股・戯れ言
BBS

ミヤザキマサコ 後編

昨晩、久々にターバンで前髪を上げているふかわりょうをテレビで見かけたんだけど、
顔があぶらだこのヒロトモに似ていた。
気のせいではないんだ!ホントなんだ!
ホリと菊池成孔が似ているのと同じくらいホントなんだ!
ふかわりょうのマッシュルームカット、いや、分厚い前髪に惑わされちゃダメだ!
ヒロトモの目に惑わされちゃダメだ!

なんでこんなことを急に書くのかというと日曜日にあぶらだこを見てきたばかりなのです。
変拍子ズンドコ。カオス。混沌。無意味。叫び。静寂。また混沌混沌。爽快。
こんな要素なのに心底明日に希望を感じる。
「あぶら湯」とプリントされている手ぬぐい買いました。
あぶらだこは最低でも1年に1回は見ておきたいバンドだ。
赤犬は週に二度も見ちゃったけど。


とか書いているうちに10月も後半ですよ
さっさと宮崎編後半を書き上げるとしよう。


10月6日
前日の酒で頭グラグラ目グルグル、胃はぐちゃぐちゃという大惨事。
10時チェックアウトなのに起き上がることができず、つっぷして唸り続ける。
朦朧となりながら自分で驚いたのだけど、ちゃんとホテルの浴衣を着て寝ていた。もう絶対着の身着のままあるいは素っ裸で寝ているものだと思っていたけれど。
チェックアウトを延ばしてその後もベッドで死んでいたのだが吐き気を催す。
何度も書いているが、私は吐くのがコワイので(幼少の頃高熱で寝ゲロを吐いて、ゲロまみれになったのがトラウマ)いつもは吐きそうになってもふんばるのだが、この日は抑えきれずトイレに向かう。
吐く前から涙流しながら、せり上がってきた吐き気(これが心底キライだ)にまかせて吐こうとしても胃液しかでてこない。胃の中の食物はどこに行ったんだ。何度吐いても茶色っぽい液体しか出てこなかった。
これ、焼酎か。
地鶏なんかはとっくに消化されてたようだ。よかった、地鶏戻さないで済んで、と吐き気に襲われながら安堵する。
吐いてはみたものの、体の中の異変〜焼酎事変と名づけてみた、は収まらない。その後もうんうんと唸っていたら部屋に女性係員が尋ねてきて(あまりにチェックアウト延ばしてたからなのか、謎だ)「あの、具合大丈夫ですか?お薬持ってきましょうか?」というので
「ずびばせん、鎮痛剤と腹痛止めぐだざい」
と頼んでみた。
なんで腹痛の薬頼んだのか全然わかんねえ!
しかし女性係員の方はちゃんと鎮痛剤と胃薬を持ってきてくださったのだった。ハライタをちゃんと変換してくれたんだね。ありがたや。
それらを服用したら比較的マシになってきたのでのろのろとチェックアウト。
吐き気とめまい(頭痛は鎮痛剤のおかげでだいぶ治まった)と闘いながらロビーに座っていたら、目の前に「文芸道場九州大会」の受付らしき机が広がっていた。女子高生が受付をやっている。パンフレットが置いてあるところに目をやると
「詩のボクシングはこちらの資料をお取り下さい」と書いてあった。
ああ!やっぱり詩のボクシングやってたのか!
九州は詩のボクシングチャンピオン、倉地久美夫氏のお膝元だもんな〜納得。
文芸道場九州大会、ちょっと見て行こうかなと思ったけれど、こちとら重病患者。断念せざるをえなかった。千載一遇のチャンスだったのにな。勿体無い。


どこにも見向きもせずに宮崎駅へ。
またも吐き気を催してきたので、タクシー降りてすぐにトイレに直行。タクシー降り口からトイレまでがやたらと遠く感じる。まっすぐな道がところどころ曲がっているように見える。
頼む、どうにか便器まで持ってくれ、俺の胃、と強く願いながらトイレに駆け込んでいざ便器に向き合ったが何も出ないのだった。
ああ、なぜ神はこんな苦行を私に課すのか


