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―― 連ねた意味も、持てない小鳥。
氷室火 生来
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2007年12月09日(日)
どうしてこの手は簡単に千切れない。


少々込み入った話、例えばオフでの知り合いが見ていたらば若しかしてこれ書いてんのあいつじゃね? と思えるような込み入り具合ですが、そんなにネットサーフィンが趣味の方が周囲にいないので無問題です。いや違う問題はそういう事じゃないと思う。
先日勤め先のオーナーの父親が亡くなられたそうで、御年90を越す大往生だったそうですが、そのお通夜に付いての一幕です。

オーナー自身は遽しくしていましたが店自体には影響も無く、というより話そのものが浸透していない様子で、オーナーがいない時間帯に店を任される責任者格の方々と言う極く一部だけがその情報を知り得、そしてそこから聞いた人がまた自分に伝えると、かなりの人伝具合です。
そんな状態で小耳に挟んだ、その日に呑み会の予定を入れていた自分含め四名はお通夜への出欠をさてどうしたものかと。
微妙に遠い間柄というのもありますし、当日になっても場所一つ貼り出されないで、そこは又オーナーの心遣いなんじゃないか(貼り出されていたら強制参加の意味合いが強く思えるのではないか)、それに幾ら一店舗と言っても従業員の数は中々のものですから、全員で押しかけても御迷惑だろうと。
取り敢えず有志一同で花輪を出すので妥当ではないかと話も纏まり、しかし呑み会員の一人が、今はもうお店に在籍していらっしゃらない方なのですが、以前お子さんを亡くされた際にオーナーが出たと言う縁がある為出席されるとの事、取り敢えず呑み会は御破算にしました。

ところが、翌日別の呑み会員の方が出席された方からの電話で、苦言を呈されたそうです。
話によるとそれはそれは出席者も少なく寂しい席だったそうで、結局此方のお店から行ったのはその方と、比較的新しい従業員が二人だけ。
少なくとも話を知っていた我々は、といっても若年の自分は除外されたそうですが(それも優しさなんでしょうけれどどうなんだろうな)、その二人よりも長く勤めている分、出るべきだったのではないかと。

しかし、出る出ないに関しては散々議論を醸したのです。例の大人数で、という条もそうですし(当日にならなければ状況なんてわかりっこない)、返礼が大変になりますから。
出席が礼儀ならコンビニと言う都合上空ける訳には行かない店にその時間帯勤める方はどうなるのだとか、諸々彼是意見を出し合った末です。
一通りその事は述べたそうですが、どうにも言い訳がましくなってしまうのは、そんな状態なら出れば良かったかな、という気持ちの証拠でもあります。尤も相手方も、人が山のように押しかけていなければ何も言わなかったかもしれません。
負けん気の強い(直接言われた方では無い)呑み会員の一人からは、年老いた方の葬儀はそんなものである、との意見も。どうかは知りませんが。

冠婚葬祭なんて難しいものです。地域や宗教も相俟って、それこそ其々に色々な考え方があります。極端な話、送り主にしてみれば祝いのものも相手にしてみればとんでもない、という場合だって。
とても一概には括れないものであり、どちらにも利があり、どちらにも非があり、一長一短、どっちもどっち、元いどちらにも分があり、コンシェルジュでの言葉を借りるなら百害あって一利無しなら誰も行なわない訳であり、問題は五十一害あって四十九利あったら。
更に私的見解を付け加えさせて貰えば、そんなお付き合いで出席されても故人が困るんじゃなかろうか。直接的な係わり合いも無く、表面的な哀悼でしかなく、立場だとか礼儀だとかで来られた顔を見た事も無い、誰とも知らない奴が来ようが来まいが、そんなんで文句を言うのは葬式に関係無くとも多くの人がいて欲しいと妙なプライドを張る人くらいじゃなかろうか。あくまで自論ですが。

お蔭様でなんだかぎくしゃく、ぎこちない空気が流れております現在。そんな事をこそ誰が望むと言うのだろうか。
例の勝気な方は、わざわざ電話でそう述べた方を、既に部外者となっているからそんな口出しが出来るのだ、もうあまり関わり合いになりたくないとまで仰っていて、尤もその方はどうも、誰だってそうですが己がする事成す事の否定が気に入らないようで、話す時は大抵、そんな程度の事しか出来ないけれどと言った口振りで自慢話になる方ですから。おっと話が逸れた。
そうであるべきだ、という主張を兎角そういった領域に関してまで干渉して来るのは、それこそマナー違反じゃないのかな、と。別の宗教という都合上で出られなくとも口を出してくるのだろうか。いや場合が違いますから出さないとも思いますが、しかし言っている事は結局そうではなかろうか。
誰も色好く見られようだとか非難を受けようだとかそんな理由で冠婚葬祭、特に葬儀への出欠なんか決めないんじゃなかろうか。それで決める人こそ問題視すべきですが。
面倒臭い、という理由で行かなかったのも本音やも知れない。
取り敢えず、という理由で行くべきだというのもいい加減な気がしてならない。

どちらも己の建前と言い分だけを披露して汲み取ろうと言う気の無い議論がここ二、三日続いていて段々、むかつきと苛立ちが混ざってむらっとした気持ちになっていきます。

ちなみにむらっとは絶対違うと外野の母君様に指摘されましたがそんな事はどうでもいいんです。


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