〜ダメダメ医学生の京風日記〜

京の都に生息するダメダメ医学生、伯耕による日常生活記。

モテない王道を突っ走りながらも、萌えを求めてただ今奮闘中であります。

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きのう いちらん あした
2002年10月02日(水)    解剖実習、初日

今日から後期が始まる。
夏休みが長すぎたせいか、学校が楽しみだと思ったのは
なんか小学生以来のような気がするなあ。

午前中はまず英語�僑臓�
A号館取り壊しに伴って教室が1号館に移動。
初めて入った1号館はさすがに新し機能的でいい感じ。
授業自体も最初のガイダンスだけで終了。

昼飯、「ますたに」でラーメン。
京都ラーメン発祥の店とも言える有名店だ。
銀閣寺近く、疎水脇の小道に何気に存在しているこじんまりした店。
昼時という事もあってかなり混雑していた。
ラーメン自体はオーソドックスな背脂系に、
独特の酸味と辛みが加わったもの。
さすが50年の風格、美味しかったです。

さて・・・ついにこの日がやってきました。
今日から医学部生の通過儀礼、肉眼解剖実習が始まります。
肉眼解剖実習ってのは、いわゆる解剖実習のことで、
実際に人間の御遺体を解剖する事により、
マクロレベルでの人体の構造を学び、用語を覚えるという科目。

1時前に解剖センターに到着、更衣室で白衣に着替える。
そして友達と共に地下の解剖実習室へ。
今までドアの前までは恐る恐る近づいた事がある部屋。
ただその時は「解剖実習室」という威圧感から
そのドアに手をかけることすら出来なかった。

ドアを開ける。まずは防腐剤の刺激臭が鼻についた。
入ってみると室内は思ったよりも明るい。
というより、俺にはまず「白っぽいな」と思えた。

そしてその白い光に照らされた銀色の実習台の上には、
白い布で包まれた御遺体が整然と並んでいる。


実習台の前に座る。
すぐ目の前には白い布で包まれた一人の御遺体。
布で包まれていることが逆に、「人間の形」を意識させる。
実習室に入り、いきなり向き合わなければならない「死」という現実。

ガイダンスが始まった。
実習に使われる御遺体は全て、本人、そして家族の方の
尊い御遺志により、医学生の解剖実習用に献体された物である事、
そして、彼らの御遺志に報いるためにも、
医学生としてこの実習を有意義な物にしていって欲しいということ。

黙祷後、解剖自体の説明に入る。
器具の使い方、切開の方法など。
このあたりでは俺は目の前に死体があるという事を
表面的には忘れていたのかもしれない。
頭から消そうとしていたというのが正しいのだろうか。

そしていよいよ実習に入る。
乾燥防止用ビニールを開き、敷布をめくっていくと、
徐々に徐々にあらわになる「人間の」体。
恐る恐る触ってみると、ずっしりと、そして冷たい。
「意外と硬いんだね。」「切れるのかなあ。」
「けっこう痩せ型だよね。」「誰から始める?」
実習班の仲間と必要以上に会話を交わす。
不謹慎と思われるかもしれないが、
その場にいた全員が、とてつもなく深い
「死」という感覚に直面し、
それをすぐには受け入れられなかったからかもしれない。

俺は身内の死とか、そういう場面で「死」に向かい合った経験はある。
しかし、目の前に横たわっているのは見も知らぬご老人だ。
これから始まる実習は、死を受け入れる手順として
葬式のような通例化された儀式がある訳でもなく、
俺たち自身が「死」と向きあい、自分なりに受け入れていかねばならない。
しかも、向き合うだけではなく、メスを入れなければならないのだ。

メスを持ち、第一刀を入れる。ここからは全員必死だ。
狭いエリアに5人が集結してしまい、
時には作業をしながらも前が見えない状態になる。
今日の課題は「皮膚の剥離」。

1時間も経つと、全員作業自体には慣れてきて、
チームワーク、そして個人の手際もだいぶ良くなってきた。
そして、「死」に対する動揺以上に、
皮膚下に広がる人体組織の精密さに目を奪われた。
正直を言うと、この時俺の感覚では、
自分が切開しているのは「実習の対象」であり、
それが「人間の遺体」である事を一瞬忘れていた。

今日の作業が終わり、御遺体に再びシーツをかぶせる。
御遺体の背中を支える器具を外すために、
全員でいったん御遺体を持ち上げる。
一斉に背中を持ち上げた時、
突然俺に、「これは人間なんだ」という感覚が戻ってきた。

使用した器具を洗い、全て元通りにして、実習室を出る。
更衣室で白衣を脱ぎ、少し友達としゃべってから外に出た。
台風一過の秋晴れの空にちぎれ雲が流れてゆく。
緑に包まれた医学部キャンパスの中を、
学生が楽しくしゃべりながら通り過ぎてゆく。





俺はけっこういろんなことに対して大丈夫な方だから、
解剖実習に対しても、多分あんまり大きなショックは
ないんじゃないかなと始めは思っていた。
でも実際に御遺体を目の前にして、
しかもそれにメスを入れるという作業を終えた時に
想像以上に色々な事を考えている自分がいた。
「死」は「生」と切り離された物なのだろうか、
「死体」を切り刻むという行為にすぐ慣れてしまうのは
果たしてどういうものなのだろうか。
(少なくとも普通そういう事をしたら「死体損壊罪」。)

しかし、少なくともただ一つ確かな事は、
生と死を考えるに当たって、そしてこの
解剖実習を進めるうえでも一番大事なのは、
「感覚」について考える事だと思う。
死体を切るという行為を「気色悪い」と思う感覚、
逆に「単なる実習体なのだ」と割り切れるのも感覚、
どういう感覚が正しいのかという事に正解はないだろうが、
この実習中、かならず時々は「我に帰って」、
自分自身の感覚を見つめなおしてみたいと思う。

そしてもちろん、尊い御遺志で肉体を提供してくださった
献体者、そしてご遺族の皆様方の御遺志に報いるため、
そして、自分自身が高度な知識を身に付けた医師になるためにも、
この実習を有意義に過ごしてゆきたいと思う。



今日は夜8時からGuitar Landのスタジオ練習@河原町RAG。
ホーンも入り、10人での本格的練習としては初だ。
学祭目指してしっかり練習すべぇ。



今日の一曲

ZAP (Eric Johnson)

我が所属するインストバンドAxemasの持ち曲。
ライブ版はめっちゃオシャレ。アレンジどーしよー・・・。





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