日々雑感
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東京脱出、一路信州へ。目的地も決めず、「新緑」「温泉」をキーワードとして出かける。個人的には、それに加えて「浅間山」も。
何年も前に、友人と二人でまだ寒い軽井沢へ行ったことがある。よく晴れた日で、浅間山と噴煙がどこへ行ってもはっきりと見えた。北海道へ行ったときは、十勝岳の噴煙。それに九州の雲仙普賢岳。どれも遠くから眺めただけだが、なぜか惹きつけられた。「怖い」という気持ちもどこかに抱えつつ、それでも目が離せない、あの感覚(しかしこの日、雲が多くて浅間山は山裾しか見えず)。
地図を眺め、小諸まで行くことにする。高速を降り、街中を通り抜けて高峰高原へ。うねうねとつづく坂道の横には棚田が広がる。まだ水もはられていないが、緑の稲穂が揺れるころには、見事な眺めになるだろう。
高峰高原は冬季はスキー場となるところ。遊歩道があるというので歩いてみるが、熊笹をかきわけながらの急勾配。「遊歩道」ではなく「登山道」だ。はじめの20分くらいは、ひたすら登り。雪も残る道を、足元を見つめながら進む。
やがて視界が開ける。絶景。山々に囲まれて小諸の街がある。遠くに光る細い流れは千曲川か。雲がすごい速さで流れてゆく。街の上に雲の影がある。富士山の頂上や雪の残るアルプスも見える。
360度、どこを見ても山。この土地で暮らしていると、どんな思いがするものだろう。いっしょに行った沖縄出身の友人は「端っこにいないと落ち着かない」という。自分も海辺で育ったせいか、山に囲まれていると少し怖くなる。同様に、ここで暮らした人たちは、だだっ広い平野や海辺の土地に不安になるだろうか。
下山。小諸市街で辛味大根そばと山菜のてんぷらを食べる。どちらもおいしい。てんぷらに使われていたのは、たらの芽、山うど、ぜんまい、あと名前のわからないものが何種類か。同じお店で売られていた「おやき」も美味。食事のあとは千曲川を越えて別所温泉へ。別所はツバメだらけ。道を歩いていると、あちこちからいきなり飛んでくる。巣作りの季節なのだ。つばめの巣を探しながら散歩。
帰りは渋滞。向こうを出たのは夕方だが、夜も遅くなって東京に着く。車を降りると、何となく暑い。どうやら、ひどく暑い日だったらしい。「新緑」「温泉」に加えて、思いがけず「避暑」の一日。
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