最強の星の真下

2003年03月23日(日) イラク戦争に関して思うことその2。

<続き>

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小泉氏の思惑について

小泉氏の亜米利加への賛意表明は異様に速かった。
国連決議を云々し、国民に対してなかなか国としての旗幟を鮮明にしなかったのに、決議が無い、となった途端の賛意表明である。国民にも議会にも説明なく取られた行動だ。
何か嫌な感じである。実に感じ悪い。

何故あんなに速かったのか。
亜米利加に尻尾を振るため。とか、何でも亜米利加の言う通りにしておかないと後が怖いから。とか、日本にとって「国際社会」は亜米利加だけらしいし。とか。

実際、小泉氏、「後から賛意を表明したのではあんた誰?という事になる」と言っている。
しかも開戦後、ブッシュと電話会談までして念入りに賛成、亜米利加の武運を祈っている。

亜米利加にそこまで胡麻を摺る理由は何か。
まあ、現在のところ、北朝鮮しかないと思う。北朝鮮問題があるからこそ、こんなに胡麻を摺っているのではないか。
理由もなく、国民の非難により自分の政権を危うくしてまでこんなに亜米利加に擦り寄っているのなら、それはただの馬鹿者だ。
小泉氏は国民の支持があるからこそ総理の座に居られるのだ、という事らしいから。
唯一の武器を失うかもしれないのに、何の重大な理由もなく戦争賛成の意思表明を、あんなに速く行う訳がない。
そしてその理由は、国益に絡んでいない訳がない。
・・・というか、日本の政治屋が、そこまで計算の出来ない馬鹿ぞろいだと思いたくない・・・。
彼らは利害に敏感だから、その程度の計算はするだろう。



現在、「悪の枢軸」と目されているのはイラクと北朝鮮。どちらも独裁政治と見做されている国体である。
片割れ、イラクへの侵攻は既に始まった。
大方の予想によれば、まず亜米利加の敗戦は無い。

しばらく前に、北朝鮮が亜米利加を交渉の場に引っ張り出そうと裏で画策したというニュースがあった。しかし亜米利加に軽〜く蹴られた。
「亜細亜の事は亜細亜で。周辺国との協調こそが北朝鮮には必要だ。周辺国と話し合いをすべきだ」

彼らは威嚇として、ミサイル発射を何度も執拗に繰り返した。しかし亜米利加側は無視。
それどころか、米韓合同訓練などにより、威嚇され返している。

北朝鮮にとっては、「ミサイルで威嚇すれば話し合いの場に付かせられる。いつもの強請でゴリ押し出来る。援助を取り付けられる。力をちらつかせればいつも思う通りに出来たのだし」こんな計算があったのではないだろうか。
しかしブッシュには通用しなかった。
ブッシュと金正日。どちらも俺様大将な存在である。オレサマ同士の競り合いでは、絶対に国力のある方が勝つ。

イラク戦が終息すれば、次は自分たちだ。と、北朝鮮は思っているだろう。
何としてもその前に亜米利加を交渉のテーブルに付かせたいと思っていてもおかしくない。
彼らがそのための威嚇にどんな手段を使うのか?

日本に何発かノドンだかテポドンだかを打ち込む。
これが一番効果的だと思う。
何故なら、お隣韓国と異なり、日本は他国への出兵が出来ない。だからミサイルを何本撃ち込んでも反撃される心配がない。
韓国にそんな事をすれば、あっという間に報復されかねない。韓国には地続きの利もあることだし。
日本は、他国(つまり亜米利加)に泣きついても、自分たちの代わりに戦争してくれ、とまでは言えまい。しかし亜米利加も日本の被害を笑って眺めてはいられない。安保もあるし。彼らにとって日本は軍事的に重要な拠点でもあるし、財布でもある。万が一にも北朝鮮が「豊かな国・日本」に出兵したら大変である。
だから、戦争自体は回避され、日本に泣き付かれた亜米利加が話し合いの席に付く。
・・・とまあ、こんなシチュエーションを想像する。

北朝鮮が亜米利加と交渉したがっている今、亜細亜で最も北朝鮮の危険に晒されている国は日本だ。
なのに、肝心の我らが日本は、北朝鮮がミサイルを発射しそうかどうか、という情報の供給まで亜米利加に頼り切っている有様だ。

