| 2002年08月08日(木) |
赤い目、紫の光 下水の太郎ちゃん 小話 |
私は仕事の都合上、静岡東部を回遊していることが多い。 南は加茂南伊豆から、北は御殿場小山方面をつらつら移動しています。 今日は御殿場にて仕事をしていました。 晴天で、空が高く澄んでいて、日差しが強くなっていく時間帯。 ……不思議と涼しかったです。
標高が高いことと、湿気が少ないこと。なにより風が吹いていたので、シャツと仕事着2枚を着ていたのですが、汗にまみれることはありませんでした。 「心地よい、ここなら住むのに最適だ」 などと車内で話していました。
職場に戻ってみると、なにやら目がかすみます。 一緒に出た人も「眼が痛てぇ」と赤く腫らしています。 加えて、思った以上に日に焼けていること。 もしかして……
話に聞いたことがあります。 冬の山などで、雪に反射した光を直に見ていると、眼の周りが赤くはれてしまうこと。 『雪焼け』でしたっけ? 紫外線が原因だったと思います。 標高があって、空気がきれい過ぎるから、紫外線も多く降り注いでたのでしょう。
でも、仕事中にサングラスをかけるわけにもいきません。 どうしたら良いのでしょうか? かゆい目をこすらずに考え中です。
話は変わって、入浴中のことです。 体も洗い終わり、のんびりと湯船に浸かろうとして、 「(そうだ、痛い眼に温かい濡れタオルをのせよう)」 と、いったん洗面所に戻りました。 新しいタオルを出すのもなんだったので、今日一日使い終えたタオルを手にしました。 洗濯機に引っ掛けてあり、何かに使おうと(目的もなく)用意してあったのもでした。 浴室に入り、何気なく肩にかけてみると、這いずるような感触。 さらに、はばたく音。 ・・・ ・・・・・・ ・・・・・・・・・ 「太郎ちゃん?」 別に、飲食店用の隠語を使う必要はなかったのですが、とっさにたずねてしまいました。 とりあえず、全国の太郎様、名前をこんな風に使ってしまったこと、お詫びさせていただきます。 黒字が下地のタイルなので、すぐにはわかりませんでした。 しかし、そこにはいました。 御想像どおり、黒くて平たくてテカッていて、かさかさ動き回る太郎ちゃんが。
……追い出して、いえ、滅殺して、体をきれいに洗い直すことにしました。 シャワーの温度を最高にして、おもむろに熱湯消毒。 途中、翼を広げた太郎ちゃんではありましたが、水圧&熱量に力尽き、排水溝に流れていきました。 ・・・詰まったらどうしよう 嫌な予感はしたので、そのまま体を洗って浴室を退散いたしました。
今のところ、悲鳴が聞こえてきていないので、無事に下水の旅に出て行ったことでしょう、太郎ちゃんは。
いや、何よりです。
最後に、ふと思いついた小話を一つ。
<毛嫌い>
長い黒髪がキレイな女は唐突に言った。 「あたし、毛深い人って苦手なのよ」
彼女が言うにはこうだ。 「空気の汚いところにいると、鼻毛が伸びるのがはやいって言うでしょ。 あたしが思うにね、汚いところにはたくさん毛が生えるようにできているのよ。 鼻以外にも脇とか、あそことか・・・」
彼女は『毛深いこと』=『汚いもの』と認識しているようだ。 確かにそうだ。 汚いところほど、毛が生えて、大事なものを汚さないようにしている。 鼻毛にしたって、きれいな空気にするための手段なんだろう。
そう思いつつ、彼女のどうでもいい愚痴を聞いている。 もう、延々2時間は続いている。 よっぽど汚れた考えが詰まっているんだろう。 彼女の長い髪を見て思ってしまった。 『あの頭には汚い考えが一杯詰まっている。 汚れた考えを浄化するように、長くてたくさんの髪が生えているんだ』
長い黒髪の女がいた。 眼の前で、まだ喋っていた。
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