珈琲の時間
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たくさんの雨が降りました。 外は薄暗いから部屋の明かりをつけました。 まだ昼です。 いや、 もう昼です。 あいかわらずこの家には誰もいませんね。 地下を探検してみましょう。 階段をおりた正面の部屋。 ここにかつて人がいました。 目をつぶっても、 目をこらしても。 はっきりとした表情が思い出せません。 ただぼんやりと雰囲気だけが目蓋の奥に形を作ります。 20数年同じ屋根の下に暮らしてきても こんなものなのでしょうか? 今朝までここにいたあなたの事を考えても、 悲しい事に結果は同じように終わりました。 いかに普段見逃しているのかを思い知って、 今日あなたが帰ってきたら 少しでも笑顔を思い出せるようになるように よく見て、よく楽しんで、そして焼きつけましょう。 そう決めたのですが、 きっとそのうちにまた、忘れてしまうんでしょうね。 そんな事はない、とは言い切れません。
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