『北朝鮮が保有する弾道ミサイル「ノドン」の発射基地周辺で車両の移動が起きていることが13日、分かった。・・・(中略)・・・この情報は、北朝鮮が10日に発射した地対艦ミサイルの着弾地域に航行制限を出した7日以前に米軍から政府に伝達された。【日経新聞社】』

『今回、米軍から提供されたのは、北朝鮮の発射基地周辺で軍車両が燃料用ドラム缶を搬出したという情報。「単なる挑発行為。いちいち反応したら思うつぼ」(防衛庁幹部)との声もある。【毎日新聞】』

『沖縄県の米軍嘉手納飛行場に21日午後、米国ネブラスカ州オファット基地所属のRC135S電子偵察機(コブラボール)が再び飛来した。イラク戦争中、北朝鮮による弾道ミサイル発射準備などの挑発行動を警戒するとみられる。・・・(中略)・・・コブラボールは弾道ミサイル警戒の専用機で、米本国に3機しかない。先月15日に同飛行場に飛来し、北朝鮮の動きを警戒していた。しかし2日に北朝鮮の戦闘機に異常接近され、約20分間にわたる追尾やレーダー照射などの挑発行動を受け、4日に米国に戻っていた。【中村宰和/毎日新聞】』

情報後進国日本に、自力で未来を切り開く力は全くない。
自国を守るための情報収集すら出来ない国に、自立は有り得ない。
軍備を殆ど持たないのに、戦争に巻き込まれないようにするための情報収集すら出来ないなんて、そんな国は独立国家ではない。
今、日本は、非常に差し迫った北朝鮮の脅威に対して、何としてでも余所の国である亜米利加に庇護して貰わなくてはならないのだ。
米本国に3機しかないような貴重な機体を亜米利加が派遣してくれる程に、日本攻撃の危険は差し迫っているのだ。
日本人に出来るのは、この危機が回避されますように、と祈る事と、亜米利加に私たちを庇護して下さい、と縋る事だけだ。



欧羅巴には、日本を庇護する力も、日本を庇護する義理も、大義名分も何もない。
欧羅巴は北朝鮮の危険に直接晒されている訳でもないし。
となれば、日本にとって今大至急強化しなくてはならない「友好」は、亜米利加以外に無い。
他に選択肢は無い。他に今「日本を助けてくれるかもしれない国」は無いのだ。

でも現在小泉氏は、「日本を攻撃する北朝鮮の脅威に備えて、今亜米利加に賛成しておくんだよ」ということを、はっきりと明言できない。漠然と「北朝鮮の脅威のため」と言っても、日本人の多くはイラクに夢中で、自分たちがそんなに緊迫した攻撃直前状態に晒されている自覚がない。
しかしはっきりと北朝鮮が攻撃するから、などと言ったら彼らがどんな難癖付けてミサイル打ち込んで来るか分からない。
小泉氏、かなり苦心してるんだろうな・・・。

北朝鮮が弾道ミサイルを発射したら、日本は経済制裁に踏み切る方針。なのに、北朝鮮政府高官に「制裁は宣戦布告と同じ」と言われたから、「北朝鮮を刺激すべきでない」という意見まで出ている。というニュース。
どうしてそこですかさず、「であれば、貴国の弾道ミサイル発射を我が国は宣戦布告と見做します」と切り返さないんだ。
どうしてそこで開戦の口実の一つを北朝鮮に与えたまま引き下がるんだ。
これは外交上の大失点だろう。何故それを指摘しない。一体どこまで阿呆なのだ。
切り返さなかった以上、弾道ミサイルを撃ち込まれても、報復として経済制裁を実施したらこちらが宣戦布告をしたことになってしまうのだ。
経済による抑止という手札も半分無効にされて、日本に対抗手段が他にあるとでもいうのか。

こんな国である日本が、今、「反戦のために亜米利加に荷担するのを止めろ」という声に耳を傾ける訳がない。そんなことをしたら北朝鮮の思うつぼである。
いいように亜米利加への脅しに使われ、痛めつけられて、「豊かな国・ニッポン」に対して北朝鮮が欲を出せば一時占領までされて、亜米利加との交渉で渋々一部を日本に返還、一部は自国の領土にしたまま事態終息。
起こり得る最悪の事態は、こんな感じかな。



