股・戯れ言
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ブルーフォレスト・シンドローム返上! 秋田編

先週末はバカ映像に行ったり、自分の忘年会を開催したり、その後プログレ忘年会に乱入したりしていたら
いつの間にか風邪を引いていたようでした。
特にイブの日は突然ギックリ腰に襲われ、突然「立ち上がれないィィィィィィィ!!!!!」と叫び悶え、周りはさぞかしビックリしたことでしょう。本当に立ち上がれなかったんだ。それどころか横になることもできない。ギックリ腰ギガコワス。
腰は大事にしましょう。本当に動けなくなるから。(でも年明けに雪滑りは行くつもり)

さてさて、東北一周の秋田編

新庄駅を出て秋田に向けて出発。
電車内は制服姿やジャージ姿の高校生がちらほら。「んだー、まだ山形だー」と携帯電話で話している男の子(制服着てなかったら40くらいにも見えそう)の会話を聞いて、ああ、もうすぐ秋田なんだな、と思う。
しかし雪は、そんなに簡単に秋田には入れてくれないのだった。
ガンガン降る雪のせいで列車は低速進行。おまけに山形−秋田の県境らへんは森に次ぐ森!山に次ぐ山!マタギが住んでそうな壮絶地帯。民家はまったく見当たらないのだが、それでも一駅一駅で乗り降りする人がいる。感動してしまった。彼らにとってのマイカーなんだよな奥羽本線そのものが。
特に大滝という駅と及位(のぞき、と読む)という駅はまったく何もなくて秘境駅具合が素晴らしい。冬は雪に閉ざされていて秘境具合が格別だった。
及位では老夫婦が降りていった。外は大雪なのに大丈夫なのか、と思ったがきっと何十年も歩んだ道なのだろう。


しばらく走って院内という駅を過ぎてからは平地が増えてきた。無論見渡す限り一面真っ白の世界なのだが、先ほどまでと雰囲気が違う。ああ、山形から秋田に抜けたんだな。

ちなみにこの時、ずっとママレードラグの「銀の爪」を聴いていたんだが、歌詞の世界がこの白銀世界を駆け抜ける奥羽本線と当てはまるなあ。
電車そのものが銀の爪で、白一色のこの世界を切り裂いていくかのよう。
それも穏やかな切り裂きではなく、スプラッタムービーばりに豪快に切り裂いているんだけど。だから窓には雪しぶきがガンガン飛ぶ。雪が血のように真っ赤だったらさぞかしグロテスクな光景だろうな。雪が白だったおかげで世の中はどんなに救われたことか。
それにしてもママレードラグの、ナイアガラ直系の湿っぽいボーカルが紡ぎだす歌は「冷めたコーヒー」だの「吸いかけの煙草」だのといったキーワードでストーリーを語っているのだけれど、これが見事に三人称な物語。短編小説を読んでいるかのよう。それくらい歌い手がどこか醒めている。生身の感情がないのだ。
そしてそれがママレードラグのいいところである。個人的な、切羽詰った感情に囚われていないのがいい。痛みとか苦しみとか不安とか、そういうマイナス要素ギリギリのところに立っていない。なんだか違う次元で鳴らされている音みたいだ。
優れたポップスってのは共感させないことなのかな、などと思う。
優れたポップスの歌い手は語り部に過ぎないのかな、などと思う。
実際、「銀の爪」は彼らにしてはアグレッシブでエモーショナルな曲だなと思ったが、それは対人間的な意味でこの曲を実感したからではない。
銀の爪が切り裂いた傷跡は、私が今、旅している軌跡だったからだ。
彼らは雪をも語る。

