてしまう、ムルナウは、人が生きることをテーマに、人間の良き面も悪しき面も映画にした作家ともいえるでしょう。
今回わたしが観たのは『燃ゆる大地』『タルチュフ』『ファントム』『ファウスト』の4作品だけなので、たいしたことは言えませんが、見ようによっては退屈すら感じる彼の作品群は、よくよく見ると、細部に渡って細かく演出(計算)されていたりして、ラングのこだわりとはまた違った意味での才が感じられます。

わたしが一番おもしろかったのは『ファウスト』で、次に『タルチュフ』。
『ファントム』は途中から飽きてしまったし、『燃ゆる大地』は教訓的な意味合いをもつ作品ですが、最後に本当に大地がぼうぼう燃える映画だったので、それだけが見どころかもしれません。

『ファウスト』は、わたしの中では、あの『吸血鬼ノスフェラトゥ』を押しのけてもいいくらい素晴らしかったです。機会があれば二度三度と繰り返して見たい。視覚効果、というのでしょうか。演出・照明などに工夫が凝らしてあって、その“影”だけで恐がらせたノスフェラトゥと同じように、ファウストも恐い映画でした。
特に、冒頭の、サタンの化身であるメフィストが、人間の街を天空から闇で取り囲むシーンには目を奪われました。

『タルチュフ』は、モリエールの喜劇の映画版ですが、このタルチュフ役になった俳優(エミール・ヤニングス)の強烈な存在感でもってこの映画は価値あるものになってます。のちに“偽善者”という意味を含む名前になったタルチュフの、エセ聖職者ぶりがおもしろく、聖書片手に肉を口いっぱいほおばるシーンなんか、これはコメディじゃないかぐらいに笑えるんですが、これも忘れられない映画のひとつになったのは確かです。

最後に、やっぱり残念だったのはノスフェラトゥを大画面で観られなかったことかな。実はこのDVDは持っているのですが、白黒サイレントということもあって、なかなか家では見られないですね。すぐ眠くなっちゃって。
あと『最後の人』も、かなりおもしろそうだったんですが見逃しました。
こうなったらもう一度どこかでリバイバル上映をと、思わずにはいられません。

あとはカタログ読まなくちゃ!だな


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