samahani
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2007年10月10日(水) ケニア

(前回の日記からの続きです)

初めてのアフリカ出張前に体調を崩し、ナーバスになった夫を空港まで送っていってから、今日で11日経った。

アフリカに着いた翌日、夫からメールが届いた。


「さとこさん

昨夜 ナイロビに着きました。飛行機の中でもずっと仕事をしていたので疲れました。今日もまだ仕事をしています。明日チェックアウトしてタンザニアに行きます。元気にしています。さとこも元気でね。」


と、書かれたメールを見て私は えええええっ! と驚いた。

アフリカに出張すると言われ、「どこに行くの?」と訊いたとき、確か夫は「ケニアとタンザニア」と言ったはずだ。いつの間にナイロビなんかに行ったのだ?と。

そう、私は、ケニアの首都がナイロビだということを知らなかったのだ。(恥)

2年前、渋谷で「ナイロビの蜂」という映画を観た。今まで観た映画の中で確実にベスト5に入る感動的な映画だった。アフリカで不審の死を遂げたジャーナリストの妻の死因を追って、ガーデニングが趣味の温和な夫(外交官)がアフリカまで乗り込んでいくという、ミステリー仕立ての社会派のラブストーリーで、映画の内容と相まってアフリカの風景が哀しくて美しかった。(原題は「The Constant Gardener」)

映画を観た後、ナイロビの美しい風景に心を奪われはしたが、それはアフリカのどこかにあって、私とは縁がないものと思っていた。

それがいつの間に・・・。「ずるいぞ、夫」そんな気持ちになった。


それから1週間後、また夫からメールが届いた。(現地に赴いている間はネットが繋がる環境にいない)

「昨日タンザニアからナイロビに戻ってきました。明日はケニアのキスムという西の街に移動します。それからウガンダ、ルワンダと行き、(略

対応者は私の予想よりはるかに優秀で仕事ははかどります。イエメンやイランより能率がいい気がします。とはいっても肝心なデータにたどりつくにはまだまだ時間がかかります。

ワシントンで黒人にも慣れているせいか、不思議なくらいアフリカにいるという特別な感情がおきません。タンザニアのムワンザという街から夜飛行機に乗るときに、古ぼけた待合室で黒人の人々に囲まれ、彼らがキリマンジェロというビールを飲んでいるのを見た時、すこし、遠い国にきたなという感じがわきおこったくらいです。

街でも英語が通じる人がたくさんいるので、アラブ諸国より楽です。それでは元気で。」


「キスムという田舎に来ました。ネットがつながってほっとしています。ナイロビに比べるとかなり貧しい感じがします。昨日は部屋の中央、ベットの上からつるされた蚊帳の中で寝ました。写真も撮りました。蚊取り線香が役に立ちました。今回は観光はなしですが、いつか一緒に来るときのためにキリマンジェロやンサファリで有名な“ンゴロンゴロ国立公園”のことも飛行機で隣の人から話を聞きました。昔、子供たちとンのつく名まえのことでクイズをしていたことを思い出します。元気でね」


しりとりで「ん」を言ってしまっても負けじゃないよ「ンゴロンゴロ国立公園」とか「ングラライ国際空港」(バリ島、デンパサール)とかあるんだよと息子たちと話したのは遠い昔。それらの地名が急に身近に感じられた。

初めての土地、未知の環境、アフリカに対する幻想もナーバスになったことも仕方がなかったのかもしれない。行ってみたら思いのほか快適だった。よかった。

取り敢えず、私は「アジアのどこかの国でもっといい仕事が見つかるよ」と念じてあげることはもう止めた!(笑)

今の私には、中国やモンゴルやフィリピンよりも、ケニアの方が魅力的なのだ。いつか近い将来、夫の出張に伴って一緒にケニアに行こう。もしかしたら、下の息子が大学に入った2年後くらいには、ナイロビに住んでいるかもしれない。中国やモンゴルやインドに行くよりも、もっと世界観も変わるだろう。その前に、 NETFLIX で The Constant Gardener を借りてもう一度観てみよう。

将来のことをいろいろ考えていたら、ちょっとだけ、閉塞感から抜け出せた気がした。


「ナイロビの蜂」公式HP
アフリカ地図



さとこ |mail

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