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| 2004年03月14日(日) |
イギリスでのデート(イギリス篇) |
ウイリアム・モリスの図柄のついたお気に入りのマグカップの取ってがとれてしまっ た。 イギリスを去る日、思い出の品として2つ買ったものだ。一つは自分用にもう一つは 長い間アッシー君をしてくれたステイ先の隣の家の青年に。 「イギリスの庭」と呼ばれる美しい都市ウースターの学校に通っていた頃、朝夕送り 迎えをしてくれたマーティン。180cmの長身に、はにかみを浮かべた笑顔がとび きり素敵だった。ある日、ステイ先のママが気を利かせて隣町で開かれるアンテイッ クフェアーを見に行くデート計画を勝手に立てた。 私はその頃、学校へ入学したばかりで英語もまだおぼつかなかった。クラスメイトに 何を着ていこうか、何を話せばいいのか、相談をもちかけるともう大変。みんな色々 な知恵を絞ってこのデートを成功させようと大騒ぎになった。当日車で校門の前に彼 が到着するやいなや観察しがてら冷やかそうと大勢のクラスメイトが門に鈴なりと なった。 塀に鈴なりとなった顔・顔.顔を見て、マーティンはぎょっとしたけれどそこは大人。イギリス紳士の名に恥じぬようジェントリーに私をエスコートして車に乗り込みいざ出陣。 隣の町まで美しい絵画をみるような田園がどこまでも広がっていた。 町につくとそこはアンティックの店が軒を連ねていた。 私はアフタヌーン・テイー用の2段になったケーキ皿が気に入って買う事にした。 100年くらい前のものだろうか…持つ手の銀に彫刻がほどこされ、お皿には 花が小さく散っていて上品なたたずまいを見せていた。 何軒もアンティックの店を見てまわって疲れた私達は小奇麗なケーキやで お茶を飲むことにした。並んで歩いている時には感じなかった恥じらいが突如 目覚めてきた。目をじっとみつめて話すマーティンの顔がすぐ目の前にあって うろたえて顔が赤らんできた。下手な英語がもっと下手になって単語が浮かばない。 何か聞かれているのにもう頭が虚ろ。 突然テーブルの上に所在なげに置いておいた私の手の上に彼の手が触れた。 あ〜ぁ、ど、ど、どうしよう・・・ 彼の顔が近づいてきた 映画ではこんなとき、目をつむるんだったっけ・・・ あ〜ぁとうとう私の唇が・・奪われるのかも・・・ などと思っていたら、なんのことはない、もう帰ろうという合図だった。
ひゃー。恥ずかしい! 目をつむって唇つきださなくてよかった・・・ 危うく大恥じかくところだった。
ってなわけで、小1時間もそこにいて帰途についた. この続きはまた後で… さてそのウィリアム・モリスであるが、彼のデザイン柄は未だに廃れず、ファブリックやカーテン、壁紙、などで使われ人気がある。 イギリスの想い出にモリスのデザインのものを買って身辺にイギリスをいつまでも感じていたいと思った。 そのマグカップが壊れてしまった。 想い出まで壊れてしまった訳ではないのになぜかさみしい想いがこみ上げてきた。 風の便りでは、あのマーティンはいまだに独身だそうな。 マーティンのマグカップは壊れていないだろうか?
柄がとれてしまったマグカップを見ながらイギリスの想い出が頭をよぎった。
三寒四温。 寒い昨今だけれどもうじき3月。
“March comes in like a lion.”
“And goes out like a lamb.”
二人で交わした最後の会話。
今夜は冷えそうだ。 柄のとれたマグカップでミルクティーを飲もう。
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