| 歴史が題材の作品。 |
映画だったりテレビだったり小説だったり漫画だったり、色んな方面で「歴史もの」ってあるけど、ものによるけど、実は私はあんまりこういうのが好きじゃなかったりする。
例えば、そろそろ公開になりそうな映画、「アレキサンダー」。あれって、まるで映画の中で描かれてること全てが「真実」のような描写をしているような気がする。と言うか、映画の謳い文句とかそういうのの雰囲気が。見ていないから実際どうなのかはわからないけど、そう言うのを見ると一応4年間歴史を学んだせいだろうか"どうしてそのことを「真実」だと思ったのか"と言う理由を問いたくなる。
あからさまに創作だってわかる作品は別にいいんです。例えば長寿番組、「水戸黄門」。まさか水戸光圀公が本当に少数で身分を隠して旅をして色んな事件を解決していったなんて思う人はいないだろう。
要は、どのような根拠に基づいて作品の中で描いた「真実」を「真実」としたかを明らかにして欲しいんです。どんなにお金をかけられて、超大作として名作と語られることとなっても、「真実」と「創作」の境がはっきりわからないとほとんどを「真実」として受け入れてしまう人って結構いるんじゃないかと思う。その境を明らかにするとか、そういうことをして欲しいなぁ、と思う。
もちろん、これらを歴史とか関係なく、一つのエンターテインメントとして受け止めるのもアリだと思う。「真実」がどうであったのかとか、そんなことは関係なくて、ただ面白いから評価するってのは別に極普通のことだと思う。だけど、せっかく「歴史」と言う題材を扱うからには、その「歴史」について、本当に勉強して欲しいと思うし、その過去に確かにあった出来事を大事にして欲しいなぁと思う。
例えば、中国のある時代の皇帝を描いた作品を創るとします。その時にどんなにたくさんその時代の概説書を読んでもあまり意味はないんじゃないかと思う。そこに書かれたものは歴史上の重要な部分のみ。一番上の部分のみ。だからせめて正史(有名なのでは『史記』とか。紀伝体で書かれた史書で、基本的に各王朝に一つの正史がある)は読んで欲しい。
でも正史は実録と呼ばれる、様々なちょっとした世の中の動きを日付をつけて記録したもの(要は紀伝体か)を、その王朝が滅んだあとに現王朝が再構成し、必要な部分を編纂するものであって、現王朝の都合のいいように滅んだ王朝のことについて多少手を加えることもあったりするようだ。だから『正史』と呼ばれるからって頭から信じていいものとも言えない。それに、実録と比べると相当簡略化されているわけだし。そうなると、実録を見ればいいのかってことになるけど、実録にだって実は結構間違いがある。だってこれはあくまでも中央の政府が作ったもの。地方のことを間違えて記していることだってあるし、記録した人だって所詮人間であって、普通に書き間違えとかもある。そうなると地方志にも手を出したり、他にも色々と見るべき史料が増えるはず。
また、皇帝に常について、毎日皇帝のする全てのことを書き記したと言う『起居注』と呼ばれるものがある。この『起居注』はその量が膨大すぎてさすがに現存するものは殆んどないみたいだけど、描く対象が皇帝であるならそれを見ることが出来れば、それこそ皇帝がその時にした行動の全てが書かれているんじゃないだろうか。例えば、今日は何時まで公務をした。とか。
以上は私が今まで授業で受けてきた内容であったり、卒論を作成する際に色々と気づいたことだったりもするけど、歴史とはその時代、その時に確かに事実として起こったことであって、その真実を探ることは本当に難しいこと。そしてなんでも記録する習慣のあった中国ですら、たくさんの記録はあってもわからない真実は数多い。
だからこそ、理由が見えないのになにか作品の中で「これがこの歴史の真実だ」みたいなことを言われるのがどうも好きになれない。真実がわからないならそれでいいし、完全な真実なんてわからないのが当たり前で、それでいいと思う。謎があるからこそ歴史って惹かれるものだと思うし。だから、歴史を扱う作品の中では歴史を題材にした完全な創り物としてエンターテインメント性に富んだ作品を創るか、しっかりした研究や調査、検証に基づいた論から「こうであったんだろう」と言うものを描いて欲しい。そして、そう言った作品にエンターテインメント性はあまり必要がないと思う。現在世の中で実際に起こっていることに、エンターテインメント性を大いに含んだ事実なんてそうないもん。例えば世界中で起こっている紛争や戦争をエンターテインメント性たっぷりに描いて「これが真実です」って言われても、あまりいい気がしなくないですか?多分私が抱く感情はこういうものなんだ。
なんか、自分でも書いててややこしくなってきたからこの辺で終了。中国の正史、実録、起居注なんかに関しては間違った記述もあるかもしれない。と言うかある気がする。いや、きっとある。そうだったらごめんなさい。まだまだ未熟者ですから。
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2005年01月27日(木)
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