おひさまの日記
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2005年02月09日(水) 新しい出会い

今日、トレカフェでアンナと色々な話をする中で、
私の想いを伝えた。

彼女をキツく叱ってきたことについて。

私はそれによってアンナがとても傷ついていることを知っている。
また、私が彼女を叱る時、そこにあるのは、
彼女のためなどという想いではなく、私の傷がうずいた反応なのだ。
だから、私の怒りは理不尽なもの。
けれど、彼女は、私が怒るという行為がいやなものだと思いながらも、
それは自分がいけないからだと思っている。
本当は全然いけなくないのだ。
私が彼女にさせようとしていたことは、
保育園児に因数分解をさせようとしているような、
そんな難しいことだったかもしれない。

最近それを痛感した。
できない、わからない、それが「当たり前」だと。
頭ではわかっていたけれど、
稲妻に打たれるみたいに腑に落ちた瞬間があったのだ。
だから、今日、アンナに自分の気持ちを伝えることにしたのだ。

私が怒るという行為、それは私のエゴだったこと、
本当はアンナが悪いのではなく、
子供は大人と違って、
大人ができることもできないという単純なことを理解せずに、
私がしてきた理不尽なこと、
だからママがいけなかったのだということ、
あなたがいけない子だからじゃない、
そんなことを、子供にもわかるような言葉でじっくり伝えていった。
怒らなくても、別の形のコミュニケーションをすることによって、
十分に伝えたいことを伝えられたはずだった、と。
そして、心から謝った。
今までママが悪かったよ、ごめんね、って。
怖かったでしょう、って。

アンナは黙って、うん、うん、って聞いていた。

アンナはとても傷ついていただろう。
アンナはママが大好きなのに、ママがとっても怖かっただろう。
言いたいことが言えなかっただろう。
私に叱られる度に、自分を責めたのだろう。
小さな心を痛めていたのだろう。

少しして彼女は、
「ママ、ケガをしたアンナがいるの。
 ケガを直してあげたい」
と言った。
自分よりちょっと小さくて、髪の毛がぐちゃぐちゃで、
洋服を着ていない裸ん坊で、
あちこちケガをしている自分が見えると言う。

私はアンナを横抱きにすると、
その小さな自分にしてあげたいようにさせた。
アンナはぼさぼさな髪をとかしてキレイにしてあげて、
ピンクの可愛い洋服を着せ、
ケガの傷口には絆創膏を貼ってあげたと言う。

その小さなアンナは寒くて怖くて悲しかったのだそうだ。
キレイにあたたかくしてあげると、
「もう大丈夫、アンナちゃん、ありがとう」と、
その小さなアンナが言ったそうだ。

私がアンナに、
「その子はひとりぼっちなのかな?
 連れて行ってあげようよ」
と言うと、
「お友達と遊ぶからもう行くって言ってる。
 ひとりじゃないよ。
 もうこの子は大丈夫なの。
 さっきは泣いてたけど、今はニコニコしてるよ」
とアンナが答えた。
その目から涙が流れていた。

私はアンナに頼んだ。
「その子に伝えて。
 ママは間違ったことを言っていた、
 だから、アンナは悪くなかった、
 アンナはよくやった、って」
アンナは「もう伝えたよ」と静かに答えた。

そんな突然の出来事が、トレカフェで起こった。
トレカフェという空間は、何とも不思議な空間で、
アンナは過去にもトレカフェで感情の大解放をしたことがある。
今日もまたこんな出来事が。
それは、トレカフェのナオミちゃんと、
ナオミちゃんが作り出すあの空間の
エネルギーの成せる技でもあるのだと思う。

最後の客だった私達はナオミちゃんにお礼を言って店を出た。

帰りの車の中で眠ってしまったアンナをおぶって家に上がり、
ベッドに寝かせようとしたら、
アンナが目をぱちっと開けて言った。

「はじめまして」

私はその言葉ですべてを察した。
だから答えた。

「はじめまして」

「私はアンナです。
 よろしくお願いします。
 あなたは私のお母さん?」

「そうです。
 私があなたのお母さんです」

「お名前は?」

「恵美です」

「恵美ちゃん、お母さん、ママだね」

「そう、私があなたのママです。
 よろしくね」

アンナは私にぎゅうっと抱きついてきた。
ひとしきりそうして、またベッドに降りて言った。

「あのね、ママ、
 アンナ本当はママがママだってわかってたんだよ。
 でもね、アンナの心が『はじめまして』って
 ママに言いなさいって言ったの。
 だって、アンナの心が新しくなったから」

その口調はとても毅然としていた。
私は答えた。

「ママの心も新しくなったんだよ。
 だから、ママもはじめましてなの。
 新しい心で、またやり直すの。
 一緒に新しい心でやり直していこうね」

そして、ふたり同時に言った。

「会いたかったよ」

私達は長いこと抱き合っていた。

アンナと私は新しい出会いをした。

私達は、言葉にはならないけれど、
それぞれの奥深くで何かがシフトしたことを、
お互いに確実に感じた。

「会いたかったよ」

そう、私達はお互いに本当に出会いたい相手にようやく出会ったのだ。
そして約束した。
一緒に成長していこうね、って。


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