個人的なことですが、今日起きた哀しい出来事についてお知らせしようと思います。 7月13日午前7時頃、自宅でとんちゃんが息を引き取りました。半年ほど前から、高齢のため心臓が満足に機能しなくなり、朝晩の薬が欠かせない状態が続いていましたが、6月の頭から急激に症状が悪化し、何度か病院に連れていったものの、今朝、肺水腫のため亡くなりました。このサイトや本でもお馴染みのアイドル犬(と勝手に私が思っていただけですが)、特に昔からお越しくださってた方の中には、メールの文末に「とんちゃんにもよろしく」と書いてくださる方も少なくなかったので、お知らせしておこうと思いました。 家族に見守られてのやすらかな死でした。数日前、医師である父が病院から聴診器を持ってきたのですが、最後は前脚を握りながら私が心臓の音を聞きました。酸欠のためか、その時にはもう意識がありませんでした。少しずつ心音が弱く小さくなっていき、最後に突然余力を振り絞るように逞しく打ちました。何度が咽喉に痞えたものを吐き出すような行動を取った後で、心臓がぴたりと動きを止めました。あとはぐったりし、舌も垂れていたので戻してあげました。毛布を敷いたダンボールに入れ、好きだったぬいぐるみと、多分本人は嫌いだっただろうリード、好物で昨日の昼まで食べていたほねっこ、それに、お母さんが庭で育てた大きいバラを二輪添え、上から身体にタオルをかけました。 夕方、火葬して遺骨は持ち帰りました。前から家族で話していましたが、灰は庭に埋め、何かとんちゃんらしい白い花が咲く木を植えようと思っています。花言葉を調べましたが、「永遠の感謝」と「終わりのない友情」が気に入ったので、その花を検討していましたが、母が「とんちゃんらしい」ということで白いつつじはどうか、と提案してくれています。 とんちゃんと出会ったのは高校一年の時でした。まだ生まれたばかりの仔犬でしたが、飼いはじめてすぐに、こんな驚異的なものがこの世にあったのかと思いました。当時の私はかなり嫌な奴で、世の中のことを何でも捻くれて捉えるところがありました。今思えば、多分それは世の中で素晴らしいと評判の愛とかいうやつを、たいして信じていなかったからだと思います。ところが、とんちゃんが家に来ると同時に「まじかよ!」という驚き連発の日々がスタートしました。最初に遭遇した驚きについては、よく覚えています。それは「犬(動物)ってこんなに感情豊かなんだ」ということでした。幼い頃、鳥やネコを飼っていましたがあまり記憶がなく、ペットなんてせいぜい動くぬいぐるみだと思っていた私にとっては、それはそれは衝撃でした。とんちゃんは私の人生中に出会った、一番の衝撃であったことは間違いありません。 とんちゃんと無理やり仲良くなり、一緒に過ごす時間が増えるにつれ、とんちゃんはどんなふうに死ぬんだろうな、と思うようになりました。私は小学1年生くらいの時、自宅で一人茶漬けを食いながら、「私もいつか死ぬんだな」と漠然と思い涙を垂れたことを強烈に覚えていますが、再び死への恐れを抱くようになったわけです。大学二年の時、とんちゃんが子宮蓄膿症になり手術をしたのですが、その時は一晩中泣きながら、私の左腕の一本くらい無くなってもいいから、神様、頼むから助けてくれ〜と思いました。 とんちゃんに関する喜怒哀楽を伴う数々の衝撃に出くわすにつれ、だんだんとわかってきました。犬であれ人であれ、その相手が交通事故に遭ったり、いかれた奴に暴行され殺されたりする悪い想像をして怯えることや、家の中で粗相をしても、しょうがないと諦められること、自分の何かを犠牲にしてもどうにかして助けてやりたいという気持ち、つまりこれが噂に伝え聞く愛情ってやつなんだな、と。 それがわかり始めると、何となくガスがかかっていた世界がどんどんクリアに見えてきました。世の中の出来事が違って見えてきます。たとえば子どもを持った母親の眼に、世の中の子どもがこれまでと違う存在として映り始めるように、巷を賑わす犯罪や天災、圧政、飢餓、戦争といったものが、必ずどこかで誰かを悲しませているという事実に、傷ついたり思い悩んだりするようになりました。こう書くとそれまで私の心はどこへ行っていたんだって感じですが、「愛って本当にあるんだ。しかも愛ってスゲー」という実感が遅ればせながらやってきたわけです。これが私にとっての、とんちゃんという存在でした。 今はヘパイスティオンを失ったアレクサンドロスの気持ちがよくわかります。アレクサンドロスだけでなく、サムとフロドの別れや、イリアスにおける宥和の精神がもたらす感動なども、こうして実感できるのは、飼い主にまともにお手もしなかったふてぶてしいシーズー犬、とんちゃんと過ごした10年間のおかげです。 私にとって6月、7月は大変な時期でした。幸い、明後日からグアム旅行です。この寂しい家で、ふとしたきっかけでとんちゃんの不在を思い知らされるよりは、南国できれいな景色を眺めて元気を取り戻してきたいです。一緒に行く友人には悪いのですが、ずっと泣いててくれても私は構わないよ、と言ってくれています。 ところで、現在エンピツフォームは使用できません。メール受信がなぜか出来ない状態が続いていますので、申し訳ありませんがしばらくはお控えください。板やメールの返事が溜まっておりすみません。でも、懲邪フィク投稿スレなどはガンガン書いてくれてかまいません! 旅行で活力を取り戻したら、また地味に活動を始めたいと思います。
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