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2005年12月20日(火) 『キングコング』と『ロード・オブ・ウォー』

今日は『キングコング』と『ロード・オブ・ウォー』の二本立て満喫してきました。どっちも面白かったよ〜。キングコングの方は、噂にたがわぬ感動作で泣いてきました。

ここからはネタバレがありますので、反転してお読みください。

やっぱりPJはすごい。ちょっとCGくささが目立ったものの、映像はさすがに迫力がありました。ジャングルに差し込む日差しやエンパイアステートビルの向こうのイーストリバー(ハドソンリバーかも)に映る朝日もきれいでした。PJの尊敬できるところは、キャラ作りのうまさと豊かな発想力ですよね。キャラはアンやジャックやキングコングはもちろんですが、ジャック・ブラック演じるカールや船長、ジミー、ヘイズ、男優バクスターと、絶妙なキャラクターにびたっと合う役者を揃えてきて、ひとりひとりに物語があるような感じ。指輪もそうでしたよね。船長がカッコいいったらありゃしない……ヘイズとジミーの関係もすてきでした。船長/バクスター/船長とか、ジャック/船長/ジャックとかちょっと想像しちゃったなあ。でもやっぱりキングコングとアン、アンとジャックの関係が最高。ジャックは、浦沢直樹のキートンさんに似てませんかね。

アンに拒絶されて子どものように暴れるキングコングを見ていて、指輪のPJのコメンタリーを思い出しました。彼はトロルのことをかわいそうだ、母親がどこかで待ってるかもしれない、というようなことを話していましたが、PJの生き物全体に対する広い愛情は、キングコングのような映画と出会うことで育まれたのかもしれないですね。虫や恐竜じみた巨大な爬虫類のひとつひとつから、彼の愛情を感じました。原住民や恐竜の描き方がステレオタイプすぎるかな、とも感じたけれど、それもすべて彼の子どものような無邪気さゆえだと思えば、こちらも冒険に胸躍らせる子どもに返って楽しむことができました。
それにしても、でっかい爬虫類をキングコングが倒しまくり、アンを助ける姿を見ている時、私は同じ哺乳類動物への親近感と安心感を感じました。あれがキングコングじゃなくて同じくでっかい恐竜だったとしても安心感を抱いたとは思うけど、やっぱり哺乳類としての親近感はでかかったと思う。恐竜もユーモラスでかわいかったけど。虫となるとグッと親近感がさがりますね。

キングコングのアンへの気持ちはひとりよがりで愛とは呼べないかもしれず、ただの執着心かもしれないし、アンのキングコングへの気持ちも憐れみに過ぎないのかもしれませんが、だからこそ哀しくて胸打たれます。それにたいしてジャックは相手に譲歩することの大切さを知っていて、強引に奪うことなどできない優しい男。一方的に求めるのではなく相手の気持ちを大切にすることこそが愛だと教えてくれる存在です。ちょっとこのテーマはオペラ座の怪人に似てなくもない。

時間があればもう一度観たいと思います。


そしてロード・オブ・ウォー。これまたネタバレと妄想づくしなので、反転してお読みください。


これはいい映画ですが、きわめて政治的な話です。ジャレッドのことは後に譲って、映画自体の感想としては、ひじょうに理論的でわかりやすい筋書きにもとずいて作られた良心的な映画、という感じでした。ニコ演じるユーリは自ら『国際派』と称して、主義や思想に縛られずどんな相手とも取引をするアーム・ディーラー。彼は道義心も人並に持ち合わせています。けれどその道義心に干渉されることなく、冷徹にビジネスを行えるほどの充分な才能(勘)にも恵まれている。それが彼の強み。ジャレッド演じる弟ヴィタリーとは違うところ。最初のうち、彼は自分が売り捌く銃によって誰かが殺されているという実感を持っていない、というよりも、その事実から眼を背け、いわゆるバカの壁を築くことができています。ところが仕事が本格的に軌道に乗り出すと、自らも引き返せない危険地帯に足を踏み入れることになります。
その結果、彼は自分の取引によって実際に人間が殺されているという実感を、ついに持たざるをえなくなってしまう。最初に伯父が殺され、同業のライバルが殺され、アフリカの紛争地域の荒廃ぶり、銃という圧倒的な力に支配され、その犠牲となる人々の姿を目の当たりにし、ついには弟までも殺されてしまう。
ユーリーは、はじめて強制的に引金を引かされることによって、眼を背けていた事実と直面させられます。そして彼はイーモン・ウォーカー演じる極悪非道な独裁者(かなりカッコいい)を、「まるで鏡を見ているように瓜二つだ」とすら感じる。結果的にユーリーは、イーサン・ホーク演じるインターポールの捜査官バレンタインに事実を暴露されることによって、愛する妻にも、両親にも見捨てられ、すべてを失うことになるのですが、ヴィタリー同様、他の人々(つまり普通の人間)は道義心ゆえにユーリーの行動を許せなかったのであり、妻は「私は何事にも失敗したごく平凡な人間だけれど、人間失格にはなりたくない」と言います。

