2005年03月03日(木)  また言い訳めいたことを(2)


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音楽の話ついでに書いてしまいますが、ロック熱が一段落したあとに聞きはじめたのがジャズなんですけど、これはその頃住んでいた環境によるところが多かったです。というのも、当時は、都心のど真ん中に住んでいて、建物の(アパートとは言わん)屋上に登ると南新宿の摩天楼がきれいに見えるところにいたのでした。

今はもう嫌煙家ですが、当時はかなりのヘビースモーカーで、吸っていた煙草もロングピース。香りがいいのよなんて、知ったかぶりなことを言いながら、わたしの周りには常に煙が漂っていました。
そんなわたしが夜になると、毎晩のようにカセットデッキと煙草を持って屋上に登り、摩天楼の夜景を見ながら友だちといっしょに音楽を聞いたりしてましてね。いやもう、なんというか、夜空にぼぅと浮かび上がる摩天楼を前にして聴くマイルスとか、クリフォード・ブラウンとか、エルビス・ジョーンズとかはもうこのまま屋上から飛び降りてもいいと思えるほどよかったです。ジャズというのは、都会の音楽なのですね。富士山の大自然をみながら聴く音楽ではないのです。都会も、整然と区画整理された都市ではなく、混沌とした都市。新宿にジャズライブの店が多かった(過去形にしとこう)というのはある意味理にかなっているのです。

余談ですが、当時わたしの周りではペットにミュージシャンの名前をつけるのが流行っていて(今でもそうなのかなあ)、ある友だちの飼っていた猫が「ジャコ」という名前だったんですが、もちろんこれは、ちりめんじゃこじゃなくて、ウェザー・リポートのジャコ・パストリアスからきてます。
そしてもう一人の友だちの飼っていた犬が「リック」。今でこそリックというと、映画『カサブランカ』を思い出すのでしょうが、当時はそんなオサレなこと考えるやつなんていません。イエスのキーボード奏者リック・ウェイクマンです。そんなやつ、知ってる人は知ってるが、知らん人は知らん。その犬、長髪だったんです。といえば気がつく人もいるかもしれん。

そしてわたしの飼っていた猫は「しょうへい」。男の名前です。音楽好きのくせに男の名前つけて、風上にも置けないやつでした。それでも男同様、その猫が5年目にしていなくなったのは、名前のせいではないと未だに信じております。

えーと何の話でしたっけ。あ、ミュージカルだったですね。


閑話休題(2度目)


というわけで、普段から“ミュージカル”と名の付く映画には足も運ばないわけですが、たまに、評判の良さそうなのは観に行ってみたりするわけで、あとお気に入りの役者見たさとか。そしてついこの間も『オペラ座の怪人』を観てきました。と、ここにきてやっと本題に入ったわけですが、長かったですね。ここまでくるのに。

映画は、悪くはないと言っちゃあ失礼なんですが、意外によかったんです。けっして両手上げて絶賛するような代物じゃありませんが、少なくとも見ている間恥ずかしくはなかったです。音楽が良いというのもあったんですが、それ以上に、わたしの中で懐かしい思いがふと沸きあがってきて。

ん、これはどこかで聞いたことあるぞ。どこだったかな。わたしはこのオペラ座の怪人の舞台なんか見たことないし。いやそういう問題じゃない。このフレーズ、リズム、歌い方・・ ファントムが歌い出したとき、オペラというより力強く、歌うというより叫びに近い。むむ・・これは昔観た『ジーザス・クライスト・スーパースター』ではないか? と気づいたら最後。映画を観ている間中、キリストやマグダラのマリアの顔が、クリスティーヌとファントムの顔に重なってきた。


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