言うまでもなく苦行を課したのは私自身だ。
なんでそんなに呑んだんだよ。
トイレを出てふらふら歩いていたら、目の前に薬局があったので胃薬を買うことにする。薬よりもドリンクのほうがよかろうと手を伸ばしたものは1本500円の代物であった。高!打ちのめされていたら、その隣に置いてある二日酔い解消ドリンクにも「二日酔い時には必ずコレ!強力!」という紙が張ってある。
それも600円。
・・・・
高い。べらぼうに高い。
どっちを買うか、と両方を手にとって見ていたら薬局のおじちゃんが声をかけてきたので尋ねてみる。
「あのーどっちが二日酔いに聞きますか」
「両方だね!」
・・・・・・・
確かにそれらの隣には2本が袋に入ってセットで売っていた。
1100円。
べらぼうに高すぎる。
しかしここはこの苦しみの解消だけを祈り、2本まとめて購入することにした。
「コレ、おまけでつけとくからね」とビタミン剤までつけてもらう。どんだけ重症に見えたことか。「こういうのはね、お酒呑みに行く前に飲んでおかないたほうがいいよ」とダメ出しされた。
ホントは呑みに行く前に牛乳を飲んでおこうと思ってたんだよ。しかし宮崎、思ったよりコンビニが見つからなかったんだよな。
駅でプルプル震えながら2本まとめて呑みました。まずかった。


そして駅構内で待望の「なんじゃこりゃ大福」を購入し、ついでに駅弁を買おうとしたが、まだまだ何も食べられそうになかったので断念。
しかし、宮崎ってういろうが名物なのですかね。駅でたくさん売ってたけど。

帰りの飛行機までに時間があったので、ローカル線乗車も兼ねて「青島」というところに足を伸ばす。
JR九州は車両が渋いな。私が乗った日南線、2両目の一番前に座ったのだけど目の前が広々と開いていたのには驚いた。すんごく広い。解放感あるなー。なんだかマイ電車という気分。
これで具合がよければどんなによかったことか!
宮崎から田吉までの区間は前日通っていたのでどうでもよかったのだが、宮崎はやっぱり常蘇鉄の国だなー。
日本的な住宅の庭にほんとに蘇鉄がぼんぼん生えている。田吉を過ぎると田んぼや山、川がいきなり見えてくるのだが、へんなところから蘇鉄が生えているのがやっぱりミスマッチだった。センスがよろしくない。
あれ?確かこの日南線、海沿いを走っている線ではなかったっけ?
なんで海が全然見えないのだ?
と、疑問を抱かずにはいられないほど山や野や川のほうが多い。すぐ横を走っている道路が邪魔でしょうがない。
まあ、ローカル線なんてこんなものさ。体調も回復させながらのんびりそんなことを考えていた。
次に停まる「こどものくに」って駅は、こども用公園でもあるんだろうか。アスレチックやジャブジャブ池がたくさんあるような。
そんなことものんびり考えていたのだが・・・・

実際に停車してみたら子供が一気に30人くらい乗ってきて驚いた。
一気に占拠される車内。
当然私の目の前の広々スペースは幼稚園児で埋まってしまう。
みんな水色の帽子をかぶって微笑ましいなァ、と思いたいが、足元までぎっしり座っている園児たちを見ると
「あ!次が青島駅なのにこれじゃ降りられねェ!」しか思えない。
しかし、なんとか「ごめんね、降りるからどいてね」と園児たちによけてもらってなんとか下車。
かなり必死で降りたった青島駅なんだが

人の気配ゼロ

駅前の店、やってる気配ゼロ

駅周辺の民宿・ホテル・旅館、営業している気配ゼロ


・・・私がなぜ青島に行こうとしたのかというと、「鬼の洗濯板」と呼ばれる海岸のことをなんとなく知っていたからなのです。
あと、みらじゅん・安斎肇の「勝手に観光協会」で青島神社にあるろう人形館がオモロイと書かれていたからなのです。
つまり立派な観光地なのだろうと思っていたんだが、あまりの閑散振りに驚いた。
秘境駅だって閑散としているものだけど、あれはあらかじめ「人がいるわけがない」場所だから違うのです。
この青島は「人がいたんだけど、皆いなくなっちゃった」という感じ。灰色の空の下で人が消えた気配だから、当然オカルト度が高いですよ。
なんつっても一番でかいホテルらしき建物が廃墟だったからな。見るからにわかる感じの。
窓から破れた障子が丸見え。


