アデュガルでガッツリ書いたら、ガッツリ書き過ぎたらしくこの日記エディタの制限字数(原稿用紙20枚分らしい)に引っ掛かって「書き込めません」とか怒られました。 ので、今回はこちら(別ウィンドウで開きます) 下僕の呪いも此処まで来たか(もの凄い濡れ衣)
021:はさみ 沢山ある中からひとつひとつ手にとって、しょきん、と一番小気味良い音を立てるものを選ぶ。 選び終えたら、その刃に曇りや傷が無いのを確かめて、腰のホルダーに収めて。 「ガルデン様」 「ああ」 随分熱心に得物を選んでいたシュテルに呼ばれた主は、手にしていた機関誌を床に落として、一度ぶるりと首を振ってから、 「頼む」 と一言仰った。 恭しく礼をしてから下僕は、黒のさらさらしたケープを、目前の椅子に掛けた主に着せ付ける。 「今回はどの様に……」 「前と同じだ。 いや……もう暑いからな、偶にはもっと短くするのも良いか。まあ、適当で良い」 「畏まりました」 主のアバウトなオーダーにも律儀に頷き、まずシュテルは傍のワゴンから硝子製の霧吹きを取った。 ガルデン一族の長の調髪は、現在その一番の下僕たるシュテルに一任されていた。 ふたりは月に一度か二度、月のひとつが満ちるのと同じ位の頻度で、専用の部屋にてそれを行っている。 少し長く伸びた髪に霧を掛け、濡らして櫛を通し解す。 普段は逆立って後ろに流れているそれが、真っ直ぐ肩に落ちかかっているのを見る事が出来るのは、今となっては彼の入浴後の僅かな時間とこの調髪中くらいのものである。 しかも、誰でも見られるというものでもない。 「…………」 小さな、しかし確かな喜びが下僕の胸を打つ。 しょきん。 水分を帯びて磨きたての剣の様な輝きを放つ髪に、はさみを入れてゆく。 黒いケープに落ちて映える、硬質の銀の欠片。 無骨な指先に触れる冷たい流れ、しなやかで滑らかで、こんな己でも陶然となるその感触。 しょきん、しょきん。 流れから零れ落ちる雫に、美しいが勿体無いと嘆息しそうになりながら、シュテルは調髪を続ける。 主はそんな下僕にも気を向けず、前に立て掛けられた姿見の中、じっと目を閉じている。 前髪が鬱陶しいのかも知れない。それとも日頃の激務で疲れた心身を休めていらっしゃるのか。 無防備な主とふたりきりの部屋に響くはさみの音。 しょきん。 この音は下僕が主を独占しているという、幸福のあかしであったけれど。 同時にその幸福な時間をじわじわと切り取ってゆく、終わりの足音でもあった。 ……主の髪は徐々に短くなってゆく。 「お前、私の髪を切る事が出来るか」 最初にそう訊かれたのはいつだったか。 主が正式に「一族の長」を名乗り、剣聖剣邪両の世界の闇の者に知られ始めた頃…… 主の名前が公私共に正しく「ガルデン」になった頃。 「今までは一族内で器用な奴に適当にやらせていたが」 落ちてくる前髪を後ろに撫で付け、どうという事は無いものごとを話す調子で……実際彼にはそう大した事ではなかったのかも知れない……主は下僕に言った。 「どうも散髪をしている時というのは、入浴・睡眠時と同じく無防備になり易い。 しかも近頃周囲がきな臭いであろう。いつ誰が私の命を狙ってくるか判らん。そんな時に、今まで同様器用さがとりえの者に、無防備な状態の自分を任せるのは少々気が退けてな。 されど髪はそんな事情に関わり無く伸びてくるし」 そして、 「お前なら、何か有ったとしてもその力で対応出来るだろうから尋ねるのだが。 私の調髪を担当する気はないか」 ……畏れ多い、と思ったし、自分がそういった細事には不器用である事も知っていたけれど。 それでも、こんな自分を有り難くも信頼して下さっているのに応えたかったし、それに…… 「無理なら、他の者をあたるが」 「いえ、……大丈夫です、やります」 ……他の者にこんな素晴らしいお役目を奪われるのは悔しかったから、「お任せ下さい」と答えたのだったっけ。 しょきん。 最初は緊張の余り巧くこの音が鳴らなくて、軋んだ嫌な音を立ててしまって。 しょきん。 左右の長さが違ってしまったり……それを揃える為に切り過ぎたり。 しょきん。 頭の中で「こうすれば上手に仕上がる」と計算し方法を組み立てても、中々完璧に実行出来なかった。 