今、このイラク攻撃は、北朝鮮から守って貰う為に亜米利加に恩を売る最大のチャンスだ。しかも、恩を相当高く売れる。

何故か。
亜米利加に味方が少ない。というのも一因だが、それよりもっと大きな理由があると思う。
亜米利加には今お金が無いから。
世界のキャッシュディスペンサーとしての日本は、今の亜米利加にとって大変大きな利用価値があるはずだ。
つまり戦争終息後の事後処理、復興支援のスポンサーとしての価値である。

既に日本も、今回の件については戦後のイラク復興支援で全面的に協力する、と宣言している。
不渡り一歩手前状態にある、お金のない亜米利加が安心して戦争に踏み切れたのは、この、いくらでもお金を吐き出す打出の小槌が懐にあったからではなかろうか。
どうしてもHussein政権を交代させたい。でもお金がない。でもでも今がチャンスなのに。
そう思っていたブッシュに、日本の協力申し出は非常に当を得た援護射撃だったろう。

・・・しかしねえ。
本当に日本は打出の小槌なの?亜米利加はそうだと信じているようだけれど。
既に国債発行額はGDPと同額、100%の亜米利加も相当な財政難だが、日本はGDPの120%。亜米利加に輪をかけて酷い財政難なのに。
健全財政がGDP額の60%程度、だそうだから、日本は健全状態の倍の負債を抱えている訳だ。
そいえば日本、つい先日も一般向けに国債を発行してましたね。午前中完売、とか言ってましたね。
・・・一般市民、どうしてこの状態の日本の国債を買う気になるんだ・・・。
私にはよく解らないが。私だったら絶対に買わないが。

閑話休題。
打出の小槌・日本は、亜米利加の期待に応えて何処からか資金を捻出するのだろう。
何処から?そんなのは決まっている。税金だろうね。
そして日本は、高く売りつけた恩を北朝鮮からの防護ネット・亜米利加に返して貰うのだろう。
ボディガードを、代価を払って雇うのと全く同じことですな。
そうでもなければ、自国の危機でもないのに余所の国が自国民を危険に晒してまで守ってくれる訳がない。

その結果、日米関係は「今が最良の時」とまで言われる状態になっている。
小泉君は、巧いこと日本を北朝鮮から守って貰う暗黙の約束を亜米利加から取り付けたと言ってよいだろう。
だからこそ亜米利加も3機のうちの1機を日本に派遣してくれているのだろう。



今、日本で反戦運動をするのであれば、イラクよりもまず自国内で起こりそうな戦争に対して、その戦争を回避する為に運動しなくてはならないのではないか?

自国でイラク攻撃反対!と叫んでいる人達。どうして自分の頭の上の火の粉を払おうともせずに、遠くの火の粉を払おうとしているのか?
勿論、今自分たちが全く安全なのであれば、余所の国の火の粉を払おうとするのは良いことだと思う。
しかし、今こんなに日本の状態が緊迫しているのに、どうして余所の国の事ばかり心配しているのだろう。
自分たちの国が攻撃される危険が非常に高まっている、という事実は怖くて考えたくないから逃避しているのか?
自分たちの危険は誰かが何とかしてくれるから、自分たちは余所の国の事を心配していればいい、と思っているのか?

私にはよく分からない。



それにしても。
亜米利加は自国民に対して、国内海外を問わず、テロの危機が高まる度に危険度の色表示と共に警戒を呼び掛けている。亜米利加系企業は政府からのアラートが出る度に、亜米利加人だけでなく全社員に対して警戒を呼び掛けている。亜米利加系企業の社員であることが判るような物を持ち歩くな、とか。
なのに日本は国民に対して全くと言っていい程警戒への呼び掛けがない。

これは一体どういう事だ。
連続テロの時だって、日本は標的の一つに入っていたというのに。
今回だって攻撃側に諸手を挙げて賛意を表明しているのだから、当然主要テロ対象に入っていると思われるのに。
在米日本大使館のwebサイトにも日本人対象のテロに対する警戒云々は書かれていないようだ。テロ対策の具体例として亜米利加政府のwebページを紹介しているけれど。
・・・それって、まさかもしかして亜米利加を対象にしたテロに巻き込まれた場合しか想定していないんじゃないのか・・・?



日本政府、日本国民をテロの標的から守らねば、と、ちゃんと考えているのか?
まさか「そういう事態は考えてません」「国民への警告の必要は無いと判断しています」とか、そんな夢の世界の住人のような事、言わないよね?

実に心配だ。ありえそうで。




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<3/24に続く>


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桂蘭 [MAIL] [深い井戸の底]

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