今日から本格的にヒアリングなど始めるのですが、じんましんの様子を見かねた通訳の方が「病院に連れて行きましょう」とおっしゃってくださったので、好意に甘えて、昆明市内で評判の高いという雲南省第一人民医院(金碧路157号)へ行ってみました。「問診部」というでかい看板がかかっています。病院によっては「外人外来」があるそうですが、ここの病院にはそういうものはなくて、普通の中国人に混じって診察を受けることになりました。いろんな診療科のある大きな病院で、朝一番の受付は大騒ぎでした。通訳の方がいらっしゃらなかったらとても無理です(アタリマエ)。初診だったので、ここの医院の病歴本(カルテ?)の冊子をもらって、皮膚科に行きました。診療科の区分は、漢字だから分かるようなものの(付記されていた英語はさっぱり分からなかった)、日本と微妙に違います。今回の目的地である皮膚科は性病科と一緒になって「皮膚性病科」になっていました。うーむ。性病じゃないんだけどな。「痔瘻科」というのも独立していましたなあ。あ、「中科」だかなんだかで東洋医学も扱われているようですが、基本的には西洋医学です。さて、北京出身の通訳さんの話では、病院では並ぶことが多くて大変だ、とのことでしたが、行ってみると皮膚科は空いていました。診察室はぜんぜん診察室っぽくありません。普通の部屋に机と椅子が置いてあり、ぱっとみたところではベッドもなく、各種の薬や診療器具も見当たりませんでした。そこに白衣を着た女性が2人、机をはさんで向かい合わせに座っていて、彼女らがお医者さんでした。「全身にじんましんがあるんですけど」と伝えてもらったところ、手の甲の様子だけを見て、ちょこっと質問をして、「隣の病棟で点滴して、あとは内服薬を出しますからね」というわりかしあっさりした診察でした。「全身に」と言っているのに服を脱がせるわけでなく、なにをするでもなく、2人いるお医者さんが話し合いながら診断しているようでした。
この診察室の外には椅子が並んでいて、順番待ちができるようになっているのですが、話を聞いていると2人ばかりがするすると入ってきて、お医者さんと通訳さんと僕が話をしているところに手を突っ込んで、受付で受け取った「受付証」みたいなものをひらひらさせました。「いやいやまだこっちが診察されてるんですけど」と思ったのですが、お医者さんにとっては日常のことらしく、ちらっと彼らを見ながら僕らとの話を続けていました。しかし、全然関係ない患者さんたちに囲まれながら受ける診察というのも妙な気分です。彼らもよほど急いでいるのであろうか、と思いましたが、通訳さんによれば「患者さんがお医者さんを囲んじゃうんですよねえ」とのことなので、どこでもそんな感じなんだそうです。個別での診察ってアタリマエじゃなかったのですねえ。
最初に受付でもらってきてもらった「病歴本」に医師がいろいろ書き込んでいたところをみると、やはりこれがカルテらしいのですが、このカルテはお医者さんが保管するのではなくて、患者に返されます。これをもって薬の受け取りや点滴のところに行くと指示が書いてあるという寸法のようで、日本みたいに「患者にカルテを渡さない」事件なんて起こりようがなさそうです。しかしレントゲンとか撮ったらどうするんでしょ。所見だけ書くのかしらん。
さて、診察室ではお話以上のことはとくになく、次にまずはお支払いです。この順番もよくわからないのですが、受付→診察→支払い→薬の受け取り→点滴、という順序でした。支払いも中国語が分からないので通訳さんにお任せしたのですが、「保険証がある人とない人でカウンタが違う」んだそうです。中国の医療保険制度はぜんぜん知らないのですが、たぶん無保険者も多くて全額自己負担の人も多いんではないでしょうか。医療費は日本と同じくらいだったので、中国の物価から言うとかなり高いのかもしれません。
薬を受け取って、ちょっとくらくらしながら点滴を受けました。これがまた時間がかかりましたがしょうがないです。で、点滴が終わるとそのまま帰ってよろしい、ということでした。血管が見つかりにくい腕なのでちょと注射が大変そうでしたが、無事に終わってよかったです。
今回の「雲南省第一人民医院」でびっくりしたことがもうふたつばかり。ひとつは病院のロビーに、この病院に所属する医師の顔写真が張り出してあり、専門と出身大学が書いてありました。大きな病院だからなのかもしれませんが、日本では大きな病院でこそこういうことはやってないような気がします。ふたつめは、ロビーの電光掲示板に、近隣の病院との「ベッド使用率」や「回復率」などの一覧表が表示されることです。もちろん、病院の評価がそんな簡単な指標でできるわけではないのですが、あんなに堂々と他の病院との比較をだしていたのもびっくり。うーむ。
ここで人民網日文版の検索結果をちょと。
さて、腕時計の電池切れが起きたりしてすっかり弱気になってしまったので、楽しみにしていた大理行きは諦めて、昆明から日本に帰ることにしました。もともと昆明→大理→昆明→バンコク→成田、という経由の予定だったので、昆明からバンコク経由で帰ることになり、昆明空港でまたもや通訳さんのお世話になりながら旅程変更を確かめ(日本で旅行会社PTSさんが大活躍)て、チェックインしました。しかし、スターアライアンスのくせにどうもうまくいかず、預けた荷物がバンコクでいったん外に出ることが分かったので、しょうがないのでバンコクで入国することになりました。ちょっと「むむ」な感じだったのですが、バンコク行きのタイ航空でまたぱくぱくとご飯を食べてしまいました。バンコク空港では乗り継ぎが7時間半もある予定になっていたのですが、市内に向かう度胸も元気もなかったので、空港でじーっとしていました。しかし空港でじーっとしているのもヒマちゃんなので、チェックインでもしようかとおもったのですが、チェックインまで4時間もあることが分かり、がっかり。せめてフライトの確認でもしようと思ったのですが、チェックインカウンタのそばの窓口は閉まっていてもっとがっかり。そこでうろうろしていると、なんだかにこにこしたおじさんに「どこへ行くんだ」と訪ねられたので「全日空のオフィスを探している」と言ってみたところ、「こっちへ来い」といってちゃんと案内してくれました。全日空でフライトの確認をしてみたところ、当初便より1本早い便に切り替わっていて、ちょっとどぎまぎしましたが、英語に自信がないとこゆところで困るのですねえ。さて、案内してくれたおっちゃんは、手続きが終わると出会った場所までつれて戻ってくれました。胸のプレートを見る限りでは空港職員のようで、親切でありがたかったのですが、いったいそんなことしてていいのか、との疑問も少々。
チェックインまでぼけーっと本を読み、とっととチェックインして免税店をうろうろしてみましたが、バーツの価値が分からずにただ見るだけに終わってしまいました。というわけで、深夜の全日空便に乗ったのでした。