愛より淡く
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2009年11月23日(月) 借金してハワイで女子高生と豪遊

昨夜は眠る前に「白河夜船」の中の「夜と夜の旅人」を読んだ。

ずっと昔に読んだのだとは思うけれど、すっかり内容を忘れてしまっていた。

アメリカ人の女性と従姉妹の女性とそれぞれ恋愛して、ある日突然事故であっけなく死んでしまった兄のことを思い出す「私」が語り手のお話だった。


さみしいけれど、どこか温かい不思議なお話だった。

しかしなぜだか、読み終えて一番印象に残っているのはメインのストーリーではなくて、仲間から借金して女子高生とハワイで豪遊したと噂されていた研一が登場する場面だった。

実際は、ハワイではなく熱海で、女子高生ではなく短大生だったということで、しかし人の噂ってどこまでも大きくなるんだなあと本人が噂を聞いてびっくりしているところ。


事故で亡くなってしまう語り手の兄は、女癖が悪いということで、従姉妹との交際を、従姉妹の両親から反対されていて、だから二人は人目を忍んでこっそり会わなければならなくて、兄が事故に遭ったのは、ちょうど二人が待ち合わせをしている時だった。

従姉妹は、さんざん待ちぼうけをくらわされて、しょんぼり自宅に戻ってから、訃報を知る。


こういう悲劇的なことって、実際にあるようでないようで、ないようであるのかもしれない。


高校時代、私のピアノの先生は、新婚旅行先のヨーロッパで、夫となる人を事故で失くされている。彼は、先生の目の前で事故に遭い、そのまま命を落とされてしまったそうだ。


ピアノの先生は、ものすごくお嬢様で、お屋敷みたいなところに住んでいて、私は彼女のお部屋でピアノを習っていた。

先生のお部屋は、12畳くらいあって、白い作り付けのクローゼットがあって、部屋全体の色調が白で統一されていて、そこに真っ黒いグランドピアノと、黒いワンピース姿の先生がいて、かなりはっきりしたコントラストが印象に残っている。

私といえば、服装には無頓着で、あまりおしゃれに興味のない生徒だった。


レッスンには、半年ぐらい通って、レッスンの合間に、お茶などを出してもらっていろいろとお話もしたけれど、先生の悲劇的な過去についての話題は一度も出ずじまいだった。


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テキスト庵さん