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■ それこそ自分のためにw
『コトバの力』 谷川俊太郎
困ったものだとコトバって せっかちでアタマでっかちで 矛盾するのが大きらい 黒か白かに整理したがり やたら細かく名前をつける 今じゃコトバが多すぎて ぼくらコトバの海に溺れる
名前を変えれば中身も変わる そう思わせるのがコトバの怖さ あっちの神がこっちじゃ悪魔 文字だけのからっぽコトバで うるさいだけの大声コトバで 玉虫色のごまかしコトバで ヒトはころころだまされる
嘘を本当にするのがコトバなら 本当を嘘にするのもコトバ 出来合いコトバをうのみにせずに ココロとカラダの深みに潜り 生身のコトバを探すのだ 疑い抜いたその先に 自分の言葉が見えてくる
うわべは軽いコトバでも ときには中身に命がかかる 中身の重さは辞書にはない 中身を生むのは生きてるヒトだ したたかにしなやかにゆったりと ごまかさず言訳もせず他を責めず 真正面から届くコトバ
そんなコトバこそ本当のコトバ ココロとカラダの底から湧いて 情にからんでささやき叫び とことん論じて理を尽くし ときには口をつぐんで虚空に刻む ヒトとヒトとを結ぶへその緒 コトバのいのちは日々甦る
(平成18年1月6日付 熊本日日新聞より)
2006年01月18日(水)
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