今だって……ほんの些細なきっかけで、手元がぶれてしまう事が――――― 「―――――」 ふと、目を閉じていた筈の主と、姿見の中で目が合った。 それだけの事でシュテルは、 がしゃん 「あ」 手を滑らせはさみを床に落としてしまった。 静かな部屋に耳障りな金属音。 「も、申し訳御座いません」 動揺しきりに慌てて詫びて、はさみを拾おうと屈み込む下僕。 それに主は軽く欠伸をしながら、何の気も無さそうに言葉を投げる。 「焦って刃の方を掴むなよ。怪我をされたらかなわん」 「―――――」 床で光るはさみ。 切れ味鋭いその刃物は、確かに、取り扱いを間違えれば(シュテルの様なものでも)怪我をする…… ―――今までずっと何の気なしに使ってきたが、これはひょっとして、とても危険なものなのではないか。 拾ってワゴンの使用済み櫛の類と同じケースに入れ、それから新しいはさみを取ってシュテルは、 「…………」 何となく恐くなって、また目を閉じている主を見詰めた。 髪を切っている最中に手が滑ったら、この刃は容易くこの方の肌や肉、血管を傷付ける。 そんな事はこれまで幸いにして無かったが、これからも無いとは言い切れない…… 「……何をしている?」 いつまで経っても調髪が再開されないのに、片目を薄く開けて様子を伺う主。 それに下僕が、今更に抱いた恐怖の事を話すと、 「だったら、手を滑らせなければ良いだろう……」 そんな事か、といった様子で呟いた。それからまた目を閉じ、背凭れに重心を預けて 「お前は、私を傷付けようとして鋏や剣、槍を手にする訳ではあるまい」 と続け、口を閉じた。 ……しょきん。 「……あの」 しょきん。 「もしや、わたしを調髪用に選んで下さったのは……」 しょきん。 「……わたしがあなた様を傷付ける事はないと、信じて下さって……」 返事は無かった。 ただ、静かな寝息だけがはさみの音に混じる。 刃物を持った自分の側で眠る、極めて無防備な主に 「……有難う御座います……」 ただ呟き、胸に込み上げる何かを噛み締めて、下僕はひたすらはさみを動かした。 しょきん。 目を覚ました主はまず伸びをし、姿見の中の自分を見遣り、乾き軽くなった髪を振った。 跳ねる銀に眩しそうに目を細める下僕。 「少し短めにしたのだな。まあこんなものだろう。 ご苦労」 「勿体無いお言葉です」 主の言葉にようやく緊張を解き、腰のホルダーを外した。 その間に主は、椅子から立ち上がって懐を探り、一枚の金貨を取り出す。 「手間賃だ」 前の担当者にはそうしていたからと、毎回渡されるそれを最初の頃は拒もうともしたが、結局押し切られて受け取らざるを得なくなるので、最近は素直に頂くようにしている。 「申し訳御座いません」 掌に丸い重みを受け取った所で、主とのふたりきりの時間は終わる。 彼には彼の、自分には自分の仕事があるので、いつまでも残念がっている訳にはいかないのだけれど。 先に出て行く主を見送り、部屋の後片付けをしながら考える。 ……せめて共に過ごせる時間が安らかである様に、このコインで新しいはさみを買ってこようか。 切れ味だけでなく、この手にももっと使い易い、滑らないはさみ。 けれど。 綺麗に洗浄したはさみの数々を整理しながら、ふっと気付く。 使い勝手が良いはさみを買えば、それだけ作業効率は上がり、掛かる時間も短くなる。 それはつまり、主とふたりきりのこの時間も縮められるという訳で。 物事は中々、はさみの刃の様に巧くは組み合わされない。 主の髪の色にそっくりな輝きを放つはさみを手に取り、その造形に己の苦笑を映して、下僕は嘆息した。 しょきん。 ――――― 殆ど身動きの取れない状態で、はさみや剃刀を持った人に全てを委ねて時にはうたたねまでしてしまう、美容院や床屋は本当に不思議な空間だと思います。 そして漫画版の主従はガルデンが余りにも強すぎると思う。推奨はガルシュなのか。(2・3巻を読みながら) 次回はアデュガルが書きたい。
