キ ミ に 傘 を 貸 そ う 。
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| 2007年10月12日(金) |
君の声を聴くだけで。 |
もう、ダメなんだ、って、思った。
私は、Jの彼女である資格なんかないって。 そう思った。
この間電話したとき、Jがインターンのことを話してくれた。 Jは凄く楽しそうに、 「あんなところでインターンができるなんて幸せ。 行きの電車も帰りの電車も、作業のことばっかりずっと考えてる。」 と言っていた。
私は素直に応援できなかった。 Jの幸福を心から喜べなかった。 だって、私のことを考えてくれる時間が少ないってことだから。 『もっと私のこと考えてよ。』 そんな自己中なことばかりを考えてしまう私。 だからもう、無理なんだって思った。 この先Jが幸せでも、私は喜べないかもしれない。
それだけじゃない。
Jと私は、違いすぎるんだ。 人間として、根本的に。
私が言うのもなんだけど、Jはものすごく賢い。 普通の人が持っていない視点やなんかを、凄く持ってる。 普通の人とは違う。 もともと、芸術以外にだってとても長けてる人だ。 勉強も、運動も、他にも色々、やらせればなんでもできる。
私とは違う。
私は何をやっても上手くいかない。 今だって大学の研究ではつまづいてばかり。 楽しくなんかない。毎日、ただ耐えるだけ。
それに対してJは毎日がキラキラしてる。 彼の目で世界を見たら、どれだけ輝いているのだろう。 私の苦しみなんか、理解してもらえるんだろうか? ただ私が低脳だと、思われないだろうか?
この先もJが何もかも上手くいって(そんな人生、ないと思うけど) 私は光のない生活を送って、 それでもずっと、Jを応援できるんだろうか?
私はJには頼れない。 それは、私がJより一つだけ年上のせいもあるかもしれない。 でもそれ以前に、私はあまり人に頼れない。 自分の悩みを、打ち明けることができない。
私なんかの話を、友達に聞いてもらうのもすごく申し訳ないし、 誰かにアドバイスを求める訳ではなかったら、 こんな出口の無い話を聞いてもらう訳にはいかないって、 そう思ってしまうんだ。
他にも、色々考えてみた。
別れたら、どうなるんだろうって。 色々想像してみた。 でもよく分からなかった。 想像は想像だけで終わってしまう。
『そうだ、別れよう。』
そう思ってJに電話をするけれど、 いつものように電話には出ない。 そういう状況が、私にまた追い討ちをかけるのだった。
別れよう、別れよう、って、今まで何度も思ってきた。 でもその度に、思い出が重すぎて捨てられなかった。 Jの笑顔や優しさを何度も思い出しては、 また最初の「好き」の振り出しに私は帰ってきてしまう。
Jと居ると幸せ。私はいつでも笑顔。 楽しいんだよ、Jと居ると。 でもそばに居ないときは胸がつぶれそうに苦しい。 声が聞けなくて淋しい。 会えるのなんて月に1度がいいところで 幸せなときより辛いときの方が多いかもしれない。
『はるかが、一番幸せな道を選べばいいんだよ。』 私の姉は、私にそう言った。
でもね、お姉ちゃん。 私は、私が一番幸せになれる道が分からないの。 どこに行ってもきっと淋しい気がするの。 ずっと迷っているの。 ぐるぐるぐるぐる、目がまわりそうだよ。 自分でしか、道は選べない。
別れるなんて、そう簡単なことじゃない。 だって私は別れたら、Jと友達には絶対に戻れない。 もし別れたとして、そのあと電話をして声を聞いたのなら 愛しいとしか思えない。 友達なんて思えない。 Jの名前を、愛を込めて呼ぶしかできない。
Jと、電話がつながった。
Jは寝てたところだった。 いつもは寝てたら電話に出てくれないけど、出てくれた。
ねぼけた声で
「はるー。。はるー・・・。はるちゃん、どうしたの?」
って、優しい声で言うんだ。
だから今日も私は、別れるという選択肢を選べない。
どんなにJが憎くても、嫌いになんかなれなかった。 私がいけないの。
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