そうは言っても営業している店や観光客もちらほらいるわけで、歩道橋の下で「パイナップルおいしいよー」と売っていたおばちゃんがいたので一個買って食べる。
うーまーいー
やっぱり二日酔いの翌日に食べるものは果物か蕎麦に限る。
歩いて青島に上陸。ここは江ノ島や竹島(蒲郡にあるのですよ、そんな島が)のように陸と繋がっているのです。
鬼の洗濯板は細長い岩が水平にずらずらーっと並んでいて圧巻であった。
地層とか好きな人にはたまらんだろう。わざと洗濯板の上を歩いたりしたが、洗濯板、無限に広がっているのでキリがなかった。途中でヤメ。
島をぐるりと歩いていくと青島神社が見えてきた。
手前に喫煙所があった。二日酔いの日は午前中はタバコなど一切吸えないのだが、胃薬ドリンクのおかげかかなり体調が回復していたので一服することに。
斜め前に見える神主の方々の事務所の扉が開け放たれていたんだが、たばこを吹かす神主の姿が見えた。
暇なのか。


そういえば今は一体何時なんだろう。
3時過ぎであった。
具合悪い悪いでなんも考えてなかったが、帰りの電車って何時なのか
携帯で時刻表を検索してみる。



15時53分 南宮崎行き



うああああ!
なんで計画性ない旅してんの俺!
帰りの飛行機の時間は16時25分じゃねーかよ!
しかも空港に行くには田吉って駅で乗り換えしなきゃいかんじゃないか。
田吉から宮崎空港への電車が次に出るのは16時2分



絶   対   に   間   に   合   わ   な   い



こんな現実を突きつけられながらも、この期に及んで「ろう人形館は10分くらいで回れるんだろうか」などと考えている自分がにくい。当然、無理だ。目の前に目的物件があるというのに、断念せざるをえないなんて!悔しい!悔しい!
ああ、なぜ神はこんな悪戯を私に課すのか!


言うまでもなく悪戯を課したのは私自身だ。
なんでそんなに呑んだんだよ。


忙しくお参りだけ済ませてもと来た道を戻る。
国道に出れば確かバスがあったはず。前日宮崎市内で青島行きのバスを見かけていたのだった。
思ったとおりバス亭があったので大慌てで辿り着いたが、またしても神の悪戯(いや、だから自業自得なんだが)、バスはちょうど出た後だった。
ついてない。
虚脱感に襲われるが、ぐったりしている場合ではない。廃虚のホテルをわき目に見ながら、まだ営業しているであろうホテルまで走る。ホテルに行けばタクシーが停まっているからだ。あるいはタクシー呼んでもらえるしな。
にしても廃虚ホテルの前に並ぶ食事処も店もすべて廃屋なのにはまたしてもオカルト感を感じざるをえなかった。かつての新婚旅行ブームの跡なんだろうな。痛々しい。昔のまま時が止まっている場所ならばまだよい。ここは、時が過ぎているのが確実にわかるから胸が痛むのだ。
しかし、まあ、そんなリゾートっぽいところに廃虚がならんでいる光景は他にはないので味わい深いのもまた事実。ちょうど純日本の田舎風景なのに変なところから蘇鉄が生えている宮崎ならではだな。
前にコザを訪ねた時にも書いたけど、誰でも行くようなキレイで新しい建物なんか面白くもなんともない。この廃虚や廃屋は日本の高度成長時、宮崎が南国楽園だったことを今に遺す遺跡なのだ。歴史があるのです。京都の寺院や世界遺産なんかよりももっと身近で生々しい、リアリズムな歴史が。
行きの飛行機が宮崎空港に着いた時、後に座っていた60くらいのおじさんが
「宮崎に来るのは新婚旅行以来なんですよ!」
と嬉しそうに隣の人に言っていたのが印象深かった。そんな歴史。

で、走って隣のホテルに着いたわたくしはホテルの人の計らいで無事タクシーを呼んでもらえたのだった。
ロビーで待っていたら巨人軍のサインがどーんと貼ってあった。
ああ、青島って巨人軍のキャンプ地なのか。
まだまだ現役の地でもあるのだな。



そんなわけでなんとかフライト時間には間に合った。
搭乗前に食べた日向夏ソフトクリームがうますぎてたまらなかったです。
宮崎はなかなか思い出深い土地になったな。誕生日をここで過ごせて満足だ。
本当は、高千穂鉄道に乗りたかったのですよ。
しかし残念ながら台風被害で未だ全線不通、廃線の危機に晒されているそうで、胸が痛むばかりだ。
というわけでろう人形館も
高千穂鉄道も
陰陽石も

まだ見てないので、宮崎また行かなきゃ。


ちなみに土産で買って帰ったのは「焼酎もなか」でした。
焼酎に懲りたんじゃなかったのか、俺。
でも私がいない間に掃けたみたいなので、実は食べてないのです。どんなんだったのだろう。
2005年10月19日(水)

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