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| 2004年03月15日(月) |
イタリア旅情(イタリア篇) |
暦は8月となった。 涼しい葉月の初日。
点から点への移動にすぎない「旅」が線を描き面となりいつしか心の中に「豊饒」の立体を結んだ7月の旅。
アドリア海からの風が髪をなびかせ、胸をしめつけるようなヴェニスの佇まいが乾いた旅人の心を潤した。

フィレンツエは夕暮れがよく似合う。アルノ川が茜色に染まり空と川の境目をなくしてしまう頃、教会の鐘が夕べのミサを告げ茜色の空に鳴り渡る。
ボッティチエッリの「春」、マルテイーニの「受胎告知」が旅人に時空を越えさせ忘我せしめた。 ナポリの裏町では、へんぽんと翻る洗濯物が下町の逞しい生活の匂いを運んでくれ、 スパッカ・ナポリのピッツエリエでは、おばさんたちが夕べのおかずを買いに行列。 その店の奥で従業員達が賄い料理を食べていた。 旅人も混ぜてもらい、トマトソースとモッツアッレラが溶け合った熱々のピッツアに食らいつく。 その名は「ピッツア・マルゲリータ」

その昔、ピッツア好きのブルボン家のマルゲリータ王女様が、ピッツアコンクールを催し、一等に選ばれたのがこれ。 おいしいとほめると、ズッキーニの花と茄子の揚げ物を新聞紙にくるんでサービスしてくれた。ナポリ風てんぷら。 下町の人情は所変われど皆同じ。気さくで人情に溢れて温かい。
フローレンスからナポリへ向かう国際列車の中では東京赤阪にある大使館に勤める 某国の一等書記官に声をかけられカプリ島やナポリの見所を教えてもらったり、 トレビーゾでは新聞社のインタビューを受けるハプニングがあったり(私ってそんなに有名だったっけ?)、フローレンスのレストランではおいしいお酒、レモンチェロを注文しないのにこっそりご馳走してくれたり、道端に落ちていたバスの未使用の切符を拾ってバスに乗ってしまったり、列車に乗り遅れそうになり、重いリュックを背負って全速力で町を駈けて右足の不調をすっかり忘れさせてくれたりした。
ローマから空港までの列車の中では韓国で一番人気のある26歳の俳優(イタリア留学中) にコンパートメントの中で声をかけられた。 熱く語る人生観と演技論、女性観、自分への挑戦など、久しぶりに燃えるような人物に出会ったりした。
こうしてイタリアの旅は食、人情、芸術、歴史、文化を通して旅人の私に多くのことを 与えてくれた。
点から点への移動にすぎない「旅」が線を描き、面となり、「豊饒」の立体の像を結んだ。
長靴の形をした素敵な国、イタリアよありがとう。 Arrivederci !
メンデルスゾーン交響曲第4番「イタリア」を聞きながらまだぬくもりの残っているイタリアに思いを馳せるとしよう。
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