日々雑感
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2002年03月22日(金) 地平の向こう

国立へ行く。駅の改札を出たら、ずっと向こうまで満開の桜並木が続いている。視界いっぱいの桜にくらくらする。

写真展をみる。会場は小さな喫茶店だ。いつも来ているらしい女の人や、新聞紙を広げた男の人など、みんな気持ちよさそうにぼんやりしている。

喫茶店の壁に飾られた何枚ものモノクロ写真。砂丘の風景、空、雲、光、その中にぽつんと小さな人の影。写真には地平線が写っているけれども、その向こうに遥かな広がりがあるのを確かに感じる。まるで、いくつもの窓があるみたいだ。喫茶店の椅子に座り、コーヒーを飲みながら、その窓を通して彼方に広がる世界を眺めている。

どこまでつづいているのだろう。自分の目では地平線までしか捉えることができないけれど、その先にも確かに世界はあるのだ。静かで、深くて、強い写真。

店内にはCDのバイオリンの音。コーヒーがとてもおいしい。地元にいる友人のことを思い出して、彼女もここへ連れてきたいと考える。きっと、このお店も写真も気に入るだろう。

桜並木をぶらぶらと散歩しながら帰る。夕方から雨。もう雨が冷たくない季節になった。


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