嫌いな食べ物「キュウリ」
おお港には所狭しと肩を並べる金銀積んだ豪華なミノアの船があったろうに。
金の実の成る野草が涼しげな音を立て、
まるで着飾ったように光り輝く海のような煌きに似た、
黄金の屋敷が嗚呼其処にあったろうに。
気が付けば其処は荒野だった。
荒地に茂る野草は荒い海風に横たわり、
哀しげに藁の褥を作る。
黄金など無きに等しい、
嗚呼其処がこれ程までに荒んで見えるとは。
想像とはこんなにも虚しき理想であったろうか、
幸せとはこんなにも耐え難き苦痛であったろうか。
一輪横たわる、
其の露草の一瞬の時めきすらもう眼に入らない。
幸福とは、一途狂えば其処は嗚呼、鈴の音も聞こえぬ程なのか。
さくま