こしおれ文々(吉田ぶんしょう)

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2007年11月15日(木) 吉田サスペンス劇場【夏美】 第9話『大学生が殺された日その�◆�

吉田サスペンス劇場【夏美】 第9話『大学生が殺された日その�◆�


  ○○さんですよね?


待ち合わせ場所で私に声をかけてきた男性は
どこにでもいる普通の大学生だった。


  正直ホントに来てくれると思ってなかったんでうれしいっす


髪は短めで
顔は少し日焼けしていて
いかにもいまどきの大学生だったけど
体は服の上からでもわかるほど引き締まっていた


『はじめまして・・・よろしくお願いします』



  よろしくお願いしますって
  そんな緊張しないでくださいよ
  こっちまで緊張するし

『えぇ・・・すいません。
 こういうの初めてでどうしていいのか』


  こちらこそよろしくお願いしますね
  べつに悪いことしてるわけじゃないんだし
  普通に楽しみましょうよ

  とりあえず飯でも行きません?
  俺、朝からなんも食ってないんで



こうして私たちは出会い、
そしてその日のうちに関係を持ってしまう。


世間で言うところの【不倫】であり
出会ったきっかけが
ケータイの【出会い系サイト】であることで
最初は夫や家族への罪悪感にさいなまれる。


そもそもケータイの【出会い系サイト】を利用する人なんて
一般人とはまったく別の汚らわしい人種をイメージしていた。


ただ私の前に現れた人はどこにでもいる普通の大学生。
見た目どころか、考え方も行動もまったく普通の大学生。


退屈なほど自由な時間があり、
社会に対して責任がなく、
有り余るほどのエネルギーを持ち合わせている。


主婦である私がこれまで失ってきたもの、
【若さ】という言葉に要約される全てを彼は持っていた。


そして、そんな彼と一緒にいるだけで、
私は失ったものを取り戻した気持ちになれた。


私の中で、【罪悪感】が【罪悪感】ではなくなり、
緊張感から生じる【冒険心】と変わっていく。


年下の男性が持つ可愛らしさは
みごとに私の母性本能を刺激し、
彼のわがままに困りつつも、
それに応えていくことに私は幸せを感じてしまう。


彼の求めるもの・・・
それが体であってもモノであってもお金であっても
私の出来る精一杯のものを与え続けた。


求めるものは次第に大きくなっていて
気づかぬうちに私は深い沼の底へと落ちていった。


口の中に泥水が入り込んで
はじめて自分が溺れていることに気づき
はい上がろうとする頃には
掴めるところはなくなっていて
もがき苦しみながら
自分の過ちを悔やみながら沈んでいく



深い沼の底にあるもの
まっ黒な闇の中にあるもの


それが、私が人を殺したという事実。



管理人:吉田むらさき

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