ときどき魚の夢を見る。その舞台は決まって月夜だ。昨日もそんな夢を見た。窓の外、宙に浮かぶように小さな魚が泳ぎ回る。目をこらすと、あたりにはひたひたと水が満ちている。あまりに透明で水面の境い目がわからないのだ。水の中に沈んだ街の底でゆらゆらと草が揺れる。金魚鉢を満月に透かして見たときのように、月の光が水を染める。反射して光る無数の魚の腹。月と水と魚と、シンボリカルな形象。肌寒い日がつづく。今日もうすぐもり。快晴がなつかしい。