月の輪通信 日々の想い
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2004年10月04日(月) 障害者優先

2日中学校運動会。
3日、小学校運動会。
「快晴の空の下」とはいえなかったけれど、とりあえず期日どおりに日程消化。
小学校の運動会では、広報の取材で走り回る母と、午後から教室の仕事で泣く泣くうちへ帰る父に代わって、中学生のオニイがアプコ番を買って出てくれた。

「広報」の腕章を付けて写真撮影飛び回ってくれる委員さんたちの連絡係のつもりで本部席周辺で終日過ごす。
小学校の運動会では、会場の準備や競技の進行などの多くの部分を高学年の子ども達が自分達で行う。
観客席を離れて本部席周辺にいると、子ども達が自分の出る種目の合間を縫って、自分の持ち場へ駆け回っている様子がよく見える。
競技の準備や徒競走のスタート係、低学年の子の誘導、場内放送など、一人一人に役割が割り当てられていて、てきぱきと自分の役目を果たす。先生方は子ども達の背後に立って、さりげない指示やフォローを行うだけ。
その務めぶりが、見事な組み体操や全力疾走する姿の美しさにもまして生き生きとして気持ちがいい。
運動が苦手な子にも、人前に立つのが辛い子にも、ちゃんと居場所のある運動会というのはありがたいなぁといつも思う。

本部席周辺で小耳に挟んだ話。
運動会の時間中、PTA役員は、交代で校内のパトロールに回る。
今年は観覧席でのルール違反などの報告もなく、例年対応に苦慮する駐車場問題も大きなトラブルはなかったそうだ。
特に観覧者の駐車場については、今年は自家用車で来校してもよい人を高齢者や障害者などを連れているなどの事情のある人に限定して、事前に申告するようになっていたので、かなり混乱は解消されたらしかった。

唯一、クレームらしきものといえば、「障害者が乗っているから」と一般観覧者用ではなく来賓用駐車場に駐車させてくれるよう申し出た人があったらしい。
来賓用駐車場は一般用より校門に近い場所にあって、すこし便利がいい。
けれども台数に限りがあって、途中で出入りする車も多いので、一般の保護者の車を入れると、収拾がつかなくなるのも分かっている。
結局は警備員の方が「ごめんなさい」と断って、一般用の駐車場に誘導して落ち着いたらしい。

この件についての役員さん仲間と雑談。
私自身は、本当に障害者の乗っている車なら少々ルール違反でも来賓用駐車場へいれてもよかったんじゃないかなぁと思っていた。
けれども、担当の役員さんのなかには、
「今日、車で来ている人たちは皆、高齢者や障害者などやむをえない事情があって事前申告した人たちばかり(のはず)。だから、『うちだけは特別に来賓用に入れて欲しい』という要望は入れられない。」と強く主張される方もあって、あれれと思った。
「運転者自身が障害者というわけでもないんだから、足の悪い人をいったん校門付近で下ろして待たせておいて、一般用駐車場へ車を置いてくる事だって出来るんだし・・・。」
とその人はいう。
よくよく話を聞くと、高齢者や障害者がいると偽って自家用車で来校する人も過去にはあったらしい。そういうルール違反をいちいちチェックする事が不可能な以上、一律に一般駐車場に誘導するというのがさしあたりまっとうな対処方法だったのかもしれない。

でもなぁ、それぞれの事情は見た目では分からないからこそ、「障害者がいるから、お願い!」と申し出た方にはもう少し柔軟な対応があってもいいのではないかなぁと思ったりもする。
もともと、来賓といっても他校の先生とか地域の役職にある方とか議員さんなど元気にお仕事に走りまわっておられる方ばかりだ。そういう方は少しぐらい遠くに駐車しても、元気な足で歩かれればいい。
一番会場に近いところに障害者や高齢者用の特別なスペースを設けられなかった以上、本当に重篤な条件を持つ人の車を来賓用スペースに例外的に駐車させる柔軟さも必要なのではないのかなぁ。

「ま、結果的には、あまり文句も言われずに一般用の駐車場へ入れてくださったようだから、それほど差し迫った事情でもなかったんでしょうけどね。」
障害者の駐車を断ったという気まずさを打ち消すように、みんなと一緒にうんうんとうなずいていたけれど、私の気持ちの中にはざらざらしたモノがいつまでも残る。
帰りに運動場の端っこでぽつんと座っている足の不自由な少年を見かけた。多分どこかの養護学校生か、在校生の兄弟なのだろう。
来賓用駐車場への駐車を求められた車の主がこの少年のご家族だったら、きっと会場に1メートルでも近い駐車場を希望なさっただろうなと思うと、なんとも切なかった。


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