堀井On-Line



[186] 野村と円楽

2001年10月14日(日)


10年前の話になるが、新潟の大蔵ホテルで野村と円楽の講演会があった。

メインが円楽で前座が野村であった。もちろん私も円楽がまず面白そうで、

野村もまあ面白いのではと期待していった。

野村が出てきた、そして黙って会場を見渡し、ニヤッと笑い、

「大部分は女性ですね、私の話なぞ如何でも言いと思っているんしょう。

円楽の刺身のツマぐらいと思ってるのでしょう」実際そうでだったから、

ザワツイテイタ会場はシーンとなってしまった。その瞬間に野村のペースに

聞き手をのせてしまった。

ー要点はー
・自分は投手の練習用のキャチャー「壁」として採用され

・数年後解雇を言い渡された・丁度その時父親が癌になっていた

・直接上司と掛け合い絶対に辞めないと粘りかろうじて首を免れた

・そのぎりぎりのところでどうしたら一流になれるか考えた

・一流の選手は持って生まれた天性ある、努力だけでは埋めがたい差がある

・そこでぎりぎりのところで、どうしたら一流になるための方法を考えたー頭を使ったー

等々、底から這い上がってきただけに、一言一言が経験にうらずいているためか説得力があった。

また彼も浪人の真っ最中の状態で、話に力が入っていた。

今までにー王、広岡、森と講演を聞いたが、野村だけは底から這い上げって来たためか、
ずば抜けた内容があった。

その日の円楽の話も力が入っていたが、所詮噺家の内容はしれたもの、
しらけた会場の空気が漂っていた 。

さすがキャチャー、瞬間その場を雰囲気をとらえ、自分のペースに捉える術。今でもありありと

憶えている。

9人の選手のうち、一人だけ逆方向を見ているのだから。


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