ハニハニィ

2002年12月03日(火) 「ミネラルキャンディ」

のん子(本名:藤原望)の彼氏は、私のおさななじみの七生(本名:黒田七生)だ。

私は、二人ととても仲がいい。

仲がいいのだ。

七生とは一緒にお風呂に入った仲だし。
(これをいうと、七生はとても怒る。真っ赤な顔して。たかが幼稚園時代の話。笑って聞き流せばいいのに。)

のん子(彼女は自分の名前を嫌っている。「〜子」という名前に憧れたらしい。順日本風)とは、24時間しゃべっていても疲れないだろう仲だ。

むろん言うまでもないが、私は二人のことが大好きだ。

二人にも好かれてると思う。


なのにだ。

どうして。

3人でいるときの空気が私になじまないの?


ついこの間まで、鼻になじんだ空間だったのに。



七生の左側は私の定位置だった。

のん子の右手はいつも私とつながれてた。



今では、真ん中の私の空間はゼロで。



3人でいるとき、私は一歩分彼らと離れるようになった。



「昨日『学校へ行こう』見たー?」

「見た見た。パーク超やべーよなー!!!」

「ダイエットのやつもすごくない?私も出ればよかったー!!!」

「は?お前何言ってんの?つーかもっと太れ。特にこの辺とか」

「うわ。最悪。セクハラー!!!聞いてよ、喜与子ー!七生のやつがさー」

「聞いてた聞いてた。七生最低ー。てゆーかのん子もそのスタイルでそんなこと言ってたら嫌味ー。そういうのは私みたいのがー」

「彼氏いねーから出れなかったもんな、喜与子はな」

「うっせ」

「イテ。ケツ蹴んなアホ」

「はい、ちゃっちゃと歩く」

「ギャハー!七生、喜与子の足跡ついてるしー」

「ざまーみろー」





恋愛にはかないません。




恋愛にはかないません。




私の黒い心にもかないません。





会わせなければ良かった、なんて。




のん子のこと大好きなのに。


大好きなのに。



のん子の幸せな顔が、目に痛い。

胸が痛い。



















好きなの。

七生のことがずっと。

過去形じゃない。今も。

こうして二人の後姿見ながら、歩く、今も。

好きなの。

大好きなの。











笑いながら、それでも「おめでとう」と思えない私は。



友達も。



好きな人も。




失ったような。






ただ、好きでいられたら。






こんな、胸も痛まないのに。






ただ好きだけでよかったのに。

それ以外の感情なんていらなかったのに。

特別なものなんてなにも。







「あ。喜与子、飴あげるー」

「あーオレもオレも」

「明日歯医者行くんでしょー」

「別に飴一個関係ねーだろ」










飴みたいに、どろどろに溶けてなくなってしまいたい。




















それでも、私は飴が溶けるまでも我慢できずに。

噛み砕いてしまうのだ。












噛み砕きながら。

舌まで噛んで。

涙がでた。

ほおを伝って口の端からするりと。

粉々の飴にまざって。









血と塩と砂糖。









笑ったら、二人に気持ち悪いと言われた。

いたい、と泣きながら私は笑った。


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