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2011年03月22日(火) 最近の園芸:長崎とデンドロビウム
最近の園芸:長崎とデンドロビウム

昨日長崎市の市営陸上競技場 --爆心地の近く-- を通ったら、園芸市「ながさきグリーンキャンペーン」が開かれているのを発見。 今日が最終日というので、 昼食を済ませて入場。

県園芸文化協会のテントで展示された鉢植を見てから、 セッコク-- Dendrobium moniliforme --のように細くて小さなデンドロビウムの苗がたくさん売られているのを発見。 名札が無いので品種名を聞いたらカシオープ-- Den. Cassiope。1890年N. C. Cookson氏が作出、RHS登録--という。 古典的でありふれた交配種のはずだけど、 今では店頭でもネット通販でも見られないので喜んでしまう。 個体名は無かったが、 白でリップ奥に目玉のような濃い紫の模様のある花 --これだけは開花株があった--を咲かせる株、 クリーム色で花びらが厚めの花を咲かせる株、 赤い花を咲かせる株の3個体があるというので1株ずつ購入。 どれも蕾付きで1株100円とお買得。 去年は1株200円だったが、 今年は株が増え過ぎたので安くしたという。

この蘭について年配の男性スタッフから興味深い話を聞いた。 カシオープは長崎で最初に作出されたのだけど、 大分の園芸家が外国人を通してRHS登録したという。 そんな経緯があって、こちらではカシオープをナガサキと呼ぶそうだ。

帰宅後 RHSの"The International Orchid Register" で調べてみると、 デンドロビウムの交配種で(Epithetに)ナガサキ-- Nagasaki --の付くものが4種類あった。

1つは「ナガサキ-- Den. Nagasaki --」で、 セッコクとサギムスメ-- Den. Sagimusume --の交配種。 1977年H. Furuse氏が作出、登録している。

この「ナガサキ」にDen. Thwaitesiae --これは山本デンドロビューム園のウェブサイトによると、 黄色の花の交配種の先祖-- を掛け合わせたのが-- Den. Nagasaki Gold --で 1982年T. Kato氏が作出、登録している。

これとは別にカシオープにコンゴー-- Den. Kongoh、これは山本デンドロビューム園が1969年にRHS登録-- を掛け合わせた 「ナガサキムスメ-- Nagasakimusume --」があり、 1979年T. Kato氏が作出、登録している。

この「ナガサキムスメ」を再びカシオープと掛け合わせたのが 「レッドナガサキ-- Den. Red Nagasaki --」で、 これも1979年T. Kato氏が作出、登録。

さらにネットで情報を漁った結果、 長崎県亜熱帯植物園花情報2007年10月号 に興味深い記事があった。

日本最古とここだけの新種の蘭
当植物園には日本最古の蘭と長崎生まれの洋蘭があります。 由来は、まず、トーマス・グラバーが、安政6年(1859)に上海より長崎に持ってきた蘭((シンビジウム・)トランシアナム)が日本初で、
グラバー氏の庭師をしていた加藤百太郎氏に、明治30年(1897)グラバー氏が長崎を発つ際に寄贈されました。
その、百太郎氏のお孫さんに当たる方が加藤忠信氏で、長崎県洋蘭会を設立され
加藤氏が亡くなる際に遺言として植物園に寄贈されました。
加藤氏は長崎在住の古瀬光医師と前会長の石見栄吉氏とともに
長崎でも冬を越せる蘭を創作したいと思い、デンドロリュウム--ママ--と稲佐山に自生していたセッコクとを
掛け合わせ約80種の新種を作ったそうです。
新種はイギリス王室園芸協会(RHC --ママ--)のサンダーリスト--ママ--に登録されています。
長崎娘・長崎小町・レッド長崎・長崎ゴールドなど長崎の冠が付いております。
左(写真)のデンドロリューム--ママ--はカシオープ・ナガサキとして1977年サンダーリスト--ママ--に登録されています。
三氏が新品種を作った最初の蘭で、低温でも丈夫に育ち、背丈が低く、下のほうから花つきが良いように
という思いで高配--ママ--されたそうです。
(以下略)

この記事を読む限り、 カシオープが長崎で最初に作出されたとは思えないけれど、 長崎生まれのデンドロビウム交配種にカシオープが多用されていることから、 カシオープは長崎と縁が深いと言えそうである。

蘭以外ではカラタネオガタマの苗木も手に入れる。 内訳は通常の白い花を咲かせる品種と「ポートワイン」という赤い花を咲かせる品種1株ずつ。 どちらも花芽が付いているので楽しみ。


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