ジャレたんは、もし今自分たちの取引が成立すれば、すぐにでも眼の前にいる難民が虐殺されるとわかり、もうどうしようもないし、引き返すことはできないと言うユーリーにこう言います――「今日はできる。眼の前にいるんだから」。それはつまり、ユーリーというひとりの人間にとって、最大のビッグ・チャンスを意味していました。普段は悪事を働いてもどこで誰が殺されているか、果たして殺されていたとしてもそれが本当に自分の銃によるものなのか確証は持てない。たぶん大丈夫さ、と実感を抱くことから逃げることはいくらでもできる。けれどヴィタリーが言うように、その瞬間ははっきりと、明確にユーリーにも理解できた。取引を成立させれば、自分のせいで大勢の難民が虐殺されるわけです。それでも、ユーリーは引きません。

この映画を観ていて、最初から最後までユーリーの行いに義憤を抱くことはありませんでした。なぜなら、自分の銃が人を殺すという実感を得てもなお、ユーリーが最後までビジネスから手を引かなかった理由を理解できるからです。それは、「自分以外の人間もやっているし、また自分たちがいなくなっても必ず新しい人間が跡を継ぐんだ」という確信です。石油にしろ、タバコにしろ、銃にしろ、麻薬にしろ、取り締まる側にとってはイタチごっこ(取り締まったことないけど!)。ユーリーの場合、扱うのは銃ですが、CIAが冷戦時代、ムスリムにソ連との聖戦を呼びかけ、アフガニスタンに年間6万五千トンの武器を供給したことはよく知られているし(やがてこれがビン・ラディンの資金源になった)、ロシアは北 朝 鮮を、中国はネパールを軍事支援しています。個人の力では変えることのできない世の中。自分は取るに足らないちっぽけな存在だということ。ユーリーはそうしたことを諦めて、あるいは開き直って受け止めている。彼がバレンタイン捜査官に言う台詞は痛烈です。

という具合にまじめな内容の映画ではありますが、奇をてらっていないけどこだわりを感じさせる映像や、白鳥の湖、アメリカの国歌などをアレンジした音楽、ウィットと皮肉に富んだ会話などは観ていて清々しい気分に。自家用機がボロボロになっていく過程なんかはかなり笑えます。ジャレッドのジャンキーぶりもエロおもしろいですよ! 

ジャレたんは相変わらずカッコかわいい生き物でした〜。女とセックスをするシーンの喘ぎ声がたまりません! アップになった時は会話を忘れて見惚れます。私はすっかりジャンキーに堕ちたジャレッドの汗ばんだ顔とやばい感じの震えなどにハァハァしました。女をとっかえひっかえですが、本 当 は 兄 貴 に 抱 か れ た い ん じ ゃ ね ー の か い 。車内でユーリーに抱きつき、頬にキッスをするあたり……何度も言ってますが、ニコラス刑事って男はいつも羨ましすぎ! あれだけいい男と共演していてホモにならないなんてもったいない。ジャレッドはずっと無精ひげですが、やっぱり彼はひげがある方がイロポいですね。今回もまた死にました。更新記録です(なんの)。

ところで、ここで一発告白を……やられてしまった……イーサン演じるバレンタイン捜査官に! それほどイーサンファンというわけではないのですが、バレンタインはドツボにはまるキャラでした。というのも、やっぱりこの映画において、彼は良心だと思う。それも光を失いかけながらもどうにか輝き続けようとするような。
バレンタインはユーリーをマークするインターポールの捜査官として登場しますが、それはまるでル パ ンと銭 形の関係(インターポールだし!)。普段はタフでクールな凄腕刑事を気取っているけど、ベッドじゃまぐろじゃねーのか! だいたい部下に「サー」と呼ばれているあたりがも、もう……。武装した姿もカッコいいけど、スーツ姿もエロいぞ! 
ユーリーと真っ向から対立する彼は、法と秩序を守ることに情熱を燃やしながらも、それゆえに時には法の拘束力に苦悩する男。そんな男だからこそ、ユーリーのような人間を許せない。ラストでユーリーに、彼が抱く矛盾をどんぴしゃりと指摘された瞬間に見せる、虚無感に打ちのめされた表情がたまりません。多分、バレンタインはユーリーに言われるまでもなくそんなことは、昔から知っているのです。アフリカで、ユーリーを24時間拘束する権利がある、と言い放った後で、彼は言います。
「24時間お前を拘束することで、お前の犠牲者の死をその分だけ先送りにすることができる。俺はお前に24時間を与えるんじゃない。彼らにその時間を与えるんだ」
自分の正しい行いに誇りを抱いている反面、自分がちっぽけな存在で、ほとんど意味のないことをしている自覚も、彼にはある。でもきっと部下の前ではそんな迷いは見せないんですよ! 一人になった時に、仕事一筋で家庭もない(当たり前さ、ホモなんだから!)、趣味もない、将来の展望もないことにふと気がついて、18時間くらい無為に過ごすバレンタイン! はーはー…萌える……。気がつくとにっくきユーリーを思い出している俺って何なんだろう……。
映画のラストではユーリーもたった一人になります。彼はすべてを失った時、その心境を奇しくもバレンタインなんかにぶちまけてしまいました。お互いというものを知ってしまったふたり、さあ、今後どうなるのでしょうか! 待て『ロード・オブ・ウォー2』! ねえよ! 書きたーい書きたーい……。


ヴィタリーものも書きたいけど、兄貴以外に相手がいないからなあ。ユーリー×バレンタイン×ヴィタリーがいいかも。萌えちゃうよー。

コメントもこちらから。私が旅の途中で撮っただいたいが欧米の風景写真が表示されます(地味に交換してます)




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