もんすん日記

2003年04月14日(月) 週末の日記

4/10
シェリルと昼食を食べた後、Museum Moderner Kunstに出かける。ここが想像以上にすばらしかった。気に入った作品がたくさんあるが、とくにHOW TO BE POLITICALLY INCORRECTというタイトルの、男が食事中の女の服に顔をつっこんでいる絵とInsomnia眠れない男がテーブルの下に疲れた顔で横たわっている絵が印象的。さらにフィルム類がどれも最高。鳩1羽1羽の動きを追っている複数のTV,ぴちぴちの体操着を着てバーベルを持ち上げてはあはあ言っている男、裸の男性二人、<一人は片足がない>が横たわって計3本の足をぶらぶら動かしている映像、どれもこれもナンセンスで大いに気に入った。閉館までいて学芸員に「もう閉めますから」といわれたくらい。私はオペラでなくてこちらに通いそう。

夕方はギリシャ人とお茶する約束をしていたが、「駅で」という簡単な待ち合わせしかしなかったので結局会えなかった。もっと詳しく決めないと絶対無理だって言ったのに!

そんなこんなで飲みにいかなかった日も、帰るといつも9時ごろ。それから宿題やら勉強をしようと思うんだけど、Landladyのエバがよく家に友達を呼んでいて、私も家にいるときはワインを飲みながらの語らいに参加させてもらう(はっきりいって会話はほとんど理解できない)。
今日はドイツ人でギムナジウムの先生、エルンスト54歳がミュンヘンから来ていた。エバが眠いというので、彼と2人で30分ほど歩いたところにあるこじんまりしたホイリゲへ出かけた。さすがドイツ人だけあって、彼はよく語る。私が解しない言葉は(ほとんど全部やけど)全部英語に訳してくれたので、難なくコミュニケーションをとれた。54歳の彼は、50年以上生きてきてやっと「大切なのは今この瞬間であって、未来のことを悩んでいても仕方がない」と悟ったのだそう。彼の人生に起こった出来事を聞いていると、確かにそう思うであろうと納得した。
人間ここではないどこかを考えるほうが楽なのだよね。
彼とエバの関係もすばらしく、人生は苦しいがなんと味わい深いものよ、としみじみ思った。彼女が、昔娘の婚約者だった彼を今息子のように受け入れているのは、私の想像も及ばないような理由からだったが、孤独に耐えてきた人は変わりに必ず何か手に入れるのだなと確信した。振り返ってみれば、孤独に耐えきれずに手放す人のなんと多いことか。自分も含めてだけど。
午前2時まで飲んでゆっくり帰った。先生のようなお父さんのような人だ。

4/11
マレーシア人のシェリルがカラオケパーティに招待してくれたので参加した。
彼女はとても積極的な人で、あれこれ誘ってくれるのでとてもありがたい存在。だんなさんがオーストリア人。パーティには日本人、オーストリア人、マレーシア人、クロアチア人、中国人、等々参加していて。国際色豊か。カラオケソフトはブリトニースピアーずとか若い人のしかなかったので、私はしょうがなくビートルズを歌う。クロアチアの女の子の低い声が気に入った。
そのあと、イギリスから交換留学で来ているK君、フルートと歌を勉強しているHちゃんと朝4時まで飲んだ。
こっちはこんな時間でも深夜バスがあるからかなり便利。始発を待たなくていいのでほんと助かる。

音楽を勉強している人たちの話はすごく面白い。そしてなんとなく変わった人が多いような。おまえがいうな、と言われるかもしれないけど、なんとなく接したときに独特の感覚をもっているな、と思った。
それにしても。
毎日何時間も練習して音楽を心から愛している人たちでも、オーケストラに入ったりプロとして音楽を続けていくいく道は狭く、門戸はそれほど開かれていない。それでもどうしても音楽を勉強したいという思いで、まったく言葉もわからない状態で情熱だけでやってくるのはすごいな、とため息が出る。
私はしたいと思うことはすべて、少なくとも門は開かれていて、あとはどうやって自分がそこへ到達できるかだけだ。


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