こしおれ文々(吉田ぶんしょう)

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2012年04月09日(月) 吉田サス劇【夏美】(第3部)第22話『透き通るような白い手を持つ犯人』



35歳の主婦が書類送検されてから数カ月

捜査本部は解散となったが

私は上司の許可を取らずに
この事件の捜査を続けていた


そしてたどりついた


君が犯人だね


大学生を殺害し
35歳の主婦を自殺へと追い込んだのは君だね


私の目の前には
まだあどけない少女が立っていた。



吉田サス劇【夏美】(第3部)

第22話『透き通るような白い手を持つ犯人』



その少女は15歳
高校1年生

こんな少女がなぜ凄惨な事件を引き起こしたのか

透き通るような白い手が
なぜ人を殺めることができるのか


動機なんてものは知らない

この少女の大学生や主婦との付き合いは
決して長くはないはず

長年培われた恨み辛みは考えにくい


それでも
犯人は間違いなくこの少女なのだ


彼女は黙って私を見ていた
背けてしまいそうになるほど
まっすぐに私を見つめていた


なんとお呼びすればいいのかな

本名の○沢○子さん・・・・?
それとも【夏美】さん・・・かな?


もっとも
君が夏美さんとなったのは
大学生と主婦の不倫が始まってからのはず


二人が密会しているときに
わざとメールをすることで
大学生と夏美が同一人物だということを
バレないようにアリバイ工作をしていたわけだ


主婦から金を巻き上げ
利用するための計画を
思いどおりに進めるための布石だったわけだ



説明している間も
少女は表情一つ変えずに
私のことを見つめていた


現代社会において
複雑に絡まった人間関係という名の糸から
私はこの少女までたどり着くことができた


この糸を引っ張れば
少女は私に近づいてくるものと信じていた


それなのに
いくら引っ張っても私と少女の距離は
近づく感じがしなかった


遠のくこともなく
私の足元に糸が溜まっていくだけで
少女は一定の距離を保ちながら
黙って私の話を聞いていた



私のことをまっすぐに見つめながら



管理人:吉田むらさき

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