日課といえるほど、仕事帰りに本屋によります。 見てまわる本の種類はさほど多くないのに、毎日よらないと気がすみません。 本屋という空間に依存しているのです。 鳥が空ではばたくように。 獣が大地で駈けるように。 魚が水中で泳ぐように。 私は本屋にいきます。 昨日も、今日も、明日も
<1.夏、恒例のフェア> 聞き馴染んだタイトルが平積みされています。 『不思議の国のアリス』『蜘蛛の糸・杜子春』『人間失格』『燃えよ剣』…… 有名ですが、読んだことはありません。 多くの人が共感している話なのに、まだ躊躇っています。
「何か通じるものがあれば普通の人。 何も通じるものがなかったら道を外れた人」
周囲の評価が高い本だと、変に気づかってしまう。 誰かが見ているわけじゃなくて、私だけが知っている。 勝手に裁決をして、勝手に刑に服している。 自我という檻の中で、返事を返す人形になっていく。 「うん、なるほど」「それはよかったね」「で、どうなったの?」 コダマのようにできる返事。 何一つ、私は考えていない。 ……本一冊で、私自身を否定してしまう。 自虐のために本を読んでいるのでしょうか?
妹は、本一冊読むと必ず言う。 「体全部が疲れた」 多くのものが詰まっているのでしょうね、本には。
<2.得したのか、損したのか> 本屋を徘徊していると、バトルロワイヤルを発見しました。 ただし、文庫版です。 分厚い新書版を読んだ私は、その薄さがうらやましかったです。 上・下刊に分かれてたので、普通の本と同じ厚さでした。 重くて、場所を取って、持ち運びに大変だったんですよ。 何より、あの厚さが読めるか否かを試していたと思っていました。
さらさらっと目を通します。 1度区切ってあるだけ話としては頭に入ります。 裏の値段表記を見ると……600円でした。 安くなっていますね。 確か、新書版は1500円弱でした。 まぁ、文庫本のほうが安いのは当然です。 けど、分冊しても安くなっていることがショックでした。
なにか、読んでいた価値が目減りしてしまったみたいです。 でも……先読みの時間と、2冊分の価値を1冊で読んだことを考えると、得をしていると読みかえれるのでしょうか?
軽くなった文庫版を2冊重ね、その厚さを確かめてしまいました。
<3.『GOTH〜リストカット事件』> 乙一さんの新刊です。 といっても、探すのに手間取ってしまい、買ったのは今日です。 人気のある作家で、中〜高校生がターゲットですから、文庫版で出版されているものだと決め付けていました。 いくら探してもないわけですね。
他の本に比べ、乙一さんの本はゆっくり読みます。 同じ文量なら1日で終わるところを、1週間かけてゆっくりと読みます。 乙一さんの本は、痛くて苦しい本ばかりです。 描写が頭の中に浮かんできて、ドア越しに起こっている出来事に思えます。 息を止めて読むこともしばしば。 読み終えるとすがすがしい気分ではなく、うずくまって吐き出してしまいたくなる内容が多いです。
世界一嫌いな本です。 嫌いすぎて無視することができません。 私の一番嫌な部分を投影して、丸裸にして、さらけ出してしまうから。 大嫌いな本です。
好きな作家と嫌いな作家、どちらにも挙げられる不思議な方です。乙一先生は。
注:GOTH(ゴス) 著.乙一 角川書店より出版 1500円(税別)
|