朝、玄関前の草むらに大家さんがしゃがみこんでいる。足元に置かれたボウルには、まだ土のついた茗荷が山盛り。少し湿った茂みの奥に茗荷が生えるのは知っていたけれども、まさかこんなに近くにあったとは。もう少し早くわかっていれば、少しばかり失敬して、あの昼の素麺とか、あの夜の冷しうどんとか、いろいろ使えていただろうに、と無念。薬味の中では茗荷がいちばん好きだ。採るのも楽しいし、食べても美味い。先端だけうっすらと紫になる、色合いもまたよし。