夏目久美の生きてりゃ上等!



夏目久美の生きてりゃ上等!


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●KUMI NATUME●
2006年04月10日(月)    成田美名子




 私にとって彼女はお絵描き&ストーリーの師匠である。

 (勝手に独断のみ!!!!笑)






 きっかけは姉が友人から借りて来た少女漫画単行本でした。

 「エイリアン通り」ですな。


 漫画を滅多に読まない姉が借りる?

 その時点で謎でしたが。姉はさらりと1回読んだだけでしたとさ。

 ああ…流石本が好きで無い女。姉。



 最初第一印象絵が嫌いでした。(オイ!)

 大人っぽすぎたのだよ。幼い私にはなっ!

 だが。我慢して読むと。


 笑い死ぬかと思うくらい笑ってましたがな。
 (今の感性ではそこまで笑えませんよ。)



 で。


 少女漫画なのに何か哲学しててやたらこむずかしい理屈が
 あちこちにあってだな。

 何回も文章(漫画なのに。笑)をじっくり読まないと。
 意味が解らないという、小学生小娘には難しいモノローグがだな。


 友達との出会いから、深く関わった人との別れから。

 まだ体験はそうそうリアルにしてなかった私には
 最初は笑いから入ったのが味噌ですね。ほほ。



 家族とはまた別のアカの他人の
 同性の友達というもの仲間というものが。

 人間にはかかせなくて、
 生きて行くには絶対的に必要な存在であると。

 刷り込みのように入りました。


 アニスの言う。友情は最高の尊称!
(だっけ?今手元に無いから忘れたが。←オイ。)


 ウザイくらいに熱い人間性のキャラ。(コラ。笑)


 しつこいくらいの前向きさ。(だからコラ。笑)



 暗い過去も何だかんだとあってこなれてきたら
 逆に強みになるバイタリティさ!(キャハハ)


 「お前(主人公)あんだけたらたらとシリアス苦しみ見せといて、
 (アリスに誘拐される事件)
 何ヶ月かたつと『今思うと笑い事』なのかよ!」

 と、当時では理解出来なかった事も
 きっちり成長期で体験すると、



 「笑い事だこりゃ。(笑)」と過去をネタに出来る逞しさ。
 (いいのかそれで。笑)



 そして幼い頃。最初は理解出来なかった

 シャール
 「たとえば祖国の独立解放を真実願って
  それに一生を費やした人ってさ、
  おれ自由だなァと思うわけよ」



 の台詞の意味。


 あれ、観念で解るのと。
 体験して自身で理解するのとでは、
 天と地程の違いがあるがな!



 若い若い当時の私は自由と言えば
 「自分が思ったとおり」だと解釈していた頃。


 「自ら選ぶ人は自由なのかっ!」


 というインパクト。





 そして「エイリアン通り」で描かれきれなかった

 繋がる人との別離の意味を、暗い暗いシリアスモードで

 一気に「CIPHER」で描く。

 しかも絵が半端じゃねえ。


 
 痛々しい為可也読者は離れてた時期が
 あの暗い暗いモード全開の時でしょうが。


 同時進行でリアルがあんなんありがちな成長期に読むと
 辛いわな。確かに。



 ネタバレ↓ (読みたい方は反転させると読めるじょ。)


 
 父との死別と母との確執を経て、
 お互いが必要な存在として支えあい生きて来た
 双子サイファ(ロイ)とシヴァ(ジェイク)の生活。

 理由あって二人で一人の「シヴァ」としての生活を
 仕事でもプライベートでも続けて居た。
 
 同じ学校のアニスが二人の秘密を知り。
 何故そんな二人一役の生活を続けるのか?
 それは周囲の人達に対する冒瀆だ!と二人と
 二人を見分ける事が出来るかどうかの賭けをする。

 そしてアニスがサイファに惹かれて行き。
 シヴァとはいい友人のままで居る時。
 恋愛でお互いの1番大事なポジションのバランスが崩れ出す。

 そして先にアニスと恋人同士になったサイファに
 取り残された感じの片割れシヴァ。


 理由あって二人一役を続ける秘密を守るために
 本気で友人と付き合って来なかった為と、
 赤ちゃんの頃からモデルや子役として仕事をして来た為
 同世代のプライベートの関わりが薄かった過去。
 孤独感は半端では無い。

 外見は瓜二つでも性質は正反対である
 オープンで明るいサイファが他人から選ばれて来た。

 それは両親でさえも?


 それでもやっと珍しく心惹かれる女性ディーナと出会う。


 彼を売れっ子の役者だとも気がつかないボケをかますような
 (同業者なのに。笑)ディーナ。
 一人の人間として声をかけて来た彼女とその家族と近隣の人々。


 が、二人一役で役者の仕事を
 サイファがシヴァとしてしていた為
 (しかも偶然ディーナが女優として相手役だった為)
 仕事の為にシヴァとディーナの恋愛を止めていた。
 これが最後だから。もうすぐ役は終るから。と。


 シヴァに好意を持ってパワフルに近よるディーナを
 シヴァでなく、シヴァとして振舞うサイファに心が傾くと困ると
 何とか仕事の間だけは、
 好意的なまま避け続ける努力をするサイファ。


 映画撮影はあと3日。

 3日すれば、自由に成れる筈だった。



 ディーナが片想いのまま、両想いと知らないまま
 (先にシヴァが好意を持っていた)
 その日の夜に交通事故で他界するまでは…。



  その翌日。サイファが撮影所でスタッフから
  ディーナが事故で亡くなった事実を知る。


  すぐにシヴァに知らせる。

  
  その時丁度シヴァは隠してはおけないと
  結果はどうであれサイファの約束を無視して
  彼女に真実を告げようと外出する所だった。

 