とある森の奥深く、人も通わぬ地に建てられた屋敷の地下には、古今東西の様々な魔法具(マジックアイテム)を納めた蔵がある。 それは屋敷共々、長らく封印されてあったのだが。 「…………」 実に二百余年ぶりに戻ってきた屋敷の住人…今では正式な「家主」…は、其処の封印を解き放ち、停まっていた時間をほどいて、日々、陽にも目にも触れる事無く眠っていた書や物品を調べる仕事に精を出していた。 「私という生き物のルーツには、不明な点が多すぎる」 屋敷全体に掛けられていた魔法の効果か、二百余年前から全く変化が無いらしい(埃すら積もっていない)蔵の中を歩き回り、膨大な品々を一々見て回りながら、家主たる青年・ガルデンが呟く。 「邪竜族とガルデン一族の間に生まれたと言うが、その『ガルデン一族』の真の姿だって、私は知りはしないのだ」 彼が求めているのはもっぱら己の出自に関わりが有りそうな物ばかりで、中央大陸の魔法ギルドが見れば涎を垂らしそうな貴重品の数々も、求める情報と関係が無いと判れば隅に追いやられ、雑多に積んで置かれていった。 「ガルデン様、調べものに焦りは禁物です」 そんな主の様子を見ながら、今にも倒壊しそうな「不用品」の塔を片付け整理してゆく下僕が一人。 彼は「塔」の中にも主の求めるものが混ざっていないか調べてから、それを元あった場所へ戻している。 「シュテル、そんな事をしたら何処まで見たか判らなくなる」 「わたしが覚えておりますので心配なさらず」 「……そうか。 ……覚えていると言えば、お前は私について、何か知っていたり覚えている事は無いのか? 例えば私が生まれる前とか」 古くから生きているんだろう、と問われた下僕…シュテルは、手を止めて主に向き直り 「お答えしたいのは山々なのですが、わたしは……初めてあなた様に召喚して頂いた時より以前の記憶が、どうも抜け落ちてしまっている様なのです。 恐らくあの魔女によるドゥームとの融合の際に、誤って記録回路を破損したか……もしくは意図的に破壊されたものと思われます」 近頃少しずつ剣薄明期の頃の記憶は回復してきているのですが、と申し訳無さそうに答えた。 「そうか……」 主は少し残念そうな顔をしたが、責めたりはせず、 「記憶が回復するという事もあるのだな?」 と問いを重ねる。 「確たる事は申し上げられませんが、わたしの場合はそういう事も」 「有る、のだな?」 「はい」 「そうか」 話が一段落した所で、調べものに戻る主。その、何処となく明るくなった表情と、手に取った「関係」が余り無さそうな魔道書に首を傾げつつも、下僕は止めていた片付けを再開した。 020:合わせ鏡 夜。 夕食を終えたガルデンは、従者が洗い物をしている間に、一人こっそりと蔵に戻ってきた。 暗い中に薄明るい魔法の光球を放った彼は、元あった通り綺麗に整理された品々の中から或るものを探して取り出す。 鏡だ。 金(に良く似た魔法金属)の細工が繊細に周りを取り巻くそれには一点の曇りも無く、景色を左右逆しまに「正しく」映し出している。 やはり細かく綺麗な細工がしてある背面には足が付いていて、手で支えたりせずとも平らな場所に置いておける様になっていた。 「あのまま積んで放っていたら、また探すのに随分苦労しただろうな」 ガルデンは手頃な高さの棚にそれを置き、見るのに支障が無いのを確認すると、 「…………」 自分の背後の古めかしいクローゼットを開け放った。 魔導用の貴重な衣類や布を納めた箱の、その大きな戸の内側には、やはり鏡が張ってある。 その鏡と先の綺麗な鏡で合わせ鏡を作り、はざまの空間に立つガルデン。 覗き込めば幾重にもなった世界の中、見慣れた自分の顔が映り込んでいる。 「もし私に、私が忘れてしまった『記憶』が残っているのなら」 自分の瞳を見詰め、調べたばかりの呪言を呟く。 「平らな鏡の奥の奥、果てなく重なる空間の、見えぬものまで見通せば、吾が内に潜むものごとの、知らぬ事をも思い出し、全ては澄んで静まらん」 瞬間、白い光が鏡面から放射された。 ……思わず閉じた目を開いてみると、其処にはやはり変わらぬ自分の顔。 別段変わった事は無い。 「……この鏡は、如何なるものをも見通す魔鏡ではなかったのか?」 鏡を取り巻く細工の中に紛れ込んでいる魔法文字をなぞりながら、ガルデンは少々落胆した様子で言った。 シュテルの様に失った記憶を思い出せるならと、折角この鏡を発動させる呪言まで調べたというのに。無駄な事をしてしまった。 と。 