踏み切りの横に、小さな女の子とそのおじいさんが立っていた。赤い長靴を履いたおさげ髪の女の子は、ホームに止まった電車をじっと見ている。その後ろで、ふたり分の傘を手にしたおじいさんも同じ方向をじっと見ている。言葉こそ交わさないけれども、互いの存在をしっかりと感じている、その安心感。あと少しすれば、踏み切りの音が鳴り、遮断機が降りて、ゆっくりと電車は動き出すだろう。やがて電車の姿が見えなくなったら、ふたりしてどこへと帰ってゆくだろうか。