秋田に入ってからも相変わらず雪だけは多い。
湯沢、横手とこのあたりでは大きな駅を通過し、たくさんの人間を吐き出したり吸い込んだりしながら列車はいつしか大曲を通過。
ここで秋田新幹線に乗り換えれば秋田まではすぐ着くのだが、乗り換えせず。大曲−秋田間ってスイッチバッグするんで逆向きで進むんだもの。酔うわ。
つうわけで引き続き奥羽本線。この時点で大雪の影響で電車はかなり遅れていた。
しかし、時間はたっぷりあることはわかっていたので特に気にせず。電車内は暖房MAXなのでうとうとしていたら、車内にキンコンキンコンという不穏なチャイムの音が鳴り響いた。止む気配なし。ほどなくして列車停止。
一体何が起こったのか・・・私は運転手の後ろのあたりの席だったので、運転手がどこかと忙しなく連絡を取り合っている姿が見える。「前方から新幹線が」だのとやりあっている声が聞こえる。
あ、そういえばさっき、どこぞやの駅で秋田新幹線とすれ違ったな。ぼんやりとそんなことを思っていたのだが、ぼんやりと思っている場合ではなかった。

秋田新幹線は奥羽本線と同じ線路を使っているのだ。

この吹雪
前方もよう見えない線路
遅れに遅れた列車
もちろん単線

ワーオ。正面衝突しそうってこと・・・!?

車内が緊迫した空気で充満する。大曲あたりで乗り込んできた坊主頭の高校球児たちも話すのを辞めたくらいだからな。
ただでさえ、まるでブロックパーティのジャケットのような一面真っ白な雪原のど真ん中。事故っても誰にも気づかれないような環境だ(気づくだろうが)。
キンコンキンコンキンコンキンコン、という警報だけが鳴り響く。これぞ真性サイレントアラーム!サイレンとアラームでも可!
雪・サイレントって書くと美・サイレントみたい!
などと思う余裕は当時はもちろんない。


しかし、危険はあっさりと回避できた。
5分以上止まっていたが、列車はなんてことなく次の駅に停車。
停車している横を秋田新幹線がすり抜けていった。だったら最初からこの駅に避難してりゃいいだろうよ。
なんてツッコミは当時はもちろん入れてない。生きることができただけで満足です。



その後は問題なく、16時近くに秋田駅着。
実に6時間の移動であった。那覇でも3時間で行けるこの時代にどんだけ手間がかかっているんだか。
あーきーたー!3月以来だコノヤロウ!
こちらも雪がこんもり積もっていた。海が近いのに関係ナシか。
私の中では秋田はおしゃれな若者の多い町なのです。なぜなら駅前のフォーラスがいつも賑わっているから。
フォーラスの中の古着屋で前にワンピースを買ったんだった。今回もいいコートを見つけたが荷物が多くなるのがつらいんで断念。
滞在時間はわずか1時間半だったがすし屋にも行ってみました。何度食べても牡蠣の軍艦巻きウマス。
このバカ寒い中、手袋をつけていないことに危惧を抱き、手袋も買いました。100円ショップのだが。


やがて時刻は17時半。
さあ、ここからが今回の旅のメイン、青森への旅路のスタートだ。
前回秋田に行った時、酒田方面行きのいなほに乗りながら、反対ホームの青森行きのいなほを見つめて「次来た時は乗ってやる」と誓ったものだ。
その誓いがまさか今年中に実行されるとは!(実際には「いなほ」ではなく「つがる」に乗るんだが)夢にも思わなかった。
いや、夢なんじゃないのか?とも思ったが、ホームに吹きすさぶ風と雪がハンパなくて、体が吹き飛びそうになって、頬が痛くて、全然夢ではないというのを実感するのだった。寒すぎてホームで煙草吸えねぇよ。



未知の領域 青森編に続く


追記

先日いなほが転覆するという事故がありました。切ないなあ。
今回は秋田から青森方面に出たので、事故のあったほうには行かなかったんだが、つらいなあ。
日記にも書いてますが今年3月に酒田に行くために「いなほ」に乗っているのです。
電車は車や飛行機なんかより安全な乗り物のはずなのになあ。
羽越本線はほかのローカル線と同じく利用者もそんなに多くはありませんでしたが、
私が降りた駅の駅員さんも、羽越本線普通列車の車掌さんも 皆女性という線でした。
それですごく好感を持っていただけに心が痛んでしょうがない。
被害者の方々のご冥福をお祈り申し上げます。
2005年12月27日(火)

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