闇鍋雑記帳
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1970年07月01日(水)

2009.09.08

この日は、2回目の妊婦検診でした。
思いがけず第二子を授かって、長い夏休みの間、プニ坊につわりで随分と色々我慢させてしまいました。
もう少しでつわりともお別れだし・・・と、検診のためにプニ坊の延長保育を園にお願いし、受診しにいきました。

予約といえど、大きな病院ですので、待つのは1時間を軽く超えます。
早く赤ちゃんに会いたいなぁ。元気に育っているかなぁ。16日は初期母親学級だし、そのときにはお友達にプニ坊を預かって貰って・・・などと算段しておりました。

そして、受診。
いつも通り、問診をしてから内診に移りました。

内診台に乗り、超音波で赤ちゃんを診察すると、前回よりかなり育っていました。
大きくなっていて良かったと思ったのですが、赤ちゃんの心拍が見えません。
先生も、「・・・前回よりは育っているんですが、赤ちゃんの心拍が見えないんです。」と仰います。
「この大きさなら、もう、はっきり見えておかしくないんですが・・・。もう一度お呼びしますので、一度中待合いでお待ちください。」と言われました。

そして、再び診察室に呼ばれ、所見を聞きました。

・赤ちゃんは、12週から13週くらいまでは順調に育っていた。
・何らかの理由で、心拍が止まってしまった。
・たぶん、一週間は経っているので、早くに出さないと、母胎に感染症が起こる危険性がある。
・早くて明日、入院できるか。家族と即連絡を取って相談して欲しい。

頭の中が真っ白になってしまいました。
だって、つい先日、プニ坊と年少で同じクラスだった人3人で妊娠が分かり、
月も1月、2月、うちが3月と、並びで生まれることが分かって大喜びしていたところだったんです。
そして、プニ坊も、今日の結果を心待ちにしているというのに。
今回の妊娠の為に、町内会でも班長兼地区長という事だったのですが、次の方に頼み込んで、お役を変わって貰い、免除になったというのに。
義父の葬儀後の初盆なども、全て義母の配慮で欠席させて貰ったというのに。

何で?

どうして?

そればかりが頭の中を駆け巡っていました。

でも、ぐずぐずしてはいられません。
一刻も早く夫に知らせなければいけません。
携帯電話を忘れてきてしまったので、公衆電話から夫の勤務先に連絡を取り、努めて冷静に事実を伝えようと思ったのですが、途中で涙が出てきてしまい、涙声になってしまいました。
夫は、仕事の途中だったのですが、職場を抜け出してきてくれ、一緒に先生と話をしてくれました。

今回は、14週を超えた繋留流産のため、初期流産のような掻爬は出来ない為、出産と同じようにして胎児を娩出するという事だそうです。
なので、1日の入院で終わるわけではなく、3日ほど入院して貰いますとの事。

今日分かったのに、明日もう処置に入らなくてはならないなんて・・・。
必要なことだとは分かっていても、パニックでした。

わたくしは、今回の流産を含め、過去3回流産し、子宮外妊娠を一度経験しています。
今回で5度目の流産となってしまったのです。
慣れているつもりでも、どうしても今度だけは涙が止まりませんでした。

中待合いで待っていると、検診を受けている妊婦さんの胎児の心音が、診察室内から聞こえて来ます。
そして、周囲にはおなかの大きな妊婦さん。
皆が、胎児の無事を確認できているのに、自分だけ出来ない。
そんな気持ちがあり、夫がしきりに椅子を勧めてくれるのですが、とても彼女たちの横に座る気分になれませんでした。

夫は家まで送っていってくれました。
しばらく一緒にいてくれました。
今度こそ上手くいくと思っていたのに・・・。
そう言って、泣きました。
夫は黙って肩を抱いてくれました。
プニ坊にも、ちゃんと話をしなければなりません。
夫が「俺がちゃんと話をするから、それまでは黙っていて。」と言います。
彼が帰ってくる時間に、また帰ってくるからと、仕事に戻りました。

明日からの入院に際して、プニ坊の送り迎えが問題になります。
いつも朝一緒に登園しているお母さんに、事情を話して協力を仰ぎました。
そして、金曜日だけは体育教室がありますので、仲良くしてくれているお母さんに、事情を話して着替えなどを見てもらえるよう依頼しました。
快諾してもらえたので、それはそれでありがたいと思いました。
そして、入院準備を整えていたら、プニ坊を迎えにいく時間になり、幼稚園まで行きました。

明日から3日間入院になりますから、週末までの分の延長保育のチケットを書いて出し、先生に事情を話しました。
金曜日は体育教室なので、体育教室の後に延長保育をして戴けるようお願いし、了承を得ました。
ちょっと早めの時間だったので、プニ坊は「まだ遊んでたんだよ〜」と、不満そうにわたくしに言います。
それでも、素直に帰る準備をしてくれ、助かったと思いました。
担任の先生が来てくださり、事情は事務の先生から伺いましたので、出来るだけサポートしますと仰ってくださいました。ありがたいことです。
そして、園を出ると、ちょうど夫の車が我々を迎えに来てくれていました。

プニ坊は「ねえ、赤ちゃんおっきくなってた?何センチ?60cm?」などと、無邪気に聞いてきます。
事実を知ったら、愕然とするでしょうが、家に帰るまでは言えません。
なので、「うん。60センチは無いけれど、6センチくらいかな・・・」と、お茶を濁したような返事をしておりました。

そして、家に戻り、夫から事実を知らされたプニ坊は、「え・・・」と、絶句してしまい、「僕、赤ちゃんが生きていると思ったのに・・・」と、顔を歪めました。
過去、何回もぬか喜びをさせられたプニ坊も、今回こそはと、ものすごく期待をしていたのです。
お兄ちゃんになりたくても、なかなかなれない彼は、「赤ちゃんが生まれたら、僕、いっぱいあそんであげるんだ」「赤ちゃんに、おもちゃいっぱい貸してあげるんだ」「僕、妹が良いなぁ」と、妊娠する度に言っていたのです。
なのに、一度もその気持ちを叶えてあげられない。
なんと不甲斐ないのだろう。
彼の気持ちを思うと、情けなくて涙が止めどなく流れてしまいます。
こんなに兄弟を切望しているのに、どうして作ってあげられないんだろう。
自分がとても恨めしいのです。


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