| 2014年03月16日(日) |
リングにかけろ感想+『宇宙からの客』 |
車田水滸伝連載開始前に一度きちんと読んでおかなければと思っていた「リングにかけろ」。ようやく最後まで読みきることが出来ました。 面白かったー! ひとつひとつの試合(戦闘)がさくさく進むんで、テンポよく読めました。ジュニア戦、日米対決、影道、世界戦、十二神、阿修羅など全部入って25巻。今のジャンプならこの3倍は巻数ありそう……。 影道編とカイザーナックルで微妙におかしい方向に進んだし、阿修羅編はリングすら離れてよりいっそうおかしな方向に進んでましたが、最後の最後にはスーパーブローを横に置けばオーソドックスな試合形式に戻ってくれたのが良かったです。おもいきり風呂敷を広げまくって、超アイテムの出まくるバトル物にシフトする可能性だってあったわけでさ。風小次がわりとそんな感じだったし。いくら忍者が活躍する話でも、あんな風に聖剣戦争するなんて思ってなかったんだもんよ……。 冒頭の普通にボクシング漫画してた頃も、70年代っぽさが良い味出してて面白かったんだよね。確かに、車田作品ならではとなると、とんでもボクシングになってからが真骨頂だと思いますが。テニプリが最初はそれほどテニヌじゃなかったようなもんかね。
キャラクターもそれぞれ魅力的。 竜児は、ともかく優しい性格が良い。最初の頃は気弱な部分が強調されてるけれど、前向きにボクシングに取り組むようになってからは、まわりが強烈すぎるだけに彼の真人間っぷりに癒されます(笑)。 菊ねえちゃんは、破格の才女な上に美人という持ち上げ設定だけど、じゃじゃ馬っぷりも破格なので、上手いことバランス取れてる感じ。時代が時代だからか、本人が女子ボクシング選手を目指すのではなくあくまで裏方になるしかないというのも、菊ねえちゃんの健気さと切なさを演出してます。まあ、現代が舞台でも菊ねえちゃんは竜児を育てる方に注力しそうではありますが。 ライバルの剣崎はくっそ性格悪くてな(笑)。お約束のようにいけすかない金持ちぼんぼんとして登場するのだけど、これまたお約束として努力の人でもあり真摯にボクシングに取り組む姿も見られるため、憎めない良キャラになっているという。剣突していた菊ねえちゃんと惹かれあうようになるのも、剣崎の魅力をより高めてると思う。 石松は、最初の頃はスケベ系のお調子者キャラな感じだったから、2での菊ねえちゃんへの一途っぷりと比較して男前度足りないと思えたのですが、話が進むほど男前キャラに近付いてったのが面白かったです。最初は菊ねえちゃんへの想いはミーハーな気持ちが強かったけど、どんどん本気惚れしていったのかなあ。 志那虎は、2を先に読んでいた身からするとイヨリンのお父さんだーという気持ちが強く(笑)。無印より先にΩを見た人だと、紫龍にこんな気持ちを持ったのかなあ。剣崎や河井さんに比べると、最初からそんなに悪印象を持たずにすむだけでも良いキャラだと思います(笑)。 河井さんは、最初の犬殺しがひどいので「許さんぞてめー」な気持ちになっちまう。お姉さんとあわせてひでえ性格なので、響くんがどうしてあんなに良い子なのか疑問に思っちまったほど。でも、彼も話が進むと、打たれ弱さやらそこからの脱却やらで、良いキャラに見えてくるんですよね。竜児たちとチームを組むようになってからは人柄もどんどん良くなっていったし。
日本Jr.以外も素敵キャラ多いです。 特に好きなのは、影道の総帥! 剣崎の弟だけど遥かに真人間だという話は聞いていたけど、実際に読んでみたら本当に真人間だった。服装以外はまともすぎた。 ビジュアルだけなら袖なし服+破れ半ズボン、長髪に傷だらけというワイルド系なのに、一人称は「わたし」で二人称は「きみ」で、竜児のことを「高嶺くん」と名字に君付けで呼ぶのがすごく可愛い。 日のあたる場所には出たいという願いはあっても、基本は戦いを好まないという性格もすごく好きだ。お兄ちゃんがアレなだけに比較すると本当に真っ当。 総帥は、剣崎を追い出されはしたけど、影道の仲間に恵まれたからかえって幸せな生き方もできたんだろうな。だって、剣崎は、金持ちでも孤独を抱えてるじゃないか……。後々(リンかけ2)のことを思うと、本当に愛する人と結ばれることすら反対してくるようなお家柄じゃないか。 しかし、この真人間な殉も、リンリンとランランの年齢を考えると、剣崎と同年で子供こさえたってことなんだよな……。若いパパだね……。
* 『宇宙からの客』、読みました。 手代木さんの「包み」は雑誌で読んでいたけれど、新たにコメント欄もあったので、単行本も買って良かった度上昇。手代木版「包み」について画家の幸福に重きが置かれているような印象を覚えたのは、あながち的外れでもないのかなと思いました。 他の作品も、さすがに原作が星新一なだけにどれも面白い。「調査」はいやんな感じだよなあ……。地球側が相手がどうなってもいいやと思ってる時、向こうもどうなってもいいやと思ってるんだもの。どっちもどっちというか……。
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