「―――――いかにも、これは全てを見通し知らしめる魔鏡『ティタン・ミロワール』だ」 鏡の中の自分が、独りでに喋った。 いや――― 「……!」 はっと口を押さえるガルデン。 鏡の中でも左右逆の、同じ光景が映し出されているが。 「何を驚いている?これがお前の望んだことであろう」 押さえた口の下から零れる言葉。己の意思に拠らず、それは続く。 「お前はこの鏡を介し、己の奥の奥を探った。私はお前の知らないお前、お前の忘れてしまったお前、お前が目を背けているお前」 ガルデンは愕然とした。見詰める鏡の中で、映りこむ自分の口が勝手に動く――――― 「お前の知りたい事を、私は知っている。 何が聞きたい?己のルーツか? 違うだろう。本当にお前が知りたいのは、親やその血族の事ではなく…… 自分が何の為に、どんな役目をもつ者として、この世界に生かされているのか……」 「……やめろ」 無理矢理口を閉じ、息を吸って、「自分の言葉」を吐き出す。 が、それに「彼」は薄い笑みを浮かべ。 「恐いのか?お前が此処にいる理由は無いと、『リュー使い』や『闇の一族の末裔』といった肩書きを取り払ったらお前には存在価値は無いと、気付いてしまうのが恐ろしいのか?」 「やめろっ!」 拳を振り上げるが、映る自分の顔は相変わらず殆ど優しい笑みに支配されていて。 「お前は自分を嫌っている。鏡の中の私……『逆さま』な私はこんなにも自分の事が好きなのにな。 一族の過去にも、持つ力にも、従えるリューにさえべっとりと血の匂いがついていて、何も誇れる事が無く、今や大した望みも目標も無く、己の内はからっぽだと、そう思っている。 そんな自分がとても嫌いだと……」 「………っ」 「本当は他のリュー使い達……『私』からすれば虫唾が走る奴等の様に、もっと色んな事を信じて前に進んでみたいのに……自分の立っている場所さえ判らず、前も後ろも覚束ない状態ではとてもそんな事は出来ない、と、心の奥で絶望している」 「違う、私は……」 「そんなお前が命を掛けた『この世界を救う』という目標だって、他人……『私』が一番嫌うあの騎士の小僧に押し着せられて従ったものだろう?」 「……それは……」 「それが成し遂げられた時、お前には何も残らなかった。 『無知の知』とでも言おうか。己が何も知らず持たぬという事だけだっただろう、お前の中に残った確かな事実は」 「………、………」 「自分ひとりでは何も出来ない、自分自身を信じられない、そんな弱いお前だから、己の出自に拘り其処に幾らかの目標と価値を見出そうとしているのだ」 独りでに話す口を押さえ抗う気力さえ無くなったのか、ガルデンはただぼうと鏡を見詰めている。 其処に映る瞳は不思議な事に、次第に蒼みを帯びていき、見入るガルデンを益々深く縛り引き込んでいく。 「『私』は悔しい。お前がそんな風に、己に自信を持てずにいる事が。 下らぬしがらみに縛られ、剣聖界の型に嵌め込まれて、息をする事も出来ずに苦しんでいるその状況が。 『私』はお前の事が好きだから」 優しい、全てを許す慈愛に満ちた声音。 「お前を助けたい。お前はこんなにも力があるのだと、それは誇れる事なのだと、他者に知らしめてやりたい。 あの騎士の小僧の隣に立つ事に、何の遠慮も要らないのだと教えてやりたい―――――」 「そんな事が―――――」 「それがお前の望みなら」 独りでに、指が冷たい鏡面に触れる。 指先を触れ合わせた鏡の中と外のガルデンは、吐息が掛かるほどの距離で呟いた。 「ひとつに還ろう、もう一人の『私』。 お前は余りに悩みすぎた。 傷付き、疲れ、奪われすぎた。 これからはお前が『私』の中で、ゆっくりと休むと良い……」 子守唄に似た言葉に誘われ、ガルデンは鏡の中の自分に口付けを――――― バタン。 「!!」 突如目の前から『自分』が消え、ガルデンは我に返った。 ふっと見上げればシュテルが居る。その手の下には、伏せられた件の鏡…… 「あ……」 「これは確かに、映しこんだ者の内部を見せる魔鏡ですが」 静かで低い従者の声。 「見せるのは『記憶』や『真実』などではありません。 見る者がそうと思っている自分……極めて主観的な『自己』」 「自己……?」 「あなた様自身が思い描いている『自分』。 