原案帳#20(since 1973-) by会津里花
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2003年06月03日(火) 記者会見

ここに記者会見の様子をレポートしよう、と思うのだけど。
実は、事実を正確に描写するのはぜんぜんヘタクソなので、いろいろと食い違うことを書いてしまうかも。
でも、記者会見の様子などを書こうと思う。
だって、こんな体験、生まれて初めてだったから、面白くてしょうがないんだもん!
では、気分次第のレポート、はじめ〜。

午後1時
静岡市役所本館にある「議員控室」に集合。
初めて来てくれた人もいて、感激!
まだ正式に「会員資格」とか「入会手続き」とか決めてはいないけれど、
「臨時?」も含め、ここにいるのが今日現在の『GIDしずおか』のメンバー。
(残念だけど、人数も明かせません;
「なん人いるっていうことは、誰と誰と誰で……じゃああとは○○さん?」とか
憶測されてしまうのが嫌なので)

これからの段取りを打合せているうちに、「外にけっこうたくさんのマスコミがいるよ」と言われ、
人前に出るのにかなり慣れてるわたしとしても、さすがにキンチョーしてきた。
それで、打合せに時間がかかってしまってるのが気になってきてしまった。
(後から考えてみると、あれは同じ日に審議されていた「報酬審議会」のほうの取材陣だったのでは?)

午後1時??分
みんなで陳情書を渡しに、議会事務局へ。
にこやかな雰囲気の中、陳情書の提出。
事務局長の方がわたしの手から陳情書を受け取ってくださった。

午後1時45分ごろ〜2時
そのまま新館の8階(えーっと、確かそれでよかったはずだけど……)にある「記者クラブ」へ行き、
記者会見の開始を待つ。
でも、なんだか段取りが早く進んでしまったようで、
しばらく待たされることに。

ううう、こういう時、困る。
わたしは鬱状態になって以来、人を「待たせる」ことはあっても、
自分が人や時間を待つ、ということをほとんどしたことがないのだ。
(つまり慢性的な「遅刻魔」なんです、わたし!!(号泣)

午後2時〜
記者会見、スタート。
なんとか「陳情の趣旨」を説明……して……あららら??
なんだか、言ってることがその先の「陳情事項」に移り変わってしまった?
実はこのあたりから、本人としては事実上「しどろもどろ」になってきちゃったのです(-_-;

でも。

わたしの脳裏を、「顔も名前も出せないし、参加できない」と言った当事者の顔や言葉がよぎった。
わたしは、そのことを言い出した。
はっきり言って、そればっかりしゃべりすぎたかもしれない。
でも、そういう人たちがまず生活しやすくなるようにしたい、というのが、
実はわたしの本音なのだ。

わたしは、(はっきり言って)自分の果たすべき責任さえも中途半端にして、
お気楽にしてしまっている。
なかばあつかましく、自分の顔も名前も人前にさらけ出して平気な(^^)をしている。
あら、「顔」と打ったら変換が「(^^)ニコリ」になっちゃった。
まあ、お気楽にしてるからそれでもいいや。

でも、余計なお世話なんだろうけれど、
わたしは「世の中には完全に隠しとおして生きたい」と言っている当事者の気持ち、
少ししかわからないのかもしれないけれど、不憫で仕方ないのだ。

もしもわたしだったら。
わたしは自分の性のことを、心の奥底に、かなり厳重な梱包をし、しまってから鍵をかけて
その鍵を飲み込んでしまった、みたいに生きてきた。
「これは自分の心の中のことだから、自分からばらしさえしなければ誰にもゼッタイにわかりはしない。
神さまだってだましとおせる」
とまで思って生きてきたのだ。
……でも。
けっきょく、わたしは隠しきれなかった。
とうとう、自分の本来の性で生きるしかないところまで、追い込まれてしまった。
(無理してお給料のためにやったこともない高度な内容の仕事に手を出したりするんじゃなかった。
いくら「家族のため」だからといって、自分の人格が壊れてしまうまで自分に負担をかけてはいけなかったのだ)

まして、トランジット(生物学的性から望みの性への移行)、という「行為」を「事実」として実行していて、
その「事実」を他人にひた隠しにして生きるなんて。
もしもわたしだったら。
決して夜眠れないだろう。
いつまでもつだろう。

わたしほど臆病でなくても、似たような不安に怯える当事者は多いのではないか。
わたしが表立って行動することにしたのは、こういう人たちが安心して生活できるための道を
なんとかして切り開きたいと思ったからだった。

でも、きっとそういう人が「カムアウト」するのなんて、
ほとんど誰も当事者のことを指差して「おかしい」などと言わないような世の中になって初めて、
なんだろうな……

はっ。
思わず独白モードになっちゃった。
でも、今↑に書いたようなことを、わたしはちょっとばかり「顔も名前も出せない当事者」のことを話しながら
思っていたのだった。
「走馬灯のように思いは巡る」ってか。

時間不明(午後3時前くらい?)
すごく長いような、それでいてあっという間だったような、記者会見終了。
それからもう一度本館の議員控室に戻り、フォーラムの打合せ。
で、(たぶん)4時頃にお開き。

市議会議員の前田さんをはじめ、陳情書提出〜記者会見にお付き合いいただいた皆さま、
本当にお疲れさま+ありがとうございました!

午後4時〜
呉服町のスターバックスでお茶。(前田議員はまだお仕事があったので市議会に残った)
あれこれおしゃべりして、「二次会」もお開き。

午後6時
家に帰ってテレビを見る。
けっきょく、NHK+地元の民放局全部、合計5社・8回にわたって、わたしたちのことが報道されていた。

なんか、やってるのは自分たちなのに、ああやって電波と画面を通してくると、
実は後へは引けないことをしているじゃないの、と思い知らされるのが不思議。
テレビを見て、またビビってしまった。

感想……っていうか総括
わたし、まだまだ覚悟が足りないなあ。

明日からが大変。
議会で説明しなくちゃならない。
お勉強しておかないと。
勝手なことを言ってもしも他の当事者に迷惑がかかってはいけないもの。

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