ある大学院生の日記

2005年06月08日(水) 個人別のMCPF

「1単位の税収を上げるときに追加的に発生する厚生損失の大きさ」をMCPFという、という話をここ数年やっているのですが、そのためには労働供給の賃金率に対する弾力性の推定値が必要だとか、heterogeneous agentsを仮定すると分配ウエイトの話が避けられないとか、公共経済学のみならず労働経済学や厚生経済学と重なる話でややこしいところです。(労働経済学をやってらっしゃるC大学留学中のKさんなんかは前者に詳しいことと思いますが)

さて、分配ウエイトをつける前の「ある個人から追加的に1単位の税収を上げるときの追加的な効用の変分」というのを、いわば費用便益分析における個人のnet benfitに見立てて計算してやり、これに「全体で1単位の税収を上げるときの各個人の負担割合」と「分配ウエイト」を乗じてやれば全体のMCPF(とくにSMCFともよぶ)がでるのではないかという話になり、その計算をしてみました。発想自体は、テキサス農工大学のLiqun Liuの論文Combining Distributional Weights and the Marginal Cost of Funds: The Concept of Person-Specific Marginal Cost of Funds. J. Pub. E.に出たんだっけ)にもあるようですが、ま、それはいいです。さて、ここで「追加的に1単位の税収を上げる」方法がやたらとある、というのが問題になるということに気がついて困ってしまいました。「税収」という単位が制御変数ではないからなんですけどね。簡素化された概念だと思っていたんですが、そうでもなかったなあと反省することしきりです。そんな技術的な問題以前にいろいろと言いたいことがないわけでもないようですが(共著者が)。


 << past  Index  will >>


べべべ [MAIL] [HOMEPAGE]