『願望』や『恐怖』と言った方が宜しいでしょうか。 其処には当然『自己嫌悪』や『思い込み』も混ざります」 「……それでは、あれは……」 じわりと額に滲んできた嫌な汗を拭い、俯く。 「……私は、あれ程までに自分を嫌っていたのか……」 ぐったりした様子の主に、シュテルは淡々と言う。 「合わせ鏡は、何の事は無いものをも深く果てなく見せる仕組み。 それが本当に根深い『自己嫌悪』の類であるならば尚更」 「…………」 「失礼ながら、あなた様は暗示の類に、余りに感応し易い性をお持ちでいらっしゃる。 こういった事を行うのは、以後控えて頂きたく」 「判った……済まない」 最早口答えをする気も無く、ガルデンは素直に頷いた。 そして視線を上げると、何時の間にかシュテルが此方を見詰めている。 「……何……だ?」 「今日はもうお休みになって」 「あ……」 「そして今起きた全ての事を忘れて下さい」 赤い無機質な目に映し込まれた、自分の目。 其処に映る従者、その目に映る自分の目――――― 「……ぅ……」 「………お休みなさいませ」 ふっと意識を失って倒れた主を抱き止め、その呼吸が正常な寝息であるのを確かめて、シュテルは息をつく。 そして棚の上に放り出されたままの、ぬめった様な光を放つ魔鏡を見遣り…… 「……………」 その鏡面に、拳を振り下ろした。 全てを見通す「神々のレンズ」たる湖の辺(ほとり)で、暫し瞑想に耽っていた主が急に笑い出したのに、下僕は驚いて傍に寄った。 「どうかなさいましたか、我が主」 「いや、何……少々退屈だったのでな、睨めっこをしていたのさ」 目の端に涙さえ浮かべて笑っている、己が主人にして嘗て魔の一族の長と恐れられた男。 その滅多に無い姿と意味の判らない答えに、下僕はいつもの如く戸惑うばかりだった。 ――――― 「文字書きさんに100のお題」配布元:Project SIGN[ef]F様 ――――― OVA九巻の「ティタン・コルヌ」の「コルヌ」はフランス語で角という意味。これが転じて「コーン」(カプリコーンとか、工事現場のコーンとか)になったとか。 カッコいいネーミングです。 そして相変わらずダメっ子エルフなガルデン。残り80題だぞ、どうするんだ。嗚呼。
まずは本日の更新。 TOP絵変更。「捨て台詞悪役一直線」 ガルデン&シュテルの次回登場は8月2日となっておりますが、実際にはその前の17話「奪われた王国! パッフィー悲しみの帰郷」にもちらりと登場するのですよね。 しかしあの回、彼(等)の台詞が無いしアデュー等の接触も無い(月心だけだった筈)ので、やはり此処は相変わらず色気ムンムンな菱沼ガルデン再登場!!イドロも登場!!ちょっと見た事無い魔法剣も新登場!!他にもイズミ対ガルデンの策の読み合いや武器商人カッツェの活躍、アデュー&パッフィー&サルトビのコンビネーション、口端から血を零して意識を失っているガルデンと何かもう盛りだくさんで夏休み頂上決戦な18話の放送日を挙げました。 各サイト様で行われた第一回ガルデン登場10周年祭りみたいに、また一杯ガルデンやシュテルが見られるといいなあ……!!! それでは、また後程。 ――――― ギザル×ガルデンが描けなかったのが悔やまれる。 きっともの凄い入れあげようなんですよ、一城一国の領主ともあろう者が、あんなアレなパープーになってしまうほどだもの。 ガルデンはそんなギザルの熱愛っぷりを自分の魅力で巧く利用して、時に飴を与えたり時にそっけなく接したりで上手にコントロールしたのですよ。 そしてフリーデル城の兵士の皆さんも、きっと突然現れた謎のアイドルにドキドキパニックですよ。 と言うか、これは18話もですが、普段あれだけ偉そうなガルデンが、目的の為とは言え誰かに膝を折り傅いているというのが素晴らしい。 あの「跪き方」はシュテルに習ったんだきっと。(イドロでも良いですが)
