水野の図書室
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2002年06月01日(土) �蘯�のぶ子著『緑かがやく日に』

手紙をテーマにした短編集「別れの手紙」(角川文庫)の二番目のお話は、
衝撃的な母の告白でした。結婚式を一週間後に控えた娘に宛てた、母からの
手紙に、娘の出生にまつわる過去を綴る苦悩が滲みます。

娘がもうすぐ結婚するというだけで、どんな恋をして、どんな人と新しい
生活を始めるのかといったことにまったく触れていないので、読んでいて、
最初から最後まで困惑しました。

真実を伝えなければならないという母の気持ちは、わからなくもありませんが、
それは娘が望んでいたことなのだろうかという大きな疑問が残ります。
微細にわたる生々しい描写は、母の苦しみを鮮やかにしますが、それは、母の
自己満足にも思えて、この手紙を読む娘を突き放すかのような残酷さ、冷酷さ
を感じました。


母につらく悲しい恋があった……それだけでも衝撃的です……。
母って、恋の匂いがしないじゃないですか?



折りしも、厚生労働省は、生殖医療のルールづくりの中で「出自を知る権利」
を認める方針を4月に打ち出しました。子どもにとって、遺伝子上の親を知る
ことがどれほどの深い意味を持つのか、どのような告知が子どもと親、両者に
とって望まれるのか、今は匿名のドナーはどのように扱われたら良いのか、
多くの議論はこれからのようです。



水野はるか |MAIL
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