日々精進 《日比野 桜》

 

 

■言葉■ - 2002年05月20日(月)



衣子さんが下を向いて
こっそり笑うのを見るのが
僕はとても好きだ。

本当は僕の方を向いて
笑ってくれると
より一層、嬉しいのだけど。


衣子さんは僕の部屋の
フローリングの床にぺったり座り込んで
小説を読みながら静かに僕に呟く。

「人は嘘をつく生き物なのよ。」

衣子さんはいつもいきなり
突拍子な言葉を口にする。
普通の人間関係では到底口にしないような
そんな言葉ばかりを。

僕もそして衣子さんの言葉について
毎回、何かと考える。
言葉を頭の中で咀嚼して
理解した上で返したいと思ってる。

…というか、いつも思ってるだけで
半分も返せないのだけど。


さて、僕はどうだろう。
黙りこくって考えてみた。

…そうだな。

僕は人を信じていたいと願う。
騙された事は何度もあるけど
其れでも馬鹿みたいに真っ直ぐに。
それが僕の生き方なのだと
説明下手の僕は言葉を組み合わせて
その事を衣子さんに伝えようとした。

「でもね、嘘をつく事を理解しているのと
理解してないのとは全然違うのよ。」

どう違うのだろう。
僕には判らない。

無言の僕に衣子さんは続けた。

「例えば其れは、目隠しして手を引いて貰うか
一緒に歩いて行くか位、違うの。
……判るかなぁ。」

ことり。

衣子さんの頭が僕の肩に乗せられる。
サラサラした髪の感触がくすぐったい。

「何となくしか判らないけど…。」

「何となくでもいいのよ。」

…其れで衣子さんはいいのかな。
僕の稚拙な言葉で満足なのかな。

心が全然読めなくて掴めなくて
本当は僕に何を言いたいのか
其れをいつも知りたいのだけど
…と思ってしまう。

「衣子さんは僕に嘘をついているの?」

ふっと僕の肩から
衣子さんの頭が離れた。
目の前に衣子さんの顔がある。

「どうだろうね。」

僕の頭に衣子さんの手が触れた。
そしておもむろに
頭をクシャクシャに撫でられる。

「外に出て夜空を見ましょう?
今日は空気も澄んで綺麗だと思うわ。」

そう言って僕の頭から手を離し
すっくと立ち上がたかと思うと
全然、僕を見ずに
スタスタと僕の部屋から出ていくので
僕も慌てて後を追う。

全く訳分からない人だ。


まだ夜の空気は少し寒い。

…あぁそうだ。
コーンポタージュスープの素が
台所に有った筈。
カップに入れてお湯を注ぐだけの奴。
衣子さんの分も持って行ってあげよう。
それにあの人は星を見出すと
何時間も見続けるから
ジャケットも持って行こう。

心が全然読めなくて掴めないけど
温かい飲み物を両手に持ちながら
いつもみたいに笑ってくれるなら
其れでいいかなって。

そんな事を思う僕は
本当に馬鹿かもしれない。


:::::::::::::::::::

一人称が「僕」だと
ワタシのショートストーリーは
何故かいつもこんな感じ(笑)
思い浮かんだので
1時間で書いてみたです。

言葉って本当に大事だと思います。
何も言わなければ何も伝わらない。
心も伝わらない。


今日はジタバタでした。

ワタシと日比野父は
異常にワガママで元気な日比野母に
パシリとして振り回されっぱなし(笑)

ワタシは18時から仕事だったのだけど
もう晩御飯食べて行こうって事になって
父とラーメン屋さんに入って
ズルズルとラーメンを啜ったりして。

「あの人もあんなにウルサイけど
独りだとしょぼんとしてるんよね。」
と、ラーメン啜りながら父。
「んーそうやね。」
何気に母への愛を感じてニンマリのワシ。

…病院ではワタシを挟んでお互いで
「寂しくて泣くなよ!」と言い合ってた(笑)


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