chipperの日記

2019年07月19日(金) グロテスク


桐野夏生「グロテスク」を読み終えました。

二週間で、上下巻700ページ以上もの作品を読み切ったのは、
久しぶりのような気がします。まさにのめり込むように読みました。
読む前に他の人の書評を見て、ドロドロしている、重い、悪意に満ち満ちている、
けど、不思議と爽快なまでの読後感とありましたが、本当にそうでした。

この本を手に取ったのは、元となった事件を知って、
興味を持ったからです。勿論、この小説は、フィクションなので、
実際のことと異なるだろうし、真実ではありませんが、
読者が読みたいと思ったものが書かれていると思いました。

人は自分が信じたいものを信じるし、
本当は真実なんて知りたくないんでしょ?
と作者に見透かされているように感じました。

怪物的な美貌、悪意、頭脳をそれぞれ持つ登場人物たち、
そして、それを持たない者、傍観者である自分たち読者でさえも、
気付けば、グロテスクな世界に巻き込まれている。
本を閉じても、それはなんら変わりないのだ。


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