| 2006年05月14日(日) |
『ダイアンサス・ミオソティス』 |
母の日ですから。マザーズデイですから。 『母』の。おはなしを書かないわけにはいきませんよね?(苦笑)
こんばんわ、ぎりぎりまで二本書こうと粘りましたが駄目でした。もえぎです。 や。母の日ですし。取り敢えずアベルとネピリムは書けました。 今日ここにアップしてるのはそのぶんです。まあ短いので当たり前ですね。 しかしもう一本。母の日だしということで、なんとか仕上げようとしたのですけれど。 予想外にづんづん長くなってしまい、とてもではありませんが書きあがりませんでした。 書いていた内容が、 またもや新世界で仁さんシオンさん仲良し話だからいけないのでしょうか(笑) ちょっとお母さんを絡めつつ、シオンさんがお母さんみたいなお話にしたかったのですが。 なんかもうこの二人が仲良しさんでいてくれればわたしはひたすらしあわせです。 そりゃあもうこんな映像を目にしてしまいわたしのハートに飛び二段蹴りです。 ttp://media.ps3.ign.com/media/748/748466/vids_1.html なにこれ。なにあれ。 見たとき思わずぎにゃああああ!?とシャーカーンぽくなりましたもの。 まあこの映像については後日また語るとしましょう。 ただこっそり一言だけ。 仁さんとリリさん仲良しさんだといいなあという微かな願いはちょっとくじけそうです。 あと、なにしてんのファランくん(笑)
ははのひ。ママの日。おかあさんの、おははうえの、おかあさまのひ。 ゼノサイトで、しかもエレハイムを偏愛しているサイトとしては避けられない日です。 直接的に彼女を描くことはできませんでした。 ふと気が付けば。 不安要素めいっぱいでちょっぴり夢も希望もなさそうなエピ3みたいです。 ただ。あのおさないこどもたちふたりが、しあわせでいてくれますように。 そんなわけで、今日くらいはナプコンしりとりおやすみなのです(笑) 今日くらいは。です。 世界中の、すべてのママたるかたに。ありがとう。
『ダイアンサス・ミオソティス』
はらはら。はらはら。 目が痛むほどに白い部屋。床一面に降り積もったものを、両手ですくい、辺りにばら撒くこどもがいた。ぺたりと腰を下ろしたまま、ただ一心に、すくっては撒き、すくっては撒き。全く意味など見えてこないこの行為を、ましろき部屋のましろきこどもは、飽きもせずに繰り返し続けていた。 はらはら。はらはら。 降りしきるのは冴え渡る赤。病的に白い部屋へ挑むかのような、全き赤。あかいはなびら。白を埋め尽くす、真紅の絨毯。こどもはただただはなびらに指を染め、それでちいさなてのひらを満たし、宙へと放つ。いつものおもちゃもいまはおあずけ。この瞬間にこどもが成すのは、天を仰ぎながら、赤い花弁をばら撒き続けるということだけ。
(ママにあげるんだ) 誰に言うとでもなく。そもそも音さえ伴わずに、はなびらと戯れるこどもはぽつりとそう呟いた。 (ママに。たくさん、たくさん、おはなあげるんだ) (そう) 何処からともなく声なき声が加わって、音なき音での対話は、静かにひそやかに、ふわりとたゆたうゆるやかな微風めいて、場を揺らした。ましろきおさなごの、独り言めいた言葉に対して、実体のないやわい波のような言葉を、幼い少女が小さく返す。 これを会話と呼ぶべきなのか否か判断できるものはその場にいない。 (ママに。おはなを。ママはおはながすきだから、ぼくはママがだいすきだから。おはなをあげるの) (そう) 幾度も幾度も。白に舞う真紅の雪。自身の細い腕をもってもたらされる、なめらかな雨に、こどもが目を細めることはなかった。幼い表情は常に揺らぎもせず熱も持たなかった。 (でもね) ふいに、雪を降らせる小さな手が動きを止めた。はらはら。はらはら。休みもせずに舞い続けていたはなびらが、一息ついたように、床に降りるとその身を休めた。こどもはゆっくり顔をうつむきかげんにすると、こうべを巡らせ、ましろき部屋の何もないある一点を見つめ、薄く、儚く、微笑んだ。 (ぼく、ほんとは土と一緒にあるおはなのがすきなんだ) と淡い笑みを浮かべ、花弁に埋もれきった周囲の、ある場所をそっと手で払うと、真紅に隠されていた白がそっと姿を現した。 リノリウムとも金属ともつかない床には、あおいクレヨンで描かれた花が一輪、しっかり根を張って描かれていた。 (ね) こどもがにこりと微笑むと、それに答える幼い娘もまた、くすり微笑んだ。熱もない。音もない。ひかりの少女は、ふわりその場に現れると、はなびらの園に包まれたこどもの前にやってきて、クレヨンのわすれな草に見入った。言葉はなかった。だが、少女の表情が、全てを雄弁に語っていた。 (だからそれは、きみになの) 白と赤の障壁に守られたこどもが、じいっと娘を見つめると、相手はゆっくりを腰を屈め、床のキャンバスに細すぎる指を伸ばすと、描かれていた花一輪を、そっと手に取った。 一本のクレヨンで創られたわすれな草は、少女の指の間で、ささやかに咲き誇る。娘はそっと長い睫を伏せ、目を細めると、小さな花に唇を寄せた。 (そう。ね。わたしも、土と一緒にあるはなのが、すきだわ) (でしょ) (けれど、このはなも、とびっきりすきよ) (うん。ぼくも、きみがとびっきりすきだよ) (ありがとう) 細い花を胸に、ぎこちなくも嫣然と、娘は微笑んでみせた。抱き締めた頼りない花は、いっかな折れることはなかった。娘が僅かな光の残滓を零し、ましろき部屋を去った後も、折れることはなかった。ただ、床からは、あおいクレヨンのわすれな草が姿を消していた。 後に残されるは、傲慢に芳香を放ち続ける花の欠片に包まれた、ましろきおさなごと部屋だけだった。
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