堀井On-Line



750, ある人生

2003年04月24日(木)

 先日親戚の葬式で、故人の息子の一人に30年ぶりにあった。
2歳年下で、中学を卒業したと同時に日本橋の蕎麦屋に勤めにいった。
といっても出前持ちである。
一度その店に行ったこともあったが、将来自分の店を持ちたいといっていた。
大人しい無口な、あまり機転が利かないタイプで、店を出せるタイプでない
典型の人と思っていた。

 その彼が何と店を持ったという。そして数年前に7年やった店を
閉鎖をしたと聞いて驚いた。涙がドッと出てとまらなかった。
大小にかかわらず創業がいかに大変かを身にしみてわかっているから、
彼がまがりなりにも新潟で単身で店を出した苦労が解るのだ。
 
 20数年働いた1千万で、誰の力も借りないで新潟市で、
あの大人しい彼が開店から閉鎖まで自分一人でやったという。
彼の性格からいって、人の数倍の苦労があったのが想像できる。
若い時の甘い顔は一仕事をやり遂げた野武士のような面構えに変わって
いた。そして自分のやってきたことに自信を持っていた。
この自信こそ人生で一番大事なことだ。

 一心は岩をも通すというが、正に彼はその人生を貫いたのだ。
20数年かけて一心に働き、店の営業を含め合計30年以上の
ワンクルーを一心にやりとげたのだ。
隣で、その兄が「凄いことだ!」といっていたが、
それを聞いてただ涙が出て止まらなかった。
「それが如何したことか?何処でもある話ではないか」
というストーリーかもしれないが、彼の純粋な大人しい性格を
知ればこそ感動したのだ。それも独身で!

 彼の30年以上のスパンで、やり遂げた一心さは,
どんな成功者より凄いことだと思う。
少しオーバーかもしれないが、「山田太一の世界」といってよい。
人生の何たるものかをこの人に教えてもらったようだ。
私の尊敬する人が一人親戚にできた。
 今は柏崎の実家で母親と住んで、掃除会社に勤めているといっていた。
この経済の暴風の中やる気をもらった。

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