こしおれ文々(吉田ぶんしょう)
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| 2006年06月21日(水) |
1ページ物語その�◆敍韻玄遡筺� |
ある日机の中から 噛みそうな名前のロシア人作家が書いた本をみつけた。 少し色あせたその本が、数年前の思い出を呼び覚ます。
桜が散り始めた頃、 僕が付き合って欲しいと伝えたとき、キミは僕に【質問】をした。
その質問に僕は【2人】と答えると、 『妙にリアルな数字だね』とキミはすこし微笑み、 『うん。いいよ。』と付き合うことを承諾してくれた。
その日からの生活はこれまで生きてきた中で一番幸せだった。
同じ講義のときは僕のとなりに座り、 まじめな横顔を見せるときもあれば、 講義に飽きて僕のノートにイタズラしたり、 寝顔を見せるときもあった。
講義の終わる時間が違うときは、 キミは大学から5分ぐらいのところにある喫茶店で いつも本を読みながら待っていた。 噛みそうな名前のロシア人作家が大好きで僕にも貸してくれた。
感想を聞かれて適当に話し合わせたけど、ホントは2ページも読んでない。
付き合って一週間で半同棲になり、 2ヶ月後には僕は自分のアパートにほとんど帰らなくなる。
このまま結婚するものだと思っていたけど、 二度目の夏を迎える前に、二人を繋ぐ糸は少しずつ解れ始めた。
些細なことで口論したり、 僕が自分のアパートに帰る回数も次第に増えていた。 結局、二人を繋ぐ糸が完全に解れる前に 僕はキミに別れたいとを伝えた。
キミは下を向き、付き合うときと【同じ質問】をする。
僕が【3人】と答えると、
『一人増えたんだ・・・。』
キミは少しふるえながら必死に涙をこらえていた。
数年たって、今でもその本を捨てることができないのは、 彼女との思い出を忘れられないだけじゃなく、 一度だけ彼女を裏切っているから。
『エッチした人数から付き合った人数を引くと何人?』
思い出と罪悪感を呼び覚ますその本を、 僕はまだ2ページも読んでいない。
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