白黒写真の切手に、丹下左膳って書いてあって、 この役者さん誰なんだろうって誰かが言い出したら…
「市川なんとかじゃない?」 「雷蔵?」 「それはゼッタイちがうよ」 「あ、じゃあ、長谷川一夫?」 「ん?うーん…」
違うフロアの人がやってきたので 「○○さん、これ誰だか知ってますか?」 「何か見たことあるな」 「嵐寛寿郎か?」
隣の部屋の人が騒ぎを聞きつけやってきて 「いや、アラカンじゃないな」 「だれ、あらかんって?」 「じゃあ、阪東妻三郎とか?」 「バンツマじゃないだろう」 「どうして、アラカンとかバンツマって略すわけ?」 「ねえ、阪東妻三郎って、中井貴一のお父さんでしょ」 「それは、佐田啓二」
どんどん輪が広がり、 みんなでうんうん考え、 インターネットで調べて 「中村獅童じゃないし…」 「分かった、大河内伝次郎だ!」
「ふーん」 「だれそれ?」 「大河内伝次郎は、略さないの?」
…と、まあ、職場で、大騒ぎだったのです。
この一部始終を大ざるに報告しようと、 「今日ね、会社でね、 白黒写真の切手に、 丹下左膳って書いてあってね」
ここまで話したら大ざるが 「大河内伝次郎?」 って、あっさり正解を・・・
「どうして?その切手知ってるの?」 「いやいや、丹下左膳っていったら 大河内伝次郎に決まってるじゃないか」
お、大ざる、すごいや! あの議論の場にいたら英雄になれたよ。
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