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2005年08月02日(火) ささやかないいこと。人々の笑顔の後に。

■時差ぼけというやつを初体験。何度も海外旅行してきてきたけれど、普段から不規則な生活を送るわたしに時差ぼけは無縁だった。ところが昨日、1時半に眠って、起きたら3時。それから8時まで眠りにつくことはできなかった。あまりに覚醒しているので時間をもったいなく感じ、掃除を始めたり、気になっていたことを書き付けたりしていたので、よけいに眠気の訪れが遅かったのかもしれないけれど。
 
■昨日も書いた、ブルックリン橋への散歩の半日は、ささやかないいことに恵まれていた。

→地図を見ながら地下鉄の入り口を探していたら、紳士らしい服装をしたおじさんが、まるで道案内が我が仕事とばかりに「どこに行きたいの?」と声をかけてくれ、的確に教えてくれた。
→トークンで地下鉄に乗る時代しか知らないわたしが窓口で「ブルックリン橋に行きたいんだけれど・・・・・・」と言うと、売り子のおばさんはカードを発券しながら地図を出し、地下鉄を降りてからの道案内までしてくれた。
→中華街に向かって歩く道すがら、けたたましくクラクションの音。「何事?」と振り向いたら、後ろを歩いていたおじさんが財布を拾いつつ、「ありがとう」を車に向かって叫んでいた。お財布落としたのを、教えてあげてたのね。
→中華料理屋で注文中、牛肉料理を一品頼んだら、それが野菜料理の中身とかぶっていたらしく、店のおじさんは「牛肉は俺のお奨めを出すから、それにしなさい」と言う。まあ、気ままな散歩中の食事だから、と、申し出を受けて料理を待ったら、実に美味しい一品だった。「こ、これはもしかして高いのでは?」と不安になったが、伝票に書かれた値段は実に良心的なものだった。
→料理を頼みすぎて食べきれず、おじさんに「食べきれなくって持って帰りたいから、パックしてもらえますか?」と頼むと、いやな顔ひとつせず、ちゃんとTAKE OUT用のパッケージにいれて包装してくれた。もちろん、ただで。
→半日の散歩の中で、たくさんの人がわたしに笑顔をくれた。小さな黒人の子供たち、犬を連れた奥さん、中華街のおじいさん、筋骨隆々の家族連れのお父さん、友達とおしゃべりに興じていた高校生、ほかにも、たくさんのたくさんの人が、わたしに笑顔を投げてくれた。で、わたしも笑顔を返した。笑顔率の高さは、ここ何年かのわたしの人生で、一番だった。

と、そんな風に歩いていたあと、橋の真ん中で、9.11以来の喪失の風景に出会った。

個人が、夥しい数の他者が形成する世界で生きることの、喜びと悲しみを思う。




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