水野の図書室
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2020年08月31日(月) 荻原浩『時のない時計』

短編集「海の見える理髪店」の5番目のお話『時のない時計』の舞台は時計屋。
「私」は、父の形見である古いブランドものの腕時計を修理するために時計屋を訪ねます。

時計屋の店主は意外に饒舌で……とくれば『海の見える理髪店』を思い出します。
が、断然『海の見える理髪店』の方が好きです。
理髪店は海が見えて、明るい未来が待っているような感じでした。

時計屋の店主が語る身の上話が息苦しいのです。
時計屋にも明るさがほしかった。
時計であふれる狭い店内での会話は時間にがんじがらめに縛られているようです。

時は巻き戻せない。
過去に戻れたらと思うことは誰にでもあるでしょう。
戻れないから、今を懸命に生きていくしかありません。





水野はるか |MAIL
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