 「誰も悪くない」という残酷さが10代には辛い。

 ちょっとずつ皆が悪かったんだというリアルさ。

 潔癖な時期に読むと。サイファが極悪人の様に写るか?(苦笑)




 いやぁ…実際、我侭だけどな。

 けど。



 ↓またネタバレなので反転


 サイファが彼女を殺した訳でも何でも無く…。

 事故だったんだよね。

 生きていたらたいした問題でも無い訳で。
 (ディーナ太っ腹そうだからの。気にしないだろ!笑)


 ある種仕事を優先させてしまうのは…、
 生きる上でご飯食べてかないといけない訳で。
 (まあ赤ちゃんの頃から仕事してたから財産はあるだろうが。笑)

 サクセスというのがね。
 役者の性というか。
 仕事に溺れる程の魅力を感じてそれを追い続けるという
 麻薬みたいな仕事。

 上手く行って勢いがある時は止まれない業種というか。



 それと。



 あの後、その「優先させた筈の仕事」が
 心乱れて上手くいかなかった評価をされる落ちまでついていて、

 「仕事っていうのはこういうものなんだ」

 まであるという。




 あまりにもタイミングが悪すぎた。

 って事で。




 ディーナは周囲の人に好かれる女性として描かれています。

 皆に愛されて育ち、前向きで、明るく、美人。
 大家族の中で生き生きとパワフルに生きている。

 歌を愛し、近隣の人を愛し、愛されている。

 どこに行っても人気者のバイタリティ溢れる女性。

 

 あまりにもいい女性だったから、
 早くに天に召されたんだと。


 シヴァはサイファに比べるとクールでソツが無い
 よく出来た優等生なので、
 人を愛する表現がシャイで苦手だから、
 なかなか本気で人を好きにもならずなられない。

 そんな中にやっと出会えた女性だったもんで。

 
 傷つき方が半端じゃないという。





 
 女性にはよくある事なんですが。

 10代の頃の特に親しい特定の女友達というのは。

 恋愛関係と似ているのです。


 そのへんが少女漫画の男キャラですな。
 関係が女性っぽい。(笑)



 無意識にそういうので精神的に練習してから
 ほんまもんの恋愛へ移行するというか。

 (それだけのまんまいつまでもいつまでも続く関係は
  閉鎖的なだけで幼いがな。きっぱり!
  変化して成長してなんぼだ!笑)



 ホラホラ恋愛でも「二人だけの世界ー♪」には限界があるっしょ?


 友人とか自分だけの世界でワイワイとかが無いと。

 何か行き詰るというか。


 だから友達とでもそうなんです。

 いくら仲良がいいとかいってもだね。
 縛り合いしはじめただけでなく、
 それが当たり前と強制になり続けると窒息感が。


 友達でもいつもいつも2人だけの世界ってのには、
 閉塞感と歪みが生じて来るのだ。

 だからそういうんで、友達関係も大人になって行くのです。


 ↑そういうの知ってから恋愛する女の子達は。
 最初は視野が狭くなりがちだけれど。
 少しずつ自分の生き方もするようになるんです。


 あれ。話がそれた。(笑)






 そしてサイファはNYからロスへ逃げるように、
 自らを罰するかのように…。

 アニスの元からも去る。





 もう、ドロドロ。(爆笑)




 だけど。一人立ちしてから。

 二人にはそれぞれの場所で
 それぞれの新しい出会いが有る。




 …そして。
 そういうシヴァを見守る事しか出来ないアニス。

 前の様にシヴァにさえ関われないようになったアニス。


 アニスが何も語らないまま弱っていくのを
 「何かある」と踏むアニスの友人達。 

 その結果導き出される双子の秘密は
 アニスが語るまでもなく、
 周囲の人達は勘付いて行き…。








 で。少女漫画の中でも可也頭カタカタ(?)
 真面目お笑いモードに影響されたが故。私の頭もカタカタ?(アハハ)


 ま、そんな事は置いておいて。





 ファンレターを珍しく書いた訳ですよ。私が。当時。(若っ!!)


 そのくだりが。

 「手相は一晩で変わる」「運命は変えられる」のような事ですか?


 それと。どんな親でも親を知る、その人が親である事を認める。

 (人によって様々な事情があるから。
 いいか悪いかは置いておいて。
 とりあえず事実として認識するというか。笑)
 
 というポジションがあって初めて外(他人)へ向けての
 関わり方に芯が通るというか。


 そういうんが。


 「NATURAL」に軽く反映されていて、ちょっと驚いたとともに。
 嬉しかったものです。



 ついでに千年に1度だけ咲く蓮の華の話もちょろっと。(笑)



 尊敬する成田先生覚えてますか?

 あのファンレターのガキは私です。(汗)

 (こんな所で呼びかけてどうする。笑)




 私は彼女の真面目すぎる固すぎるともとれる
 奇麗事かのような世界観ともとれる。

 だけどフィクションだからこそ、娯楽であるからこそ。
 影響力があるからこそ。

 希望のある話を描き続ける彼女の作品が。




 今でもずっと大好きです。





 成田さんの…何故「CIPHER」のサイファが。
 過酷な体験をする設定にしなければならなかったのか。

 それを描こうと思ったのか。





 それを知った今日の私の感想です。



 私と私の友人達と先輩と後輩は
 何故かほとんど彼女の(例え一部であったとしても)作品を読んでますが。





 皆元気に逞しく、生きています。





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