今日はあの菱沼ガルデン&邪竜形態シュテル初登場という素晴らしい回、「ガルデンを倒せ!氷の城の決戦!!」が放映された日から丸十年、十周年というやつであります。因みに前話は「出現!邪悪の騎士 闇黒のリューナイト」でした。 暗黒ではありません闇黒です。殆どの雑誌やムック等では「暗黒」とされているこの表記、面出「神」明美先生の拘りとして、ガルデン&シュテルスキーとしては是非押さえておきたい。 …で、折角なので12話を改めて見てみたのですが、いやもうエロいですな!! 有り得ないまでにエロい。何だあの流し目。前回とはまるで別人の様に、ガルデンの必殺技お色気テンプテーションが爆発です。毎週楽しみにリューナイトを見ている無邪気な少年少女が性に目覚めてしまいかねない。 ギザルはどう見たって、ガルデンの力とか持っているリューとか以前に、その細い腰やつやつや唇や切れ長の目や既にキャラクター掴みきっている辻谷氏の悩殺ボイスから溢れ出す色気にメロメロ、テクニカルノックアウトされている様にしか見えません。 そんなガルデンを、無理からぬ事とは言えエロい垂れ目で眺め回して鼻の下伸ばしているから、シュテルにボウリングみたいな変な技で消されたのでしょう。 他に押さえておきたいのは、何か高い所に立って「フフフ…」とか笑っているガルデンのその奇行の数々は勿論ですが、やはりシュテルの真の姿!!! 誰も頼んでいないのに見せびらかした挙句「真の姿を見たからには生きて帰れると思うな」とか言っているガルデンにはもうギャフンという感じですが、自信満々に出してきただけあってやはり格好良い!!重量感有る尻尾は勿論、胸に表れる邪眼の目付きの悪さもその身のこなしも、全てがステキ!!!タマラナイ!!!これぞ悪の星!!! しかしあの変身シーンは何度見てもキモい。キモ過ぎる。 だって何かこう、ムキムキって感じがするんですよ。ボディビルダーの不自然なポージング思い出してしまうのですよ。せり出す胸板を連想してしまうのですよ。子供泣くぞあんなの。 しかもあれで変身前と体重変わらないというのですから、世の中が信じられなくなります。その重そうで時に伸びたりする尻尾はどうやって体内に収納してあったのか。パーツが増えたらその分重くなっているパラディンゼファーを見習え。 後、赤い宝石から3体、シュテルとマジドーラの合いの子みたいなナリの無人ソリッドを召喚したりしますが。 その色が赤・青・黄色って何さりげなく明るい色に乏しい自分の補色してんだシュテル。 しかも悪役らしい黒ずんだドギツイ三色なら兎も角、それが結構柔らかい色だったりして「ファンシー気取りか!」と舌打ちしたくなります。 そう言えば、シュテルにはライダースソードの他にも色々と小技(ソリッド召喚とか体術+魔法とか 他にもその呪いの手錠は自分で試してみたりギザルに試されたりしたのかとかバンバン魔法使える奴がたいまつなんて地味な道具を持つなとか前回に引き続きその召喚テーマは何だとかサルトビさんはどうやって自分の村が襲われた理由を知ったのですかとか(ガルデンがいつもの調子で「フハハハ力試しにもならんわ!!」とか独り言を言ったのか)突っ込みたい所は色々あるのですが。 しかしそれらも、菱沼ガルデンの色気の尋常でなさと邪竜形態シュテルの有り得なさを思えば些細な事。 ただ、あの撃退のされ方はどうかなあと思いました。 目に!!手裏剣が!!! 先端恐怖症の人が見たら卒倒するんじゃないか。 あとゼファー&アデューも、どうせ斬るなら肩なんかじゃなくあのトサカを斬り落としてやってください。 シュテルにトサカが無かったら、そりゃあもう格好悪いですぜ。 ――――― 昨夜(今朝)は風切嵐様とまたも萌え極まるお話を……!!(毎度お世話になっております!) もうドキドキパニックという感じだったのですが、やはり頻発する接続切断・パソコンフリーズ・両者ともネット接続は出来ているのにメッセージのやり取りが出来なくなるといった怪現象の数々。 何だよ! そんなに神経質で粘着質で根暗っぽいとかきっと独り暗い部屋でこっくりさんしながら、自分で指動かして都合の良い結果ばかり出してほくそえんでいるとか他のリュー(特にマジドーラ)からも一歩距離を置かれていて、まともに付き合ってくれるのは、面倒見が良い上に故郷(シャドゥーム)に女(ソフィー)が居て心に余裕があるゼファーだけに違いないとか疑われたのが気に入らなかったのかよ!!
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