桐野夏生「グロテスク」を読み終えました。
二週間で、上下巻700ページ以上もの作品を読み切ったのは、 久しぶりのような気がします。まさにのめり込むように読みました。 読む前に他の人の書評を見て、ドロドロしている、重い、悪意に満ち満ちている、 けど、不思議と爽快なまでの読後感とありましたが、本当にそうでした。
この本を手に取ったのは、元となった事件を知って、 興味を持ったからです。勿論、この小説は、フィクションなので、 実際のことと異なるだろうし、真実ではありませんが、 読者が読みたいと思ったものが書かれていると思いました。
人は自分が信じたいものを信じるし、 本当は真実なんて知りたくないんでしょ? と作者に見透かされているように感じました。
怪物的な美貌、悪意、頭脳をそれぞれ持つ登場人物たち、 そして、それを持たない者、傍観者である自分たち読者でさえも、 気付けば、グロテスクな世界に巻き込まれている。 本を閉じても、それはなんら変わりないのだ。
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